腕時計には、COSC認定クロノメーターのように、一定以上の品質や性能を持つ製品に与えられる認証や規格があります。今回は、スイス・ジュネーブに製造拠点を置くブランドにしか取得できない特別な称号「ジュネーブ・シール」を、ご紹介します。
キャビノティエが培った 伝統技法を厳格に審査
スイス・ジュネーブ製の時計は、19 世紀から「最高位の品質と美しさを持つ」と評価を高めていました。
そこで、「技術的な面はもちろん審美的な面でも、ジュネーブ製時計がその伝統に基づいたものであることを公的に証明するべく、規格を法律で定めようではないか」ということになり、1886年にジュネーブ・シールが制定されました。
![↑伝統的なクラフツマンシップの真摯な継承が、最高位の品質と審美を生み出す](https://getnavi.jp/wps/wp-content/uploads/2016/09/100-101実2-1-のコピー.jpg)
基準要件は、部品はパーツごと加工や装飾技法が定められ、組み立てや調整方法も細密に規定されるなど難関を極めた内容(下表参照)。
すべての要件を満たすためには卓越した製造&加工技術と、伝統的なクラフツマンシップが不可欠で、ヴァシュロン・コンスタンタンなど、高度な技術力を持つマニュファクチュール数社のみが、この認証をこれまで獲得しています(認定審査はジュネーブ州の公的な外部独立団体であるTI MELAB=ジュネーブ時計製造マイクロ工学研究所が担当)。
![↑シリアル&リファレンスナンバーなどが記された、ジュネーブ・シール合格保証書](https://getnavi.jp/wps/wp-content/uploads/2016/09/100-101実2-5-のコピー.jpg)
![↑ジュネーブ市の紋章を象った、ジュネーブ・シールの金属印](https://getnavi.jp/wps/wp-content/uploads/2016/09/100-101実2-6-のコピー.jpg)
基準内容は時代に即して進化し、制定125周年を迎えた2011 年からは、審査項目をムーブに対するものから、ケーシングや完成品としての時計本体まで拡大。防水性や精度、パワーリザーブなど、時計の各種機能的側面もその審査対象となっています。
![↑ムーブだけでなく時計本体にも、精度や防水性など高度な完成度が求められる](https://getnavi.jp/wps/wp-content/uploads/2016/09/100-101実2-4-のコピー-760x506.jpg)
熟練の職人が膨大な時間を惜しまずに仕上げ、作り上げて満たすことのできる厳格な検査基準。ジュネーブ・シールは、まさにスイス・ジュネーブ製高級時計の伝統を正統に受け継ぐことの証明であるといえます。
![↑精度を決定する調速装置には、緻密で正確な調整技術が必須要件](https://getnavi.jp/wps/wp-content/uploads/2016/09/100-101実2-3-のコピー.jpg)
![↑ジュネーブ・シール取得のヴァシュロン・コンスタンタン「オーヴァーシーズ」。自社製Cal.5100を搭載。レザー、ラバー、ブレスレットの3つのバンドが付属。230万円(税抜)](https://getnavi.jp/wps/wp-content/uploads/2016/09/4500V-110A-B146_SDTM_tr_1154540.jpg)