いま「メタバース」として認識されているサービスには、具体的にどんなものがあり、どんなトレンドがあるのか。今回はゲーム分野におけるメタバースについて、概要と傾向をチェックしていきたい。
※こちらは「GetNavi」2022年3月号に掲載された記事を再編集したものです。
《ゲーム分野》
オンライン空間に集まり「一緒に何かをする」という点で、ゲームは20年以上の歴史を持つ。オンラインゲームにおける、遊びながらコミュニケーションをする“場所”としての役割は、メタバースを語るうえで無視できないテーマのひとつとなっている。
ゲームのメタバース的体験はVR化や用途の変換に注目
広義の「メタバース」は新しいものではない——。語源はニール・スティーヴンスンが1992年に発表したSF小説「スノウ・クラッシュ」に遡るが、3D空間で人が交流する概念はそれ以前からある。現実のサービスについては、オンラインゲームの原型が登場したのが97年ごろ。米Linden Lab社によるMMOG(大規模マルチユーザー参加型オンラインゲーム)の「セカンドライフ」が提供されたのが03年だ。
このように「アバターで集まって交流する」という体験は、ゲーム分野に一日の長がある。家庭用ゲーム機でのオンラインサービスも一般化したので、ゲームでの交流は経験済みな方も多いだろう。
そんなゲームにもここ数年で顕著な変化が2つあった。ひとつは個人で入手しやすいVRヘッドセットが普及し、VRが身近になったこと。例えば、Thirdverseが提供する「ソード・オブ・ガルガンチュア」では、VRのアクションゲームをオンラインマルチプレイで楽しめる。もうひとつは、既存のオンラインゲームが交流用途で使われだしたことだ。特に、EPIC GAMESの「フォートナイト」は、新たに戦闘禁止のマップ製作ガイドラインなどを整えるなど、メタバース的役割を意識的に伸ばしている。
メタバースの代表的ゲームはコレだ!
【その1】マイクロソフト「マインクラフト」
ブロックで自由に世界を作るゲームで、「サンドボックス型(※)」に分類される。世界で最も売れたゲームでもある。サーバーを介したマルチプレイが可能で、第三者が公開した「配布ワールド」を訪れる遊び方もある。Java版と統合版の差に注意したい。
※隔離された領域でプログラムを実行し、問題発生時においてもほかのプログラムに影響を及ぼさないようにする仕組み。公園の「砂場」を意味し、外部から仕切られた環境で自由に遊べる状況から由来する
【その2】サードバース「ソード・オブ・ガルガンチュア」
2019年に正式リリースされたのち、SteamやOculus Quest Storeなどのストアで高く評価されたタイトル。巨大な敵を、剣と盾で討伐していく迫力ある“剣戟(けんげき)”がテーマのVRアクションゲームで、4人のマルチプレイにも対応している。
【その3】EPIC GAMES「フォートナイト」
2017年にリリースしたTPSゲーム(※)だが、独自マップを作れる「クリエイティブモード」も備えている。21年末には戦闘行為なしで、ミニゲームや会話を楽しむための「パーティーワールド」を作成するにあたってのガイドラインを提示した。
※サードパーソン・シューティングゲーム(Third Person shooting game)の略称。 自分が操作するキャラクターの後方あたりからの視点でプレイする
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