アップルが5月15日に発売した、Apple M4チップ搭載iPad Proを買いました。2022年発売のM2搭載iPad Proから値上がりしていたので躊躇しましたが、新しいApple Pencil Proと一緒にできることも増えていたので、結果満足しています。
筆者が購入を決めた理由についても触れながら、新しいM4チップを搭載するiPad Proの見どころを解説したいと思います。
11インチのiPad Proを選択。その理由は?
筆者は2018年に発売した12.9インチのiPad Proをずっと愛用しています。ホームボタンが廃止されて、Face IDを搭載して新デザインになったiPad Proの最初のモデルです。このときに、マグネットでiPadに装着してペアリングや充電ができるようになった第2世代のApple Pencilと、Smart Keyboard Folioを一緒に購入しています。
今回は11インチのM4チップ搭載iPad Proを選びました。13インチのiPad Proはスタート価格が20万円を超えてしまうので、だったらいま使っている12.9インチのWi-Fi+セルラーモデルを「大きい方のiPad Pro」として引き続き使いつつ、11インチのiPad Proをデジタル文具感覚で新しいツールに採り入れようと考えた結果です。
通信はWi-Fiのみ。またiPad Proにたくさんの写真や動画ファイルをため込んだりしないので、ストレージも最小サイズの256GBで十分。つまり11インチのベースラインモデルなので、価格は16万8800円(税込)です。2万1800円(税込)のApple Pencil Proは各方面で貯まっていたポイントを使ってゲットしています。
アクセサリーは何をそろえるべきか?
筆者はiPadやiPhoneの画面に保護フィルムを貼りたい派です。ただ今回はフィルムに対して懸念があります。新しいiPad Proを買うことに決めた理由のひとつである「Ultra Retina XDRディスプレイの高画質」の見え方が、フィルムを貼ることによって変わるかもしれないのです。幸いにというか、M4チップ搭載iPad Proはフロントカメラの位置が変更されているので、アクセサリーメーカーによる対応保護フィルムがまだ出そろっていません。なので、今のところは裸のまま使おうと思っています。
またケースも付けたいところ。ですが、今回は11インチのiPad Proにどのケースを組み合わせるかが最大の悩みどころになっています。
アップルは薄く・軽くなったM4チップ搭載iPad Proのデザインに合わせたMagic Keyboardを同時に発売しています。
キーボード側とトラックパッドにアルミニウムをあしらい、スタイリッシュになったうえに強度も向上しています。さらに最上段に並ぶ14個のファンクションキーが便利に使えることと、安定した心地よいタイピング感に筆者はとても惹かれています。これならiPad Proで原稿を書く作業もはかどりそうです。
だからと言ってすぐに購入を決められない理由があります。4万9800円(税込)と値段の壁が高いこともありますが、筆者がiPad ProでApple Pencilによる手書きメモをひんぱんに使うからです。
Magic KeyboardはiPad Proから外さないとペン書き(描き)に移行しづらく、都度取り外しが必要。その点ではアップル純正のSmart Keyboard Folioの方が扱いやすく、キーボード側を360度回転させてiPadの裏側に重ねてしまえば全体の形がフラットになり、装着したままペン書き作業へスムースに移れます。
アップルがM4チップ搭載iPad Proに対応するSmart Keyboard Folioも発売してくれたら即決ですが、残念ながらいまのところその気配がありません。しばらく11インチのiPad Proを仕事で使うときにはペン書き専用にして、テキストタイピングはMacBook Pro、または以前から使っている12.9インチのiPad Proを併用する形になりそうです。
有機ELの特徴が活きた「Ultra Retina XDRディスプレイ」に満足
先ほど触れたとおり、11インチのiPad Proを買った理由のひとつがUltra Retina XDRディスプレイへの期待です。買ってから約1週間が経ちましたが、美しさは期待していた通りで、とても満足しています。
iPad Proは2021年に発売されたM1搭載のモデルから、バックライトにmini LEDを採用して、HDR(ハイダイナミックレンジ)映像の表示に対応したLiquid Retina XDRディスプレイを載せています。そのM1搭載モデルよりも前のiPad Proを使っている方は画質の向上が特に実感できると思います。
