ファッション
2018/2/22 20:30

【革の知識】「プエブロ」って知ってる? 劇的に変化するエイジングに魅了される人続出

ホンモノ素材辞典vol.5

今回のホンモノ素材辞典は、起毛ゆえの独特な質感で、使い込むと劇的に変化するエイジングが魅力のイタリアン・レザー「プエブロ」をご紹介します。

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表面をヤスリで削って出す独特の魅力

イタリアンレザー「プエブロ」。この素材につけられた「プエブロ」とは、アメリカの南西部やメキシコ北部に残るプエブロ・インディアンの伝統的な共同体や集落のこと。なぜイタリアン・レザーにネイティブアメリカンに関する名称が?と思ってしまいますが、プエブロが持つ民族的な風合いのイメージにちなんでこの名前がつけられたのだとか。

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プエブロは「バケッタ製法」と呼ばれるイタリアの伝統的な製法で、植物性タンニンだけを使って鞣し、長い時間をかけて牛の脚から採った脂をたっぷりと染み込ませて作られています。

 

表面はわざと毛羽だったような起毛加工が施されていることもプエブロの特性です。起毛革は「ヌバッックレザー」とも呼ばれ、使い込むことで表面の毛羽立ちが寝たり摩耗したりするとともに、人の手の脂などが染み込むことで、経年変化が一般的な皮革素材よりも速いペースで起こります。

 

吟面をやすりなどを使って起毛処理を施していることから、新品の時にはざらざらと艶のない状態ですが、使用時間を経るとこれが滑らかに馴染んでいき、同時に大きく色味も変化します。

 

プエブロのカラーは艶やかでありながらも、どこか素朴な味わいのあるものが揃っていますが、表面が滑らかに変化していくと同時に、色合いは濃く、深みを増していきます。

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色にせよ、質感にせよ、エイジングによって生じる大きな変化は、決してプエブロの魅力を損なうものではありません。経年変化によって生まれる色の濃淡や擦れ、キズなどは持ち主ごとの個性として製品に刻まれ、それがまた唯一無二の美しさと愛着を生み出すのです。

 

もともとプエブロはその古典的な製法ゆえに、色味が均一ではなく、ロットごと、あるいは1枚の革のなかにも微細な色ムラが見られますがそれも魅力のひとつ。革の魅力を知る人ほど評価の高いのがこのプエブロなんです。

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タンナーはフィレンツェの「バダラッシー・カルロ」

このプエブロを世に送り出しているのは、イタリア中部、トスカーナ州のフィレンツェにあるタンナーであるバダラッシー・カルロ社です。前述のバケッタ製法を用い、上質な皮革素材を生み出している名タンナーで、ミネルバ・ボックス、ミネルバ・リスシオといった名革の製造元としても知られています。

 

バダラッシー・カルロが得意とするバケッタ製法は、風合いのよい革を作れる伝統的製法です。その一方で、工程のすべてを手作業で行い、製品を仕上げるまでに手間と時間がかかりすぎるのが難点。1000年もの歴史を誇りながら、効率的な現代的製法に駆逐されかけていたこの製法を現代に甦らせたのが、社名にもなっている創業者のバラダッシー・カルロ氏です。イタリア独自の伝統的な製法に賭けた同社の熱意はプエブロ、ミネルバボックスをはじめとするすばらしい商品として結実し、今では世界的に高い評価を得るに至っています。

 

 

メンテナンスの手軽さも魅力

バケッタ製法によって作られるプエブロは、一般的な皮革素材のなかでも油脂分を多く含んでいます。そのため、起毛加工された外見からは意外に思えますが、水濡れにも比較的強い素材です。特にエイジングによって表面が滑らかになってきたあとは、よりいっそう水が染み込みにくい状態となります。

 

これはほかの皮革素材でも同じですが、万が一、長い時間、水に濡れた状態が続いたようなときは、日向ではなく、陰干しでゆっくりと水分を抜くのが鉄則。特にドライヤーなどを使って急速に乾かそうなんて思ってはいけません。変形が起こったり風合いが変わってしまいます。プエブロは色移りの激しい素材ではありませんが、濡れると色移りの原因となるので、そのときは少し注意が必要となるでしょう。

 

また、製造時の油分が多いため、製品を使いはじめてからしばらくのあいだは、メンテナンスにクリームなどを用いる必要はありません。逆に、新しいうちにうかつにクリームなどを塗ってしまうとせっかくの起毛処理が大きく影響を受けて色や質感が大きく変わってしまいます。

 

クリームなどを用いるなら、エイジングが進んで表面が滑らかになった後。乾燥してかさついたようになってきたと思えたときに、ごく少量を使ってあげてください。それまでは汚れを軽く拭き取るくらいで問題ないでしょう。

 

 

■ホンモノケイカク
http://hon-mono-keikaku.com/

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