ゲーム&ホビー
2022/3/22 18:30

現実世界に新たな刺激、思考をもたらすーー編集長が語り尽くすPlayStation話題作『Horizon Forbidden West』のある暮らし

『Horizon Forbidden West』プレイ日記

いま注目している最新作について語らせてもらったが、本記事のメインテーマである本項では現在、毎日プレイ中のオープンワールド・アクションRPG『Horizon Forbidden West』について語りたいと思う。本作ではプレイする一日一日で急速に新しい発見があったため、今回はその経過も含めて楽しんでもらえたら嬉しい。

 

最注目タイトル:『Horizon Forbidden West』

ソニー・インタラクティブエンタテインメント

対応ハード:PlayStation 5/PlayStation 4

発売中/オープンワールド・アクションRPG

1000年後の未来、アメリカ西部を舞台に描かれるオープンワールド・アクションRPG。機械の獣に支配された地を旅するのは、女性主人公アーロイ。メインウェポンの弓、槍、グレネード、投擲武器などを駆使し、機械獣と戦いを繰り広げていく。水中フィールドが新たに加わったほか、高所への高速移動、上空からの滑空など探索の幅も広がっている。

【発売日〜プレイ開始1週間】前作の思い出を超える、新たなプレイ感に浸る

本作をプレイする際に前作『Horizon Zero Dawn』をもう一度やり直そうと思ったが、時期は年度末の繁忙期の仕込み時期だったため時間がない!ので、ほぼ復習なしでプレイ。冒頭部をやりながら操作を徐々に思い出していく。「そうそう、こういう操作方法だったよね」という感覚を取り戻すような行動が尊い。ハマっていた過去の自分に再会したかのような感じで何とも心地よいのだ。

 

では、初めてプレイする人の視点だとどうかと考えてみると、プロローグ部は初心者向けに作られている。しかも、操作を説明するだけのチュートリアルにはなっていない。壮大な自然の中を旅できるという世界観を感じてもらいながら、基本操作も覚えていけるようになっている。この丁寧な作り込みが同シリーズの良いところだ。

 

 

ドアは△で開けるのだが、R2でこじ開けるものもたまにある。R2で開ける場合はアダプティブトリガーの機能を用いて、R2に重みが出るようになっている。この扉の先には何かしらがあるというのが伝わり、緊張感やワクワク感が身体を巡っていく。単に操作が重いのではなく、意味性を持たせる効果があることでゲーム表現の広がりがまったく別物になっている。

 

↑本作ならではの操作感を嚙み締めた

 

 

要約すると発売から1週間までは、新作ならではの作り込みにニヤニヤしながら、「思い出補正」のフィルターが剥がれていくのがたまらなく楽しかった。

 

【発売から1週間経過】サイドクエストで満たされる、日々の達成感

本作は大きなメインストーリーに多数のサイドクエストやサブクエスト、クエスト以外にもミニゲームを含めて、たくさんの要素が絡み合う形で構成されている。メインストーリーは物語の核心だから、ひとつのパートを終えるのに数時間かかる。特にパートの後半にはボス戦が含まれる場合もあるので、1時間程度ぶっ通しとなることがある。

 

 

一方で、サイドクエストやサブクエストはライトなものが多い。揉め事の解決や、行方不明者を探すものなどバラエティは豊かで、1時間以内で完了できるものも多い。なので、僕は平日は「サイドやサブをプレイ」、週末に「メインをプレイ」という切り分け方で遊んでいる。つまり、日常に取り入れやすいのだ。クエストをクリアするとスキルポイントというのがもらえるのだが、これで新しいスキルを覚えられて、メインストーリーを進めるうえでのサポートにもなる。小さな達成感が常に用意されているので、気持ち良い気分のままその日を終えられる。

 

↑サイドクエストやサブクエストのほかにも、様々なミッションがあり、いま表示されているだけでも60以上もある

 

30-40代プレイヤーの場合、ここはものすごい重要だ。上機嫌で1日が終えられることは次の日の助走にもつながるから。ちょっとしたことでプレイから遠ざかってしまうことが多い年代だけに、ここでも丁寧な作り込みは作品への信頼性と安心感を与えてくれる。

