日本ではもちろん世界中で愛され続ける「レゴ(R)ブランド」の魅力をあらためて紐解くべく、レゴジャパンの本社へ。前回はその歴史と理念、代表的なシリーズについて話を伺いましたが、後編となる今回は、ここ最近人気の「大人レゴ」の魅力的なラインナップやその開発秘話などをお届けします。
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【話を伺ったのはこの人】
レゴジャパン
シニアマーケティングマネージャー
橋本優一さん
レゴジャパンで、マーケティング部門を担当する橋本さん。日本市場の取扱店舗で展開する商品のマーケティングプランをチームで考案し、レゴグループのさらなる販売促進と発展に寄与する。
大人のためのレゴ ブロック「大人レゴ」とは?
――レゴ ブロックは元々子ども向けのオモチャというイメージでしたが、近年は「タイプライター」や「フェラーリ」、「ブガッティ」など大人向けの商品も充実していますよね。レゴ(R)ショップ公式やAmazonの販売チャンネルを見てみると“大人レゴ”というテーマを設けています。
橋本 日本ではレゴ ブロックが好きだった多くのお子さんが、残念ながら成長の過程で一旦レゴ ブロックを卒業してしまいます。ですがグローバルだとそうではなく、大人になってもレゴ ブロックを愛し続けてくれる方がものすごく多く、大人のレゴ ブロックユーザーの比率は高いのです。ですので、大人に向けた商品を提供するというのは、ビジネスとしては自然な流れだったと言えます。
――そうだったんですね。ここ最近だと日本でも“大人レゴ”が注目されていますが、何か理由は考えられますか?
橋本 元々は日本でも大人向けの「アダルト」というシリーズは展開していましたが、コロナ禍が始まった約2年前から、さらに注目されるようになりましたね。コロナの影響で、お家で過ごす時間が増えることで、大人も自分を見つめ直す時間が増えました。“自分のために何かをしよう”、“何か没頭できる物が欲しい”という潜在的なニーズがものすごく高まりました。
そこで多くの方がレゴ ブロックを選んで頂いたのだと思います。いざ手に入れて作り始めると、大人でも平気で2〜3時間は作業に没頭してしまうので、完成させた時の達成感が非常に評価されたのだと思います。
――“大人レゴ”は作る楽しみだけでなく、完成後はインテリアとしても活躍しそうですね。
橋本 インテリアといえば、「レゴ(R)ボタニカルコレクション」という植物のシリーズは大好評ですね。完成させた後は水やりも必要ないので、本物の植物のように手間がかかりません。枯れた感じが好みでしたら、枝を折った感じにも表現できます。また色違いの葉っぱなども付属している商品もあるので、季節に応じて付け替えたりして鑑賞するのもオススメです。
――大人向けと聞くと、かなり複雑な作りのイメージがありましたが、シンプルな商品もあるとは知りませんでした。
橋本 そうですね。かなりのパーツ数を使用する大作から、2時間くらいで完成させられる手軽な作品まで、上級者だけでなく初心者でも楽しめる商品を充実させています。
各メーカーの全面協力で乗り物を細部までレゴ化!
――「フェラーリ デイトナSP3」や「ブガッティ シロン」などのクルマ、「ベスパ125」や「BMW M 1000 RR」などのバイク 。かなり精巧な作りとなっていますが、これらはユーザーが作り始めると完成させるまでに相当な時間を要しますよね?
橋本 はい、それらの商品のパーツ数は4000〜6000個以上あるものもあります。レゴ(R)ストアの慣れているスタッフが集中して1日あたり5時間かけ、製作日数は5日間かかる商品もあります(笑)。
ーークルマの外観だけではなく、車内のインテリアの作りも忠実に再現していますね。
橋本 デザインは全て、デンマークの専門チームが行なっています。クルマの設計図を提供してもらい、クルマの構造から理解して商品化しています。ですので、ユーザーがレゴ ブロックで作ることで、そのクルマの足回りやギアなど、構造自体を知ることができるのも魅力ですね。
――2021年、トヨタ「GR スープラ」の実物大モデルもレゴ ブロックで製作したと聞きました。
橋本 はい。「GRスープラ実物大レプリカ」はトヨタからの全面協力で設計図はもちろんシートやハンドル、ホイールといったパーツも提供して頂き、それらをもとにデンマークで分析。いかにレゴ ブロックで再現するかを研究しました。約1年がかりで実際に動けるまで完成させたんです。
GRスープラ実物大レプリカには47万7303個のレゴ ブロックを使用し、車内のシートやサイドブレーキ、タイヤの中にあるブレーキパッドなど、細部まで忠実に再現。さらにGRスープラへ実際に使用されているハンドルやエンブレムを搭載しています。また、商業用にも採用されている電動モーターを搭載し、最高時速28km/hで走行するんですよ。前にも進むし、後ろにも進みます!
