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2018/6/5 21:41

あなたは何曲歌える? 知られざる小室哲哉の名曲20選【前編】

80年代後半から90年代にかけてヒット曲を連発し、一躍時代の寵児となった小室氏が2018年に入り引退を表明しました。その引退を受けて、小室氏が手がけた膨大な曲のなかから選りすぐりの楽曲をセレクトしたCD「TETSUYA KOMURO ARCHIVES “T”」および「TETSUYA KOMURO ARCHIVES “K”」が6月27日に発売されます。いずれも4枚組で50曲ずつ収録。また、両作品にボーナスCD1枚を加えたBOXセット「TETSUYA KOMURO ARCHIVES BOX」もソニー・ミュージックの通販ショップ限定で用意されます。

 

↑左からTETSUYA KOMURO ARCHIVES “T”盤(4枚組)、”K”盤(4枚組)、9枚組Box(販路限定)のジャケット

 

そこで今回は、CDのリリースを記念し、小室哲哉が手がけた作品のなかでも、一般的にあまり知られていない曲を中心に20曲をセレクトして紹介します。上記のアーカイブスに収録されている曲もありますので、興味がある方はぜひCDのほうもチェックしてみて下さい。

 

後編はコチラ

 

【小室哲哉の知られざる名曲20選/前編】

 

1.春・ミルキーウェイ/CoCo

小室哲哉氏のソロボーカル曲「I WANT YOU BACK」の歌詞を変えて、90年代初頭の人気アイドルグループCoCoがカバーした曲。原曲の持つエキゾチックな雰囲気はそのままに、より明るくポップにアレンジされている。サビのメロディはこれぞ小室節! ハッキリ言ってアイドルポップスとは縁遠い曲だが、難解なメロディをつたない歌唱で精いっぱい歌う姿に、アイドルの魅力の本質を感じとることができる。

 

2.my kick heart/宮沢りえ

宮沢りえの小室曲といえば、デビュー曲「ドリームラッシュ」と2枚目のシングル「NO TITLIST」が有名だが、ファンのあいだで知られる隠れた名曲がこの曲。6枚目のシングル「赤い花」のB面曲としてリリースされている。作詞は講談社「コミックボンボン」で一般応募から選考されたもの。宮沢りえのやわらかなボーカルと背中を押してくれるような歌詞が素晴らしく、十代のころの気持ちを思い出させてくれる甘酸っぱい仕上がりになっている。

 

3.恋をするたびに傷つきやすく/翠玲(TETSUYA KOMURO ARCHIVES “K” Disc 2収録予定)

この翠玲は結構謎が多い人なのだが、小室氏の海外進出プロジェクト「EUROGROOVE」のゲストボーカルに抜擢されたり、globeや安室奈美恵が出演した1995年の伝説の野外ライブ「TK DANCE CAMP」にも出演していたりと、TKプロデュース全盛期の少し前あたりに活躍していた。この曲は、当時放映されていたアニメ「ナースエンジェルりりかSOS」のOP曲として使われていたもの。曲調はバリバリのダンスナンバーなのに、アニメ主題歌としても違和感のない仕上がりで、この曲が小室作品と気付いていた人は少ないのではないだろうか。ちなみに歌詞は秋元 康が担当している。

 

4.CRAZY FOR YOU/dos

dosは、あのモーニング娘。や鈴木あみを生み出した伝説的番組「ASAYAN」から生まれたダンスユニット。いまは女性になってしまったkaba.ちゃんも在籍していた。dos自体の知名度は高いが、知って頂きたいのは唯一のアルバム「Charterd」という作品。このアルバム、音がすごいカッコいいのだ。なかでもオススメは1曲目の「CRAZY FOR YOU」。バカンスで大胆な気分になる女性の心境を描いた曲だが、歌詞もサウンドも大人っぽい。taecoのちょっと線の細いボーカルも涼しげでクール。ほかにもm.c.A・Tが手がける「You Blow My Mind」や「Spend da Night」など、ちょっと当時のTKプロデュース作品とは毛色の違う曲が収録されているので、ぜひ中古CDショップなどで入手して聴いて頂きたい。

 

5.Prime High/H.A.N.D.(TETSUYA KOMURO ARCHIVES “K” Disc 2収録予定)

ASAYANの企画「コムロギャルソン」のテーマ曲として使われていた「パッパパ~♪」という曲(「SPARK SPARK SPARK」)を覚えている人も多いだろう。小室氏が手がけたユニットのなかでも異色といえる男性ラップグループH.A.N.D.(「Have A Nice Day」の頭文字からきている)のデビュー曲が、この「Prime High」。レゲエベースの曲調に日本語ラップで「自分を信じろ」「もう一度立ち上がれ」的な応援メッセージを送るこの感じは、2000年代のラップブームを彷彿とさせる出来栄え。いま振り返ると、時代を先取りしすぎた感も否めない、知られざる名曲といえよう。今回、この曲がアーカイブスに収録されたことは、ファンにとっては非常に福音である。ぜひ再評価されてほしい。

