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2021/12/7 6:30

美山加恋インタビュー「ギター、フィルムカメラ、コーヒー…どれもひとりでできる趣味が多いですね」

“フラガール”を仕事に選んだ5人の女の子たちの成長を描いたオリジナルアニメ映画『フラ・フラダンス』。この作品で美山加恋さんは、主人公の日羽たちとともに切磋琢磨しながら、新人ダンサーとして奮闘する女の子・鎌倉環奈を演じている。ご本人もフラ経験者であることから、感情移入しまくりだったという本作。そんな彼女に物語の魅力、アフレコ秘話についてお話を伺いました。

(撮影/干川 修 取材・文/倉田モトキ)

美山加恋●みやま・かれん…1996年12月12日生まれ。東京都出身。AB型。2004年に出演したドラマ『僕と彼女と彼女の生きる道』(フジテレビ系)で一躍脚光を浴びる。2017年にはアニメ『キラキラ☆プリキュアアラモード』(テレビ朝日系)の主人公・キュアホイップ役を演じるなど声優としても活躍中。現在、EMSブランド「VONMIE(ボミー)」シリーズの新アンバサダーを努めている。TwitterInstagram

【美山加恋さん撮りおろしカット】

 

5人のフラガールたちは、演じている私たちそのまんまかも(笑)

 

──最初に、シナリオを読んだときの印象をお聞かせください。

 

美山 実は私、3歳からフラダンスを習っていたこともあって、いつかフラダンスに関連したお仕事ができたらいいなと思っていたんです。だからお話を聞いた瞬間、「ついに来た!」とテンションが上がりました(笑)。それに作品に登場する5人の女の子たちがみんな可愛くて。“どの役を演じても楽しいだろうなぁ”と思いながら読んでいました。

 

──今回はオーディションだったんですか?

 

美山 はい。最初はどのキャラクターになるのかも分からなかったのですが、みんなそれぞれに違った悩みを抱えていて、個性も豊かだったので、5人全員に感情移入できる作品だなと感じていました。そうした中でも、今回演じた(鎌倉)環奈ちゃんは特に共感できるキャラクターだったので、決まったときはすごく嬉しかったです。

 

──どういったところに共感したのでしょう?

 

美山 彼女は高校時代にフラダンスの全国大会で優勝したことがあるほどの実力者で、フラに対する情熱も人一倍強いんです。だからこそ、自分にも周りにも厳しいところがある。私は彼女ほどストイックではありませんが(笑)、常に目標を高く持とうとするところは似ています。また、主人公の(夏凪)日羽ちゃんをはじめ、物語の中で仲間たちがどんどん成長していくんです。そうした姿を見て、環奈は自分ひとりが焦り過ぎていたことや、みんなに求め過ぎていたことに気づいて反省し、少しずつみんなとの距離感も縮まっていく。そうした、自分を変えていける純粋さにも心を打たれました。

 

──同じフラ経験者ということで、環奈の気持ちが分かるところもあったのでは?

 

美山 ありました! 仲間たちとのレッスンシーンでは、「もっと練習しなきゃダメだよ。頑張って!」って心の中で思ってました(笑)。もちろん、それは環奈目線で見ていた感情なので、私個人としては、「すごいなぁ。本当にみんな頑張ってるなぁ」って感動していましたけど。

(C)BNP, FUJITV/おしゃれサロンなつなぎ

 

──アフレコはいかがでしたか?

 

美山 シナリオ上は5人で掛け合いをするシーンが多かったのですが、実際の収録はバラバラなことが多かったんです。特に環奈はツッコミ役のようなポジションだったので、共演者との温度感が大変でした。ツッコミの度合いによっては言葉がキツくなりすぎてしまうことがあって。そこは監督ともよく話し合って演じました。

 

──確かに、環奈の言葉は表現の仕方によって、少し冷たく思われてしまう可能性がありますよね。

 

美山 でも、それは彼女が上を目指したいという想いが強いからなんですよね。それに、彼女は高校時代の部活の経験から、後輩たちの面倒を見ることは得意でも、横一線で並んで頑張る同期たちとはどう接していいのか、最初は分からなかったと思うんです。そうした戸惑いの感情も表現できればいいなと思っていました。

 

──美山さんから見た、4人の仲間はどんな女の子たちですか?

