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2022/7/15 10:30

市村正親「グルーの子供頃のお話で、オットーという新たなミニオンが出てくるんです。僕はこのオットーが好きです(笑)」

世界中で大人気の「ミニオンズ」の最新作『ミニオンズ フィーバー』がついに7月15日(金)に公開する。今回はミニオンと怪盗グルーの始まりの物語。吹替版でグルーの師匠的存在であるワイルド・ナックルズを演じた市村正親さんが、収録時のエピソードやお気に入りのキャラクターについて、茶目っけたっぷりに語ってくれた。

 

市村正親●いちむら・まさちか…1949年1月28日生まれ。埼玉県出身。劇団四季の看板ミュージカルスターとして活躍後、舞台を中心に活動。近年はドラマや映画など幅広く活動している。劇場版アニメ『ミューツーの逆襲 EVOLUTION』、映画『Merry Christmas!〜ロンドンに奇跡を起こした男』など、声優としての出演作も多い。ミュージカル「ミス・サイゴン」、「スクルージ」が公演予定。

【市村正親さん撮り下ろし写真】

 

「グルーって子供のときは毛が生えていたんだ!」って言ったのはとても印象的でした(笑)。

──『ミニオンズ フィーバー』日本語吹替版のキャストにオファーを受けたときの心境はいかがでしたか?

 

市村 何よりも(笑福亭)鶴瓶さんと同じ仕事ができることがうれしかったです。鶴瓶さんの持ち役であるグルーと絡めますからね。そして子供たちがずっと見ていた「ミニオンズ」に声優として出られることを誇らしく思いました。喜びであり、幸せでもありましたね。

 

──お子さんからは何か言われましたか?

 

市村 「パパ、かっこいい」って。それと下の子が見終わった後、「グルーって子供のときは毛が生えていたんだ!」って言ったのはとても印象的でした(笑)。

 

──市村さん自身は『ミニオンズ』にはどんな印象をお持ちでしたか?

 

市村 キャラクターがかわいい。それと鶴瓶さんのグルーが関西弁ということで日本のスペシャルバージョンみたいな感じがします。今回はグルーの子供頃のお話で、オットーという新たなミニオンが出てくるんです。僕はこのオットーが好きです(笑)。

 

──オットーもすごくかわいいです。

 

市村 一生懸命で健気でね。とある失敗して大事なものを奪われてグルーに怒られて、それを取り返すために一生懸命追いかけるところなんかすごくかわいかった。

 

──市村さんは子供時代のグルーの憧れの存在であるワイルド・ナックルズの声を担当。演じる上で意識したことはありました?

 

市村 僕は舞台でいろんな役を演じてきたんだけど、ワイルド・ナックルズの顔を見たときに、「ああ、僕の親父っぽいな」と思いました(笑)。ということは、僕は親父の年齢を超えているから、普通に僕でやればワイルド・ナックルズのようになるだろうと思いました。ただアニメーションの世界の人物は、特殊な動きをしますからね。それは生の人間にはできない動きなので、イメージしながら「ギャッ!」「ウェッ」「クァッ」「ンガガッ」という声を出さないといけない。そこは苦労しましたけど、楽しみながらできました。

 

つまり僕のテリトリーの中でワイルド・ナックルズをやっていいんだなって

──アクションシーンで出る声だと思いますが、そういう声を出すときは体も一緒に動いたりするのですか?

 

市村 やっぱり動きますよ。「ああー!!」ではなく「ぎゃああああああああっ!」ってリアルな声が出るから。ワニと格闘するシーンとかは、演出家の方に「もっとこう、もっとこう」って指示を頂きながら、いい感じの声になるように作っていきました。

 

──ワイルド・ナックルズの声を担当して難しいと感じたことはありましたか?

 

市村 いつも思うけど、簡単にはできないですよ。ただワイルド・ナックルズはストンと入れた気がします。そういうことも含めて、キャスティングしてくださっていると思うんです。市村だったら、この役でこうなるだろうなって、プロデューサーの計算があると思うので、その中に入っていくわけだから単純に僕じゃない役ではないんです。つまり僕のテリトリーの中でワイルド・ナックルズをやっていいんだなって感じでしたね。

 

──あえて低めの声で演じられたと伺いました。

 

市村 そう、一応悪党だし、あんな顔をしていますからね(笑)。自分がワイルド・ナックルズの顔になったつもりでやると、あの声が出てきました。

 

ワイルド・ナックルズとグルーで銀行に行くシーンはいいんじゃないですかね

──では鶴瓶さんのグルー、尾野真千子さんのベル・ボトムの声を聞いた感想は?

