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2023/1/26 6:30

吉田美月喜「自分の人生において1つしかない思い出いっぱいの作品。もう6回ぐらい観ています(笑)」

演劇ユニット「iaku」の同名舞台を映画化した『あつい胸さわぎ』が、1月27日(金)より公開する。若年性乳がんを宣告された18歳の千夏と母の昭子を中心に港町を展開されるハートウォーミングな群像劇で、映画初主演を務めた吉田美月喜さん。千夏を演じるうえで等身大を心がけたという役作りの話や実生活での母との関係性についてなどを伺いました。

 

吉田美月喜●よしだ・みづき…2003年3月10日生まれ。東京都出身。主な出演作にドラマ『シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。』『ドラゴン桜』、映画『鬼ガール!!』『たぶん』『メイヘムガールズ』、Netflixドラマ『今際の国のアリス』など。2023年はドラマ『沼る。港区女子高生』、映画『パラダイス/半島』『カムイのうた』の公開を控える。Instagram

 

【吉田美月喜さん撮り下ろし写真】

 

実際はとても温かいお話で、年齢的にも主人公の千夏に共感できる部分が多かった

──オーディションを受ける前に台本を読まれたときの率直な感想は?

 

吉田 企画書には“乳がん”というワード以外にも、「家族や初恋が複雑に絡み合っていく話」と書いてあったので、かなり身構えて脚本を読み始めたんです。でも、実際はとても温かいお話で、年齢的にも主人公の千夏に共感できる部分が多かったんです。お母さんと仲が良いことや、高校を卒業してのワクワク感みたいなところとか、青春映画な感じがしたんです。それで「この役やりたい!」という気持ちが高まり、オーディションを受けました。

 

──吉田さんと同年代である千夏の役作りについては?

 

吉田 18歳といえば、子どもでも大人でもない複雑な年齢だと思うんです。自分一人だけでは答えが出ないけれど、それを表に出すこともできない。また、もし私が乳がんと診断されたときの困惑も、千夏と変わらないんじゃないかと。そういったことを意識しつつ、できるだけ自分の等身大で演じることを心がけました。それは、監督やスタッフの方、それから常盤(貴子)さんや前田(敦子)さんら、ほかのキャストの方たちが、私が等身大の自分でいられる現場を作ってくださっていたおかげでもあります。

 

私も大人になったら、常盤さんのような気遣いがさらっとできる女性になりたい

──事務所の先輩である常盤貴子さんが、お母さんの昭子役を演じられています。

 

吉田 常盤さんは大先輩なので、お会いする前は緊張していたんですが、撮影時も撮影以外でも、本当の母のように、私のことをいろいろ面倒見てくださって、ありがたかったです。それもあり、最初に撮った冒頭の日常の掛け合いシーンから、すぐに親子になることができました。また、とてもかっこいい方で、サーカスのシーンで「このTシャツ、いいですね」とお話していたらプレゼントしてくださり、市場でも「この魚、おいしそうですね」みたいなお話をしていたら、後日、その魚が入った宅急便を自宅に送ってくださったんです。私だけでなく家族にまで、そんな対応をしてくださるなんて! 私も大人になったら、そんな気遣いがさらっとできる女性になりたいと思いました。

 

──そんな常盤さんとの共演で、お好きなシーンは? また、吉田さんと実際のお母さんとの関係性はいかがですか?

 

吉田 常盤さんとの共演シーンでいうと、お互い真剣にぶつかっているシーンも好きですが、庭で花に水をあげながら、母の恋愛の話をしているシーンが好きです。千夏が何の根拠もない自信を持つ、ほんわかとした雰囲気がお気に入りですね。実際の母と私も、何でも話すような親子ですね。カラオケにもよく行くんですが、母の影響もあって、レベッカやチェッカーズ、あとは山口百恵さんや中森明菜さんなどの70~80年代の懐メロを歌うことが多いんです。また、私がお風呂の湯船にかなりの時間入っているんですが、湯船の縁にお母さんが座って、ずっと話していますね。お母さんの仕事の話とか、私の些細な愚痴とか、飼っている犬のチョコの散歩中の話とか。よく考えたら、そういう時間も千夏とお母さんに似ているかもしれません。

 

現場での休憩時間中も、美容についてとか、いろいろお話できて、楽しかった

──また、透子役の前田敦子さんの印象はいかがでしたか?