 

6.Mystery of Sound/円谷憂子(TETSUYA KOMURO ARCHIVES “T” Disc 2収録予定)

当時、雨後のタケノコのように出てきた小室プロデュースの女性アーティストのなかでも、忘れられがちなのが円谷憂子。もともとは80年代後半にデビューした円谷優子が、90年代半ばに再起をかけて改名し、小室プロデュースのもとでリリースしたのがこの曲。アニメ「金田一少年の事件簿」の主題歌として記憶にある人も多いのではないだろうか。円谷はアイドル時代から高い歌唱力で定評があり、小室氏特有のハイトーンな曲もきっちり歌いこなしている。その声質はglobeのボーカルKEIKOに近い印象。サウンドは低音がしっかり効いており、おどろおどろしく鳴り響くシンセも味わい深い。円谷は小室プロデュースのもとでアルバムを出しておらず、この曲のシングルは入手困難だったのだが、今回アーカイブスに収録されることになり報われたファンも多いことだろう。ありがたや。

 

7.Process/Ring

90年代後半、小室氏は中国や台湾などで意欲的にライブなどの活動を行っていた。現地のオーディション番組でグランプリに輝き、日本と台湾で同時デビューを果たした当時13歳のRingも、一連の活動から出てきたアーティストの1人。コギャルブームに沸いていた日本の10代とは異なり、化粧っ気のないピュアな姿が小室氏に高く評価された。デビュー曲「Process」は日本語と彼女の母国語である中国語(マンダリン)の2パターンで収録。たどたどしい日本語で歌うその姿は、かつてのアグネス・チャンに近いものがあり、彼女のピュアネスを一層引き立てている。曲調は特徴的なシンセのリフに小室印のコーラスと、これぞ小室節! という出来栄えで、TKファンにはたまらない1曲。

 

8.給我空間/Grace Ip

Ringと同時期に中国でデビューしたGrace Ipは、日本でのCDリリースはないものの、日中国交正常化25周年を記念して北京や上海、香港などで行われた1997年のライブツアー「小室家族演唱会」に出演していた。この曲は1stシングル「In Your Arms」のB面に収録されたもので、英語タイトルは「What I Hold(Is Your Love)」。しっとりしたバラードで、AメロBメロを中国語、サビを英語で歌っている。純真な少女らしさを感じさせるRingの歌声とは異なり、大人っぽく情熱的なボーカルが楽しめる。小室プロデュースの3曲を収録したアルバム「RPG」は日本のiTunes Storeでも購入できるので、ぜひチェックしてみてほしい。

 

9.REMEMbER ME?/木根尚登 Supported by TETSUYA KOMURO

90年代後半の小室プロデュース全盛期には、TM NETWORKとしての活動は99年までなかったが、宇都宮 隆と木根尚登のソロプロジェクトは進行していた。こちらの曲はそんなときにリリースされた曲。木根氏のソロ名義曲ながら、なんとサビ部は華原朋美と小室氏のコーラスだけという、サビだけ聴くと華原朋美の曲のようにも聴こえる不思議な曲だ。木根氏の歌声は(意外にも)悪くないものの、やはりサビの2人のコーラスにすべて持っていかれてる感がある。華原朋美の歌声と小室氏のコーラスの相性の良さをあらためて実感できる1曲。名曲!

 

10.Oh-Darling/Convertible

この曲がリリースされた98年は、MISIAやDragon AshなどのR&B、Hip-Hopを取り入れたアーティストが勢いを増し、これまでのユーロビートやテクノのようなダンスミュージックがダサいと認識され始めてきた時代の転換期だった。そんな最中に、80年代のPWLを彷彿とさせる陽気でポップなサウンドをリリースしたことにびっくりしたし、おそらくほとんどの人は「なぜいまこのサウンドなのか」と思ったはずだ。当時でさえ古く感じた80’sテイストをあえてやりきった小室氏の狙いは、個人的には素晴らしかったと思う。しかし小室氏は先端を狙いすぎるがゆえに、時代を先取りしすぎてしまうことが多々ある(インターネットでの音楽配信やハイレゾ音源のリリースなど)。この曲も売上的にはヒットとはならず、撃沈してしまった。ちなみにこのConvertibleというユニットは、観月ありさとモデルのカヤトによる覆面ユニット。カヤトさんが何者かは未だに不明だが、テレビの歌番組に出演した際にボーカルを務める観月ありさの後ろで踊っていた姿だけがいまでも強烈に焼き付いている。

 

そして、この98年12月に小室氏の音楽家としての在り方に大きなショックを与えたアーティストがデビューする。それが宇多田ヒカルである。彼女の登場に衝撃を受けた小室氏は、以降、R&Bやトランスなどこれまでとは違った新しいサウンドを取り入れながら活動していくことになる。次回の後編では、98年以降の小室楽曲のなかから知られざる名曲を紹介していこう。

 

イラスト/マガポン

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