宮藤官九郎氏のオリジナル脚本で、2016年に連続ドラマとして放送された『ゆとりですがなにか』(日本テレビ系)。岡田将生さん、松坂桃李さん、柳楽優弥さん演じる「ゆとり第一世代」のアラサーたちが、社会問題や恋愛に葛藤する姿が描かれ話題に。2017年にはスペシャルドラマも放送され、2023年に待望の映画化となった。
島崎遥香さんが演じるのは、岡田さん演じる坂間正和の妹・坂間ゆとり。その名のとおり平成生まれの“真性ゆとり”であり、兄の生き方を「古い」と批判しては合理的に生きてきた。当映画では就職や恋愛を経た、ゆとりのその後が明らかになる。島崎さんには、役との共通点や新世代に対して思うこと、さらに役者意識からGetNavi webおなじみの“今ハマっていること” まで聞いた。
【島崎遥香さん撮り下ろし写真】
坂間家、集結!「『サザエさん』みたいだなって」
──連続ドラマ『ゆとりですがなにか』が映画化すると知り、最初に思ったことを聞かせてください。
島崎 2017年のスペシャルドラマを撮影したあと、“絶対にまた続きがある!”と信じていたので、うれしかったですね。
──続編があると言われていたのでしょうか?
島崎 それは全く言われていなかったです。“続編をやってほしい”という願望が強くありました。
──楽しい現場だったのですね。久しぶりに集結した坂間家の雰囲気はいかがでしたか?
島崎 何にも変わっていなかったです。どういう感じになるのだろうと私も不安でしたが、現場に行った瞬間に、昔と変わらない空気感を感じました。やっぱり、すごく居心地が良かったです。
──具体的に、現場での坂間家はどのような空気感なのでしょう?
島崎 なんていうんだろう……坂間家は『サザエさん』みたいだなって思っていて。ほんわかした感じです。家族みたいな感覚で、自然体でいられるんです。本当に、たわいもない会話をしますよ。
──例えばどんな会話をされたのか、うかがっても?
島崎 たわいもなさすぎて覚えていないです(笑)。それから、ほんわかした中で監督が「よーい、スタート」と言ってカメラがまわったときも、“戻ってきたなぁ”という感覚になりましたね。懐かしさが蘇りました。
島崎遥香は「ゆとりちゃんのようなタイプの人間」
──島崎さんは『ゆとりですがなにか』のタイトルを体現する “坂間ゆとり”役ですが、一貫して意識していることはありますか?
島崎 “ちょっとドライに見える”ことかな。年配の方が見たら“冷めて見える”というか、何を考えているかわらかないというか、媚を売りすぎないというか……。ゆとり世代って付き合いが悪いとよく言われますし、そんなふうに見られるイメージがあるので。そこだけはブレないようにしようかなと。
──映画ではゆとりのその後が描かれていましたが、台本を見た時、どう思ったのでしょう?
島崎 ゆとりちゃんのその後について、ここまでの予想はしていませんでしたが、「まぁ、どうせこうなるよな」って思いました(笑)。ただ自分がゆとりちゃんのようなタイプの人間なので、ゆとりちゃんの生き方は、特に不思議に感じることもなく、自然と受け入れていましたね。
──ゆとりと島崎さん自身に、重なる部分があると?
島崎 はい。目立ちたがり屋というよりは、ちょっと内気っぽいところが似ています。あとは思ったことを行動に移す速さ、後先考えずに行動する感じが似ているかもしれないです。
──行動派なのですね。具体的なエピソードをうかがっても?
島崎 例えばですが、ゆとり世代から「会社辞めた!」ってよく聞きますけど、私も辞めようと思ったら、何も決まっていなくてもすぐ辞めますね。多くの人は、計画を練ってから行動するじゃないですか。私は保証がなくても、とりあえず行動しちゃう。意外と行動派なんです。
──ちなみにドラマの視聴者からは、ゆとりと、元彼である“まりぶ”のその後について気になるという声もあがっていました。
島崎 気になりますよね! 私も気になっていました。一応2人だけのシーンはありましたが……少しでした(笑)。ギュッと詰め込んだのだと思います。正直「どういうことなんだろう!?」と思う部分もありますが……時間が限られている映画なので、しょうがないですねぇ。
──視聴者の想像にお任せします、ですかね。島崎さん自身もゆとり世代にあたりますが、実際に「ゆとりですがなにか」と思った体験はありますか。
島崎 当事者だと、“ゆとり”だと感じること自体、あまりないかもしれないです。「あなた、ゆとりだよね」なんて、そんな直接言ってくる人もいないですし(笑)。ニュースで“ゆとり教育”を耳にしていたくらいかな。土日はお休みでしたし、ゆとり教育を受けていたんだなっていう実感はあります。
──では平成生まれの真性ゆとりや、Z世代に対して違いを感じたことは?