 

【発売から1週間〜2週間】ゲームの世界観に触れて、リアルな世界の構造に想いを巡らせる

ストーリーが段々と核心へとつながっていく時期。具体的には「副次機能」と呼ばれるものを回収するところだ。

 

正直なところ、ストーリーは大体を忘れてしまっていた。そもそもプレイ直後から主人公・アーロイに付き添ってくれるヴァールも「あれ?」となって、プロローグ部分で出会う「サイレンス」という人物も「こいつ、キーマンだったよな」ぐらいのレベル。初見に近いような状態でも難なく進められるので、本作から入っても問題ない。

 

↑前作から登場している流浪人「サイレンス」

 

「難なく」というところは少し説明が必要だ。前のパートで説明したように、本作には膨大なクエストが用意されており、それぞれに小さな物語が絡み合っている。が、すべてを完全に理解して進むのは難しい。完全に理解して進もうとすると息苦しくなる。一方で、この世界の住人が様々な思いを抱えて、それぞれが人生を歩んでいると感じるようなスタイルでプレイすると実に味わい深い。

 

例えば、『Horizon Forbidden West』の世界には複数の部族がいて、多くは互いに歪み合っている。主人公のアーロイに敵意を剥き出しにする部族も少なくない。一方で、部族も一枚岩ではなく、個人ではアーロイを信頼してくれていたり、期待を寄せてくれたりして、世界が多層的なのだ。敵と味方がくっきりと分かれているのではなく、グレーが広がる感覚。そこにリアリティがあるのだ。だから、大人がプレイしても噛みごたえがある。部族間の争いは現実世界でも置き換えることもできて、単にゲームの世界の話ではないように思えてくる。大人が構えて貴重な時間を投げ打ってプレイできる耐久力があるのだ。眠る前のひと時に、週末の余暇に深い世界浸る。それは、苦いコーヒーを飲むような、味わい深いウイスキーを味わうような大人な趣味として向き合えるのが素晴らしい。

 

↑僕もプレイ中は、お酒とちょっとしたつまみを脇に置いて没頭する

 

【2週間〜3週間】あらためていつでも快感を感じられる、機械獣との戦闘に没頭

重いことを書いてしまったので、逆の話をしよう。『Horizon Forbidden West』は敵との戦闘が極めて軽快だ。機械獣と呼ばれる各地に生息する獣たちと戦う場面が数多くある。弱点を狙って爆発を誘発させたり、草の茂みから奇襲攻撃をしかけたり、上手に戦闘することで通常の何倍ものダメージを与えて数撃で倒せることができるのだ。静と動を使い分ける快感がある。

 

 

3週間もプレイしてくるとなるべくクレバーに倒していきたい気持ちが芽生えてくる。トラップを仕掛けたり、建築物を利用したり、ノウハウが貯まってくると攻撃のバリエーションも増えて純粋に楽しい。このあたりはアクションアドベンチャーなのだが、シミュレーションRPG的な趣もあると感じている。戦略好きにはもってこいだ。

 

↑敵をスタンさせることができ、戦闘で優位に立てる武器「雷のトラップキャスター」

 

【現在】未だ進捗度25%、まだまだ日常に溶け込む『Horizon Forbidden West』

すでにプレイ時間は40時間。そして、本作にはゲームの進捗度を示してくれる画面がある。現時点は25%。単純計算で100%にするには160時間ぐらい必要になる。

 

これをコストパフォーマンスが高いととるか、ボリューミーすぎて大変そうと思うかは人それぞれだが、ここまで語ってきたように、大人が向き合って過ごす時間としては極めて上質である点は変わらない。ゲームという垣根を取り払って、エンターテイメントという視点で見ても稀有なコンテンツである。僕としてはぜひおすすめしたい名作であると断言できるし、日常に取り入れやすいタイトルであるとも断言できる。

 

↑Horizonの世界に浸る夜は、まだまだ続きそうだ

 

 

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