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2023/7/7 6:30

中村守里「思いっきり叫ぶし、見られ方とか気にせず、顔ぐしゃぐしゃになってやるぞ! 」映画『ヒッチハイク』

“最恐”都市伝説を映画化した『ヒッチハイク』(7月7日(金)公開)で、山奥で道に迷ったことで不気味な一家に遭遇してしまうヒロイン・涼子を演じる中村守里さん。女優として注目を浴びた映画『アルプススタンドのはしの方』から3年、2023年は大河ドラマ「どうする家康」に出演したほか、出演映画も続々公開予定です。今回、観るのも苦手だと語るホラー映画に意を決して挑戦した中村さんに、撮影エピソードなどを振り返ってもらいました。また、役作りを機にハマっているアイテムも紹介してくれました。

 

中村守里●なかむら・しゅり…2003年6月14日生まれ。東京都出身。ミスセブンティーン2018ファイナリスト。2018年からラストアイドル1期生として活躍(2020年卒業)。主な出演作に映画「アルプススタンドのはしの方」「世界の終わりから」、大河ドラマ「どうする家康」、ドラマ「美しい彼」シリーズなど。今後の出演作に映画「カタオモイ」(8月4日(金)公開)、映画「まなみ100%」(9月29日(金)公開)がある。TwitterInstagram

【中村守里さん撮り下ろし写真】

ただ、私自身かなりの怖がりで、ホラー映画が苦手なんです

──今回の涼子役は、オーディションで選ばれたそうですね?

 

中村 私がオーディションを受けた段階では、涼子役になるのか、友だちの茜役になるのか分からず、どちらのお芝居もしました。オーディションでは「松嶋菜々子さんが好き」という話もしましたし、最後に思いっきり叫んだりもしました。ただ、私自身かなりの怖がりで、ホラー映画が苦手なんです。都市伝説や怪談が好きな友だちはいますが、私から観たいとか聞きたいと思ったことは一度もなかったんです……。

 

──そんななか、清水涼子としての役作りはどのようにされましたか?

 

中村「思いっきり叫ぶし、見られ方とか気にせず、顔ぐしゃぐしゃになってやるぞ!」という気持ちでした(笑)。涼子のキャラクターは控えめで慎重派な子なので、そこからのギャップを見せたいと思っていましたから。あとは、どこかで物音が聞こえたときなどの視線の向け方を意識しました。

 

──『ひとりかくれんぼ』『コープスパーティー』など、多くのホラー映画を手掛けている山田雅史監督から、おすすめのホラー映画は紹介されましたか?

 

中村 松嶋さんが出られている作品ということで、台本読みのときに、山田監督から『リング』を勧められました。でも、なかなか観ることができなくて、やっと観始めたらホントに怖くて……、なんとか最後まで観ることができました。今まで観たことがなかったので、よく分からなかったのですが、「『ヒッチハイク』もこんな雰囲気の作品になるんだろうな」というイメージがわいたので、観てよかったです。

 

車内が奇妙な空間になっていて、本当に気持ち悪かったです(笑)

──時代錯誤なカウボーイ姿のジョージ役を演じる川崎麻世さんら、涼子たちを襲う不気味な一家との共演はいかがでしたか?

 

中村 川崎さんは、現場での佇まいや歩き方から神妙な雰囲気というか不思議なオーラが漂っていて、その時点で怖かったです。ジョセフィーヌ役の速水(今日子)さんには、控室にいらっしゃるときに「おはようございます!」とごあいさつしたんですが、よく見たらメイクで真っ白な顔をされていて、「おぉ……」となってしまいました(笑)。でも、一番怖かったのは大男役の保田(泰志)さんで、圧倒されてしまいました。双子のアカちゃんとアオちゃんは、最初は区別がつかなかったんですが、現場でアカは赤色のダウンコート、アオは青色のダウンコートを着て、無邪気な感じがかわいらしかったです。実際の皆さんは優しい方で、現場は和気あいあいとしていました。

 

──そんなジョージ一家が熱唱するスイス童謡「おおブレネリ」を、キャンピングカーで聴かされるシーンはいかがでしたか?

 

中村 皆さん歌がお上手なこともあって、車内が奇妙な空間になっていて、本当に気持ち悪かったです(笑)。12月に群馬の山奥で撮っていたので、ただでさえ寒いんですよ。さらにゾゾーッとして、そのときに私の中に生まれた感情がそのままカメラに映っていると思いますね。

 

アフレコのとき、あらためて監督のホラー愛を感じました

──完成した作品を観たときの感想、そしてお好きなシーンは?

 

中村 完成した作品を観たときは、内容を全部知っているのに、怖くて、怖くて……。自分が出ているのに、自分じゃない人に見えてきちゃったんです(笑)。大倉(空人)さんが演じている健が銃を持って反撃するシーンは、健が成長した一歩を表していてかっこよかったです。涼子的には「この子は敵なの? 味方なの?」というところがあって、演じていて苦労しましたが、そのお芝居の変化にも注目してほしいです。

 

──本作に出演したことで、中村さん自身が学んだことなどがあれば教えてください。

 

中村 ホラー映画は観るのと出るのでは、全く違うものだと思いました。相変わらず、私一人では観れませんが、撮影は怖くないというか、撮影中もむしろワイワイして楽しかったのでまた出演してみたいです。あと、撮影後にアフレコをしたんですが、そのときに山田監督が映像を観ながら、ずっとニコニコされていたんです。ひょっとして現場より笑顔だったかもしれませんが、そのときに監督のホラー愛を感じました。