島崎 年が離れている弟がいて、まさに新世代ですね。受験方法が変わったり、英語を小学生からやるようになったり。あと今はダンスも授業に含まれているんですよね。それらはなかったなぁって。ただ、そういう実際に変わったことはあっても、「この世代だから、こうだよね」ってことはないと思うんです。結局は人。何でもそうですけど、人によりますね。
──この作品でも、同じ世代でさまざまな人が登場しますしね。
「自分の感覚を入れないと演じるのが難しいんです」
──ドラマ放送から映画化までの7年間に、さまざまな作品に出演された島崎さん。役を演じるうえで、意識が変わったことはありますか?
島崎 ないです。たぶん今後も変わらないです。頑固なので。私、どの役でも「自我」を入れたいんですよ。その「自我」の部分はずっと変わらないと思います。
──「自我」を入れたい、と。演じるうえでの、こだわりなのですね。
島崎 そうじゃないと、できない。自分に照らし合わせて、自分の感覚を入れないと演じるのが難しいんです。感情がうまく乗らないというか……。だから、どの役でも「島崎遥香っぽいな」って、見る人に感じてもらえると思っています。これまでの作品でも、ファンの人だったら分かるんじゃないかな。
──自分と真逆のタイプの役でも?
島崎 はい。どこかしら共通する部分を見つけるようにします。そうしないと、私らしくない。自分らしさを大切にしています。
──強い意思を感じました。最後にGetNavi webということで、現場でも思わず楽しんでしまうような、今ハマっているモノやコトを教えてください。
島崎 全部かき氷になっちゃう! どこでも言っていますが、かき氷が好きで、お店に食べに行きます。撮影現場でも、休憩時間があれば近くのお店を調べて、行けたら行きます。1年中食べているので、普通の人よりかは食べていると思います(笑)。
──1年中ということは、冬も食べられるのですか?
島崎 食べます。冬は、寒いです。だからダウンを着て行きます(笑)。あったかいお茶が入ったマイボトルを持参して。
──また強い意思を感じました。ぜひ、かき氷の良さを教えてください。
島崎 味変がしやすいことです。氷って、味がついていないじゃないですか。お食事系にもできるし、スイーツにもなるし、無限の可能性がある! お店では2、3杯食べるので、おなかいっぱいにもなります。白米みたいなものですね。身体が冷えても食べ続けますよ、途中からは試練だと思って食べていますけど(笑)。
映画『ゆとりですがなにか インターナショナル』
10月13日(金)全国公開
【映画『ゆとりですがなにか インターナショナル』よりシーン写真】
(STAFF&CAST)
監督:水田伸生
脚本:宮藤官九郎
プロデューサー:藤村直人、仲野尚之(日テレ アックスオン)
出演:岡田将生、松坂桃李、柳楽優弥、安藤サクラ、仲野太賀、吉岡里帆、島崎遥香 / 木南晴夏、上白石萌歌、吉原光夫 / 中田喜子、吉田鋼太郎
主題歌:「ノンフィクションの僕らよ」感覚ピエロ(JIJI.Inc)
配給:東宝
公式サイト:https://yutori-movie.jp/
(STORY)
<野心がない><競争心がない><協調性がない>【ゆとり世代】 。かつて勝手にそう名付けられた男たちも30代半ばを迎え、それぞれの人生の岐路に立たされていた……。夫婦仲はイマイチ、家業の酒屋も契約打ち切り寸前の正和(岡田)、いまだに女性経験ゼロの小学校教師・山路(松坂)、事業に失敗し、中国から帰ってきたフリーター・まりぶ(柳楽)。≪Z 世代≫≪働き方改革≫≪テレワーク≫≪多様性≫≪グローバル化≫……彼らの前に、想像を超える新時代の波が押し寄せる! 時代は変わった。俺たちは……どうだ!?
© 2023「ゆとりですがなにか」製作委員会
撮影/中田智章 ヘアメイク/信沢Hitoshi スタイリング/黒瀬結以