ゲーム&ホビー
2018/7/28 15:00

第二次大戦史もミリタリーも全然詳しくないライターが「歴史群像150号」の特別付録のボードゲームをやってみた

暑い日が続いて、クーラーで涼みながらお家でのんびりボードゲームをしたいけど、ひとりでできるものってなかなかないんだよなぁ〜なんて思っていたら、あった!!  しかもミリタリー・戦史マガジン『歴史群像』の特別付録…!

 

その名も「バルジの戦い」。

 

「バルジってどこ?」なんて言ってしまうほど、この戦いを知りませんでした(ごめんなさい)。とりあえず、世界史よりも日本史、ミリタリーよりもお家でヒキコモリーしていたい私が『歴史群像 2018年 08 月号』(歴史群像編集部・編/学研プラス・刊)の特別付録ボードゲームをやってみましたので、その様子をご覧ください(笑)。

 

 

付録の前に…本誌のドイツ軍特集がすごすぎる!

第二次世界大戦におけるドイツ軍と聞いて思い浮かぶのは、なんとなく冷酷で残虐なイメージが強いのですが、その裏側にはとてつもない「戦略」の数々がありました。戦争と聞くと、まず実際に戦いをする兵士たちに注目してしまいますが、戦いを指示し、戦略を考える人たちがいたわけですから、その戦略を知ることは驚きの数々でした。使う武器、敵陣に向かうルート、戦車…今の平和な日本に暮らしていては知らないことばかり。「本当にこんなことやってたの!?」と思ってしまいます。

 

 

ドイツの軍服もすごい

↑特集は「ドイツ陸軍」。作戦術から野戦服まで濃厚な記事が並んでいます!

 

すごいといえば、『歴史群像 2018年 08 月号』で図説されている36年型野戦服の記事も知らないことがたくさんでした。36年型野戦服とは、1936年11月15日付で制式化されたドイツの軍服で、1940年まで仕様が変更されず大量生産されたものです。

 

36年型野戦服は、製造期間と兵士の動員数からして、少なく見積もっても100万着単位で製造されているはずである。

(『歴史群像 2018年 08 月号』より引用)

 

すごい数…! 今のように、一度に何着も作れるような時代でなかったことは容易に想像できますが、『歴史群像 2018年 08 月号』では写真付きで軍服ができるまでを知ることができます。ものすごい人数の人たちが一着一着丁寧に寸法をとり、ミシンで縫い付け、毎日500着が作られていたそうです。36年型ができるまでにも、28年型・33年型・35年型と過去に3デザインの軍服があったそうです。いやぁ、軍服ひとつにも、それぞれ歴史があるものなんですね!

 

その前に「バルジの戦い」って何?

「●●の戦い」と聞くと、ついつい場所と思ってしまいますが、このバルジは地名ではありません。

 

ベルギー北部の要港アントワープを目指して行われたこの作戦では、戦線が西に向かって大きく張り出したため、当時のイギリス首相のチャーチルは「バルジ(張り出し)の戦い」と表現しました。

(『歴史群像 2018年 08 月号』より引用)

 

ちなみに、戦いが行われたのは1944年12月16日から翌年の1月25日までの寒い日で、場所もなんと森の中! 雪が積もった山の中を、戦車や飛行機部隊を使って、連合軍のアメリカ軍と、ヒトラー率いるドイツ軍が戦いました。最初はドイツ軍がどんどん進撃し、バルジを作りましたが、結果としてそのバルジはアメリカ軍によって元の戦線まで戻されてしまい、連合軍の勝利で幕を閉じます。アメリカ軍はこの戦いで8万名もの戦死者を出しており、勝利とは言っても…という気もしちゃいますよね。

 

 

戦場に入り込んで戦っているような感覚に…

↑こちらが「バルジの戦い」のボードとコマと説明書。こ、細かい……

 

ということで、バルジの戦いについて知識がついたところで、いざゲーム開始です! 準備をして、ルールブックを見ながらいざ!  と思ったのですが、なんだかんだで終了まで5時間かかりました(笑)。どんなルールかを簡単にご説明いたします。

 

このゲームは、野球の「回」と同じような「ターン」という手順を計5回繰り返すことで進行します。1回のターンは、実際の3日間を表しています。

(『歴史群像 2018年 08 月号』より引用)

 

と、これだけみると「なーんだ、簡単じゃん」と思うのですが、使うコマが59個あったり、コマそれぞれに意味があったり、ルールブックの説明だけでも15ページ近くあるためまずこれを理解するのに時間がかかる!