 

吉田 前田さんとの共演も初めてだったのですが、実際お会いしたときの感想は「わぁ、きれいな方だなぁ」でした。役柄的にはお姉ちゃん的存在なので、「どんなふうに話しかけたらいいのかなぁ?」と思っていたら、衣装合わせのときに前田さんから話しかけていただいてすごく嬉しかったです。現場での休憩時間中も、美容についてとか、いろいろお話できて、楽しかったです。そんな関係が築けたからこそ、2人でバチバチ言い争いをするシーンもうまくいったんだと思います。

 

──千夏の初恋相手である光輝役の奥平大兼さんとの印象はいかがでしたか?

 

吉田 奥平さんは私の一歳下という年齢が近いこともあり、とても気軽に話せる存在だったのですが、自分をしっかり持っている方なんです。驚くぐらい堂々としすぎていて、どこか天才肌なところを感じました。それはター坊役の佐藤緋美さんにも言えていて、洋服や音楽好きという点も同じですね。

 

「現場を引っ張ってくれるから安心だよね」と言ってもらえるような存在になりたい

──本作は吉田さん自身において、どんな一作となったと思われますか?

 

吉田 初めての主演映画という、自分の人生において1つしかない思い出いっぱいの作品になりました。もう6回ぐらい観ています(笑)。乳がんを宣告された千夏の葛藤を描いている作品ですが、笑えるシーンもありますし、どのキャラクターも千夏を見捨てないで見守ってくれているので、とても温かい気持ちになれる映画になりました。私も作品を通じて、何かしらのことで悩んでいる人に対して、しっかり向き合う姿勢の大切さを学びました。実は撮影後に、原作の舞台の再演を見る機会があったのですが、素敵すぎて「私の千夏は受け入れられるのか?」と不安だったんです。でも、すでに映画を観た舞台のファンの方から「良かった」と言っていただいているので自信がつきました!

 

──2023年は本作を機に、主演作やヒロインを務める作品が続々と公開されます。将来の展望を教えてください。

 

吉田 ずっと前から芯のある女優を目指していこうと思っています。それこそ、今回常盤さんや前田さんといった存在から芯のある女性像をすごく感じたのですが、やはり主演を務めるからには、周りの方から「現場を引っ張ってくれるから安心だよね」と言ってもらえるような存在になりたいです。これまでの作品では、自分のことでいっぱいいっぱいだったため、主演としてはまだまだだったと思います。頑張ります。

 

──現場にいつも持っていくモノ、手放せないアイテムがあれば教えてください。

 

吉田 去年の春に初めて、舞台(「エゴ・サーチ」)をやらせていただき、そのときに共演者の方に、手ぬぐいをいただいたんです。それ以来、お弁当を食べるときに下に敷いてみたり、ペットボトルに付いた水滴を拭いたり、使い勝手のいい手ぬぐいにハマりました。『パラダイス/半島』(2023年)という作品で共演した落語家の立川かしめさんからいただいた手ぬぐいもあり、今は4枚ほどを使い回しています。

 

 

(C)2023映画『あつい胸さわぎ』製作委員会

あつい胸さわぎ

1月27日(金)より新宿武蔵野館、イオンシネマほかにて全国公開

 

(STAFF&CAST)
監督:まつむらしんご
原作:戯曲『あつい胸さわぎ』横山拓也(iaku)
脚本:髙橋泉
出演:吉田美月喜、常盤貴子
前田敦子、奥平大兼、三浦誠己、佐藤緋美、石原理衣

(STORY)
港町の古い一軒家に暮らす武藤千夏(吉田美月喜)と、母の昭子(常盤貴子)は、慎ましくも笑いの絶えない日々を過ごしていた。小説家を目指し念願の芸大に合格した千夏は、授業で出された創作課題「初恋の思い出」の事で頭を悩ませている。千夏にとって初恋は、忘れられない一言のせいで苦い思い出になっていた。その言葉は今でも千夏の胸に“しこり”のように残ったままだ。だが、初恋の相手である川柳光輝(奥平大兼)と再会した千夏は、再び自分の胸が踊り出すのを感じ、その想いを小説に綴っていくことにする。一方、母の昭子も、職場に赴任してきた木村基春(三浦誠己)の不器用だけど屈託のない人柄に興味を惹かれはじめており、20年ぶりにやってきたトキメキを同僚の花内透子(前田敦子)にからかわれていた。親子二人して恋が始まる予感に浮き足立つ毎日。そんなある日、昭子は千夏の部屋で“乳がん検診の再検査”の通知を見つけてしまう……。

【映画「あつい胸さわぎ」よりシーン写真】

(C)2023映画『あつい胸さわぎ』製作委員会

 

撮影/映美 取材・文/くれい響 ヘアメイク/田中陽子 スタイリスト/岡本純子