Apple TV+で配信されているHDR対応の映画やドラマの映像はとても解像感が高く、まるで映像の中の空気がきれいに浄化されたような感覚です。映像は暗部の黒色がとても引き締まり、奥行き方向に深みが感じられ、有機ELの特徴が活きています。なおかつ、アップルのRetinaディスプレイが受け継いできた自然な色バランス、ムラのない一体感(ユニフォーミティ)の高さは見事と言うほかありません。iPhone 15 Proで撮影したHDRムービーや写真をiPad Proで観ると、美しすぎて何度も再生してしまいます。
Apple Pencil Proの「触覚フィードバック」は大きな進化
Apple Pencil Proの使い勝手も良くなりました。第2世代のApple Pencilと見た目には同じデザインでありながら、Apple Pencil Proにはさまざまな種類のセンサーが追加され、中身が大きく変わっています。にもかかわらず、ペンの重さとサイズ、重心のバランスなど手に持った感覚は何も変わっていません。
ペン本体の側面をクリックする「スクイーズ」の操作でパレットツールを表示、あるいはペン先を回転させて描く線の太さを速やかに変える「バレルロール」など、新しい操作方法も加わりました。なかでも筆者が一番重宝しているのは「触覚フィードバック」の機能です。スクイーズやダブルタップなどの操作が正しく行なわれたことを、軽い振動のフィードバックでペンが返してくれます。
以前のApple Pencilは、たとえばダブルタップ操作でペンと消しゴムのツールが正しく切り替わったことなどを、画面の表示などを見て確認する必要がありました。触覚フィードバックがあれば、よりペン先だけに集中できます。
もうひとつ取り上げたいのは、Apple Pencil Proにアップルデバイスの「探す」アプリから探索できる機能が追加されたことです。幸いなことにまだこの機能のお世話になっていませんが、Apple Pencilが手もとに見当たらずヒヤリとすることがよくあります。転ばぬ先の杖としても「探す」機能が活躍してくれそうです。
新しいiPad ProはUSB-Cで充電する1万3800円(税込)のApple Pencilにも対応していますが、触覚フィードバックや「探す」機能を使えるメリットを考えれば、筆者のおすすめは断然Apple Pencil Proです。
M2搭載iPad Airでもよかった? ディスプレイとApple Pencilの機能に差
新型iPad Proと同時期に登場した、軽量スリムなiPadシリーズのハイエンドであるiPad Airも、M2を搭載して進化を遂げています。
11インチのiPad Airは9万8800円(税込)から買えますし、ストレージの最小容量が64GBから128GBに大きくなっています。筆者も「大きいサイズのiPad」にこだわるのであれば、新しくラインナップに追加された13インチのiPad Airでもいいんじゃないか? と、最初は迷いました。
13インチのiPad Airならば、12.9インチのiPad Proに対応するものと同じSmart Keyboard Folioがそのまま使えます。そのためWi-FiモデルとApple Pencil Proを同時に買いそろえても、トータルの価格は11インチのiPad Proよりも安い15万600円(税込)に抑えられます。
それでも、iPad AirにはないUltra Retina XDRディスプレイの高画質を楽しみたかったので、iPad Proにしました。
また筆者のようにApple Pencilをよく使う方は、iPad Proだけが搭載する「ProMotionテクノロジー」の有無がペンの”書き味”を左右することも大きな判断の分かれ目になるでしょう。ディスプレイの描画応答速度を高めるProMotionテクノロジーにより、iPad ProはApple Pencil Proで画面をなぞったペン先から即座に文字や線が描画され、ストレスフリーな書き味が得られます。比較すると、iPad Airの描画応答速度がほんのわずか緩慢に感じられると思います。
iPad Proはさすがにフラッグシップモデルです。筆者は2018年にiPad Proを買って以降、使い込むほどに快適さが増す実感がありました。これから数年以上、iPadをビジネスやクリエイティブワークに使いたおすことを考えれば、最先端のM4チップを搭載するiPad Proを少し背伸びしてでも買うべきだと思います。
ペンやキーボードなど、周辺アクセサリーはこれから徐々に出そろうアップル純正品以外のアイテムで補う手もありそうです。何はともあれ、ぜひiPad Proを試してみてください。
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