 

市村 今回は3人一緒の収録はできなかったんですが、バッチリですよね。尾野さんがアフロのカツラをつけたら、あのキャラクターになっちゃいそうな感じだし(笑)。鶴瓶さんはいつものまま、少年グルーになっている感じだし。お母さんも相変わらずお母さんで楽しめました。

 

──収録の際は鶴瓶さんの少年グルーの声を聞くことはできたんですか?

 

市村 まだだったんじゃないかな。ただワイルド・ナックルズのほうが前に出て「お前、名前なんつーんだ!!」って押していく役で、グルーはそれを「は、わわ……」って受ける側だから、グルーを後に録ってよかったと思いますね。

 

──では今作の中で市村さんがおすすめするシーンを教えてください。

 

市村 ワイルド・ナックルズは次々と人に裏切られて、自分を慕うグルーに出会います。2人の師弟関係も描かれていくので、2人で銀行に行くシーンはいいんじゃないですかね。おじいちゃんと孫という設定で、さらに役に入るんですよ(笑)。

 

──作品全体の見どころを教えてください。

 

市村 グルーの少年時代が描かれ、どう『怪盗グルーの月泥棒』につながっていったのかわかると思います。グルーとミニオンたちとの出会い、大怪盗グルーを作り出した原点を知ることができるのが見どころだと思いますし、その作品に参加できて僕もうれしかったです。そして70年代という設定も見どころかなと。

 

──ファッションや音楽もかっこいいと思いました。

 

市村 ちょうど僕が20歳の頃です。ワイルド・ナックルズがパンタロンを履いていたけど、僕も履いていたなって思いました(笑)。

 

自分で子供たちのためにカエルの椅子を作ったこともありますよ(笑)

──ここからはモノやコトに関する質問をさせてください。お仕事現場に必ず持っていくモノはありますか。

 

市村 楽屋や控え室に音がないのはいやなので、ジャック・ジョンソンの音楽を流しています。音がないと周りに気を遣ってしまって、なんか居づらいんですよ。

 

──スマホで聴かれるんですか?

 

市村 そう。それにスピーカーを繋いだり、楽屋だったらCDプレイヤーがあったりするところもあるから。

 

──こだわりのモノだったり、熱くなったりするモノはありますか?

 

市村 電熱器とか?(笑)

 

──市村さんご自身が熱くなるモノです(笑)。これはつい集めてしまうというモノとか。

 

市村 カエルです。カエルのグッズはおもしろいモノがあると買っちゃいますね。以前ママと何かを集めようという話になったことがあり、お金も無事カエルとか、カエルって縁起物でもあるので、いろんなところに行って、カエルを見ると「これいいな!」って買っています。だから我が家にはカエルグッズがけっこう置いてあります。カエルの蚊取り線香とかね。

 

──カエルに目がいってしまうんですね。

 

市村 うん。自分で子供たちのためにカエルの椅子を作ったこともありますよ(笑)。カエルの顔になっていて、目を描いて模様も描いて。今は子供たちも座れる大きさではなくなってしまったので、ベランダに置いてあります。時々犬が噛んでいますよ(笑)。

 

©2021 Universal Pictures and Illumination Entertainment. All Rights Reserved.

ミニオンズ フィーバー

7月15日(金)より全国公開

【映画「ミニオンズ フィーバー」よりシーン写真】

(STAFF&CAST)
監督:カイル・バルダ
出演:スティーヴ・カレル、タラジ・P・ヘンソン、ミシェル・ヨー、RZA、ジャン=クロード・ヴァン・ダム
吹替版:笑福亭鶴瓶、市村正親、尾野真千子、渡辺直美、田中真弓、速水 奨、大塚明夫、立木文彦、冨野真守、LiSA

(STORY)
時は1970年代。ミニオンたちは、ミニボスとして崇拝する11歳の少年グルーのもと、日々悪事をはたらいていた。ある日、少年グルーが何者かに連れ去られてしまう! 身のボス救出のために奔走するケビン・スチュワート・ボブはある事件をきっかけにカンフー・マスターと出会い、弟子入りを志願する。それは幾重もの試練が待ち受ける険しき道の始まりだった……。

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撮影/映美 取材・文/佐久間裕子