 

自分にしかできない表現で、いろんな人物を演じてみたい

──今後、8月にはいまおかしんじ監督の『カタオモイ』、9月には青木柚さんとW主演を務めた川北ゆめき監督の『まなみ100%』と、出演映画が連続公開されます。

 

中村『カタオモイ』は片岡鶴太郎さんの娘役で、レストランの厨房に立つとかアルバイトしているような気分を体験できました。いまおか監督のどこかつかめない演出も楽しかったですが、私もよくつかめないと言われるので、同じ人種なのでしょうか(笑)。そのいまおか監督が脚本を書かれた『まなみ100%』では、まなみちゃんの10年間を演じたのですが、順撮りではなかったので、その日によって、大人になったり、高校生になったりして大変でした。たまに高校生に戻りきれないときがあって、川北監督から「ちょっと大人っぽいんじゃない?」と指摘されることもありました。あと、主人公の“ボク”にとって、まなみちゃんはマドンナ的存在なので、「魅力的な人に見えなきゃいけない」と思いつつ、ずっと「魅力的ってなんだろう?」と考えていましたし、監督の期待に応えなきゃというプレッシャーもありました。

 

──女優として注目された『アルプススタンドのはしの方』から3年、先日二十歳を迎えられましたが、今後の希望や展望を教えてください。

 

中村 いろんな現場で、「『アルプススタンド』観たよ!」「「美しい彼」観たよ!」と言っていただけることは嬉しいです。今後も、多くの方にそう言っていただける作品に出られるよう頑張っていきたいです。あと、「この人が出ていたら、気になるし、観てみたい」と言われるような人になりたいです。今は安藤サクラさんに憧れていますが、自分にしかできない表現で、いろんな人物を演じてみたいです。

 

今ハマっているモノは「お薦めされた中古のフィルムカメラ」

──よく現場に持っていかれるモノやアイテムについて教えてください。

 

中村 小さいときから本を読むのが好きなので、バッグの中にはいつも1、2冊は文庫本を入れています。今は村上春樹さんを好きになったきっかけの一冊「国境の南、太陽の西」を読み返したり、映画版を観たことで原作を読み始めた「スイートリトルライズ」を入れていたり。あと三島(由紀夫)さんの作品は、一度断念したこともあるんですが、改めて「複雑な彼」に挑戦したら、とても読みやすくて面白かったです。漫画はあまり読んだことがなかったんですが、友だちに勧められた「シバトラ」を読んだらハマりました(笑)。落ち着いた雰囲気が好きなので、図書館にもよく行きますし、電子書籍だと目が疲れちゃうので、文庫本でよく読んでます。

 

↑村上春樹著「国境の南、太陽の西」をはじめお気に入りの作品は何度も読み返すという。右は小学生時代から愛用しているペンケース

 

──長年使っていて、手放せないモノやアイテムは?

 

中村 私、物持ちいい方だと思うんですが、そのなかでも小3の頃から使っているペンケースです。それまで使っていた缶でできたものが壊れてしまって、ロフトで買い直したんですが、大人っぽいものを考えて小3が選ぶにしては、なかなか地味なデザインで(笑)。中にはボールペンとシャープペンと消しゴムぐらいしか入れていません。

 

↑リラックスできると愛用の香水と撮影をきっかけに購入したカメラ

 

──今ハマっているモノやアイテムについても教えてください。

 

中村 放送中のドラマ「カメラ、はじめてもいいですか?」(BS松竹東急)の役作りで始めたカメラです。とにかく手に馴染ませるために、デジカメを使っていたんですが、撮影が終わった後に、お借りしていたカメラ屋さんに行って、いろいろ相談した後に、お薦めの中古のフィルムカメラを購入しました。レトロチックでデザインもかわいい「オリンパス PEN EE-2」です。あと、「二十歳になる前に、ちょっと大人になりたいなぁ」という思いから買い始めた香水。今アトマイザーに入れ替えたものは「ゲラン」のもので、ローズ系なんですが、くどくなくて、スッと抜けるような匂いで、落ち着くんですよね。

 

 

ヒッチハイク

7月7日(金)より全国ロードショー

【映画「ヒッチハイク」よりシーン写真】

(STAFF&CAST)
監督:山田雅史
脚本:宮本武史
出演:大倉空人、中村守里、平野宏周、高鶴桃羽、速水今日子、結城さと花、結城こと乃、保田泰志、細田善彦、川崎真世

(STORY)
大学生の涼子(中村)と茜(高鶴)は、ハイキングの帰りに山道で迷ってしまう。やっとバス停に辿り着いたものの、バスが来る気配は全くなかった。さらに、涼子は足を怪我しており、茜の彼氏も飲み会で迎えに来られないらしい。2人は、意を決してヒッチハイクをすることに。こんな山奥で無謀にも思えたが、運良く一台のキャンピングカーが停まる。運転席から降りて来たのは、時代錯誤のカウボーイの格好をしたジョージと名乗る男(川崎)。ジョージは快く2人を受け入れ、車内へと誘う。そこには、ジョージの家族も同乗していたが、どこか異様な雰囲気が漂っていた―。いっぽう、過保護な親にウンザリしている健(大倉)は、悪友の和也(平野)を誘い同じ山でヒッチハイクの旅をしていた。

※川崎麻世の「崎」は立つ崎が正式表記

(C)2023「ヒッチハイク」パートナーズ

 

撮影/映美 取材・文/くれい響