 

美山 日羽ちゃんはとにかく純粋で、“こんなにも健気に頑張れる子って、この世にいるの!?”と思えるくらい真っすぐな子。演じている福原遥ちゃん、そのまんまです(笑)。遥ちゃんのことは以前からよく知っているので、日羽ちゃんの言動を見ては、遥ちゃんといるときと同じようにいつも癒やされていました(笑)。また、(富田)望生ちゃんや陶山恵実里ちゃんも、それぞれのキャラクターとすごく似ていて。(滝川)蘭子ちゃん役の望生ちゃんはムードメーカー的なところがありますし、あがり症の(白沢)しおんちゃんを演じた恵実里ちゃんもアフレコのときはずっと緊張していて、最初の頃は手が震えていたのを覚えていますね。

 

──前田佳織里さんが演じたオハナ(・カアイフエ)は、環奈にとって大きな存在だったように思います。

 

美山 そうですね。オハナちゃんの存在は環奈だけでなく、仲間たち全員に“もっと頑張ろう!”という気持ちを与えてくれた気がします。オハナちゃんは誰とでも仲良くなれる人懐っこさがあって、周りをすごく盛り上げてくれるんです。でも、そんな彼女もあるとき、ハワイの家族を思ってホームシックになって気持ちが不安定になる。その彼女に、声をかけて励ますのが環奈なんですよね。また、2人は家族というものに対してそれぞれ違う捉え方をしていて。もちろん環奈も家族のことが大好きですが、ちょっとだけ母親と溝が出来てしまっている。だからもしかすると環奈は、家族への思いを素直に表に出せるオハナちゃんに羨ましさを感じてるところもあるのかなという気がしました。

(C)BNP, FUJITV/おしゃれサロンなつなぎ

 

──実は2人って根底では似ていますよね。だからこそ、環奈がオハナを励ますのをきっかけに2人の距離感もぐっと近づいていったように思いました。

 

美山 あのシーンは私も大好きなんです。環奈がオハナちゃんに初めて寄り添うことが出来た瞬間でもあって。それまでの環奈は、オハナちゃんの子供っぽい振る舞いや喋り方を少し毛嫌いしているところがあったんです。でも、そんなオハナちゃんのしゃべり方をまねしてまで、元気づけようとする。環奈にとっては本当に大きな一歩だったなと思います。

 

──環奈が照れながらも頑張っているのが伝わってきました。実際の収録はいかがでしたか?

 

美山 私もアフレコをしながら、すっごく恥ずかしかったです(笑)。なかなかできなくて、何回も録り直しをしていただいて。でも、最後にはなんとか頑張れたので、ぜひ劇場でそのシーンを楽しんでいただければと思います(笑)。

 

──では、改めて完成したこの作品を見て、どんな映画になっていると感じましたか?

 

美山 きっと、多くの方が見終わったあとに、“明日も頑張ろう!”と勇気や元気をもらえるんじゃないかと思います。新人フラダンサーになった女の子たちが、それぞれの思いを抱えながら悩み、それでも“仲間たちがいるから頑張れる!”という姿には心を打たれます。特に、私には同期や同僚と呼べる存在がいないので、すごく羨ましかったですね。それに、この作品は実在する福島県の「スパリゾートハワイアンズ」がモデルになっているんです。ディーン・フジオカさん演じるスタッフの鈴懸さんが震災後の「スパリゾートハワイアンズ」についてお話をしてくださるシーンもあり、初めて知ることもたくさんありました。本当にこの作品に携わることができてよかったなと思いました。

 

──ちなみに、フラ経験者の視点で見たフラダンスのシーンはどうでしたか?

 

美山 素敵でした! 実はプロのフラダンサーの方々が実際に踊っている動きを使っているらしくて。ですから、足の動きとかも細かく表現されていて驚きました。フラって、足と手と腰の動きがバラバラだったりして、いざ踊ってみると想像以上に難しいので、ぜひこの映画をきっかけに興味を持っていただきたいです。

(C)BNP, FUJITV/おしゃれサロンなつなぎ

 

──美山さんは3歳の頃からフラダンスを習い始めたとのことでしたが、きっかけは何だったんでしょう?