レゴファンのアイデアを商品化する企画!
ーー「レゴ(R)アイデア」というシリーズがありますけど、コチラはどういったシリーズなのでしょうか?
橋本 レゴ(R)アイデアという公式サイトで、世界中のレゴ ブロックファンからオリジナルデザインを募集しています。それで、他のユーザーからの支持票が1万を超えるとレゴ(R)アイデア商品化レビューに進出され、さらにレビューで審査に合格すると製品化が決定し、レゴ(R)アイデアシリーズから全世界に発売されるんですよ。最近ですと、「ジャズ・カルテット」や「タイプライター」、「フェンダー(R)ストラトキャスター TM」がレゴ(R)アイデアシリーズから発売されました。
――すごい! レゴ ブロックファンたちが、童心に返って盛り上がってそう。しかし、自分のアイデアが実際商品化されたらかなり嬉しいですよね。
レゴ ブロックで組織課題を具現化する!?
橋本 レゴ ブロックを使った“チームビルディング”があります。例えば「現状のチーム(仕事仲間)を、レゴ ブロックで表現してみて下さい」と指示し、イメージを実際に組み立ててもらいます。そうすると、要塞のような物を作る方もいれば、ただの平たい壁のような物を作る方もいます。
そうしたら作った方に、なぜその形を作ったのかを説明してもらいます。そのことで問題が可視化され、解決方法をより具体的に探ることができます。さらにそれらの一連の作業でお互いが話しやすくなり、コミュニケーションも深まるんですね。ちなみにこのメソッドは「レゴ シリアスプレイ」というもので、認定されたトレーナーも存在しています。
――レゴ ブロックを使うことで、目に見えない空気感のような物を具現化するわけですね。
橋本 はい、そのチームに漂う閉塞感を具現化して、それをチームで共有することが可能なのです。誰もが一度は遊んだことのあるおもちゃを活用して、頭の中のイメージを見える化します。レゴ ブロックの作品を通して、普段なかなか言語化しにくいチームメンバーの想いやビジョンについて対話することで、「組織のビジョン作り」「チームビルディング」「コミュニケーション力強化」などの効果が期待できるんです。
大人にオススメしたいレゴ ブロック5選!
それでは今熱い注目を集めている、大人レゴ のオススメの5商品を紹介! かなりのパーツ数を要する大作から、ちょっとした暇つぶしにも最適な初心者向けまで揃うので、ぜひともチェックしてみてください。ちなみに、お手軽モデルでもひとつ作るとハマってしまい、よりパーツ数が多いモデルへと挑戦したくなる欲求が湧き出ることが多々あります。レゴ ブロックの沼へようこそ!
【その1】LEGO ICONS/フラワーブーケ
【その2】LEGO ICONS/アディダス オリジナルス スーパースター
【その3】テクニック/フェラーリデイトナSP3
【その4】LEGO ICONS/大回転ジェットコースター
【その5】LEGO ICONS/ライオン騎士の城
子どもにプレゼントしたいレゴ ブロック5選!
ここでは子どもにプレゼントしたい、5つのレゴ ブロックを披露。休日などは親子で一緒にレゴ ブロックを、満喫するのはいかがでしょうか? お家でレゴ ブロックをゆっくりと楽しむのもオススメですよ。
【その1】デュプロ/デュプロのまち世界のどうぶつ
【その2】フレンズ/フレンドシップツリーハウス
【その3】レゴ スーパーマリオ TM/レゴ ピーチ と ぼうけんのはじまり 〜 スターターセット〜
【その4】レゴ スーパーマリオ TM/ピーチ城 チャレンジ
【その5】ニンジャゴー/ロイドのゴールデン・ウルトラドラゴン
撮影/中田 悟
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