 

ただ、基本はサイコロを振ってコマを進め、敵とぶつかったらそこでもサイコロを振って勝敗を判定するというもの。このゲームの場合、どれだけ西に向かって進撃できるかでゲーム自体の勝敗が判定されますが、戦場には川が何本も流れていて、橋がかかっていますが、そこを守る米軍をいかに早くやっつけられるかがカギとなります。ここでもたもた戦いを続けていると、前進することができないからです。

 

後半は「とりあえずバルジ作るか!」と謎の気合いが入り、細かな戦法よりも、とにかくゲームの目的である、いかに西に向かって前進するかの一点に集中することに切り替えて、良い目が出ることを祈って、ひたすらサイコロを振り続けました。

 

まさに自分自身が戦場に入り込み、コマたちと一緒に戦っているような、そんな5時間を過ごしたのでした。(闘志を高めるBGMがあるとさらに良いかもしれません!)

 

このタイプのゲームは、初心者でも、ルールブックを見ながら何回かやると自然にルールを覚えていくそうです。覚えてしまえば、この付録では1~2時間で終わるように設計されているとのこと。

 

 

もうひとつの付録「モスクワ攻防戦」

↑こちらは2人用の「モスクワ攻防戦」のボード

 

時間はかかったものの、とても勉強になったこちらのボードゲーム。なんともうひとつ2人でプレイするボードゲームも付いてます。歴史群像の編集部の人たち凄まじい! 2人用のボードゲームは「モスクワ攻防戦」。

 

モスクワ攻防戦は、1941年の秋から冬にかけて、第二次世界大戦の東部戦線(独ソ戦)の最初の決戦であったモスクワ攻防戦を再現する、2人用ボードゲームです。一方のプレイヤーがドイツ軍を、もう一方のプレイヤーがソ連軍を担当します。

このゲームは、独ソ両軍の地上部隊の行動に焦点を当てており、各プレイヤーは定められたルールに基づいて、自分部隊の移動や行動を決断し、モスクワ攻防戦の勝者となることを目指します。

(『歴史群像 2018年 08 月号』より引用)

 

ちなみにこちらの戦いは、3か月ほど続いた戦いで、結果的にソ連軍が勝利を収めています。このゲームでも終盤に訪れる「冬将軍」とどう戦うかなどしっかり史実も盛り込まれているので、「もしドイツ軍が勝っていたら」と思いを馳せながら楽しんでみると良いかもしれませんね。

 

ミリタリーよりヒキコモリーな生活を送っている私が、5時間のゲームを通じて今まで怖いと思って避けていた戦争映画を見なければと、謎な使命感に駆られるようになりました。当たり前ですが、私は戦争体験をしていません。これからもできればしたくありませんが、「どんなことであれ、これまでの歴史があったから私がいる」ということを深く感じられました。

 

【書籍紹介】

歴史群像 8月号(№150)

著者:歴史群像編集部
発行:学研プラス

太平洋戦争、戦国合戦、西洋戦史、現代紛争。古今東西の「戦い」をテーマに歴史の真相に鋭く切り込むナンバー1戦史マガジン! 読み応え満点の特集記事を4本(通常号では異なる時代、ジャンルから厳選した3本。今月号は記念号のためドイツ陸軍大特集号となっており、構成が異なります)。を始め、独自の切り口で「発見」のある記事満載。オリジナルなビジュアルにこだわったカラー記事も充実!

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