 

美山 母がもともと大好きで、姉が先に習い始めていたのですが、私も一緒に通うようになったんです。今はもう習っていないのですが、この作品のアフレコの前には当時練習していた曲を聴いたりして、気持ちを作っていました。実家から、昔着ていたスカートを持ってきて、お部屋で踊ったりもして(笑)。

 

──いつか、その腕前も見てみたいです! では、美山さんが感じるフラダンスの魅力とは?

 

美山 踊っていると、すごく気持ちが落ち着くんです。それに、フラの曲の歌詞はハワイの言葉で、それぞれの意味を手話のような形で踊りの中で表現しているので、それぞれのダンスが何を意味しているのかが誰にでも分かるところも魅力です。また、楽器の音色やメロディも独特で、踊っている側も、観ている側も心が豊かになる。そんな癒やしの効果がたくさん詰まっているところが素敵だなと思います。

ギター、フィルムカメラ、コーヒー…と、どれもひとりでできる趣味が多いですね

 

──趣味のお話をもう少しお聞きしたいのですが、最近始めたものなどはありますか?

 

美山 本当に最近だと、今年の夏に初めてエレキギターを手にしたので、時間があるときはよく練習しています。もともと姉が持っていたアコースティックギターを19歳の頃に譲り受けて、それを弾いてはいたんです。全然、人に聴かせるほどの腕でもないんですけどね(笑)。でも、お仕事でエレキに触れる機会があり、それをきっかけに熱が再燃しました。

 

──自分で作曲をしてみたり?

 

美山 できたらいいなぁとは思います。思うだけで、きっと無理ですけどね(笑)。それと、最近の趣味で言えば、フィルムカメラとコーヒーにもはまっています。ずっとデジカメで写真を撮っていたんですが、ふとしたときにフィルムでも撮ってみたくなって。しかも、フィルムカメラって歴史が長いので、レンズやカメラ自身の形状にもたくさんの種類があるんです。ですから、いろんなカメラを手にしては、出来上がってくる写真の違いを楽しんでいますね。

 

──コーヒーの趣味というのは、豆を挽いたりしているということですか?

 

美山 はい。以前はコーヒーが苦手だったんですが、あるときに友人にオススメしてもらったカフェで飲んだアメリカンに衝撃を受けて。それで、自分でも淹れてみたいと思うようになったんです。そういえば、カメラもコーヒーも、昨年のおうち時間がきっかけで、ひとりでできる趣味を探していたところで出会ったものですね。

 

──その衝撃を受けた味を再現することはできたんでしょうか?

 

美山 それができないんです!(笑) きっと、そのお店ならではのやり方があるので、同じ機械と同じ豆を使ったとしても決して再現できないんでしょうね。でも、同じものは無理だとしても、最近はいろんなコーヒー豆を教えてもらっては、家でガリガリと豆を挽くところから始めています。とはいえ、これもなかなか奥が深くて。美味しいコーヒーの淹れ方を解説している動画を見ても、それぞれで言っていることが違ったりするんですよ!(笑)

 

──それはもう、自分で正解を見つけるしかなさそうですね(笑)。

 

美山 そうなんです。今は、もしかするとフィルターも大事なのかもって思いはじめています。フィルターにも紙のタイプと布のネルドリップなどがあって、以前、コーヒー屋さんで買ったものと、別の場所で買った安いフィルターでは味が全然違ったんです。ですから、そのあたりももう少し研究してみようかなと思っています。

 

 

【『フラ・フラダンス』シーン写真】

 

フラ・フラダンス

絶賛公開中

出演:福原 遥、美山加恋、富田望生、前田佳織里、陶山恵実里、山田裕貴、ディーン・フジオカほか
総監督:水島精二
監督:綿田慎也
脚本:吉田玲子
音楽:大島ミチル
配給:アニプレックス

公式サイト https://hula-fulladance.com/

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