ヘルスケア
2019/2/8 17:30

「鼻呼吸」すると「記憶力」がアップ! 花粉症にも応用できる?

花粉のシーズンになると、頭はボーっとしたまま。仕事もはかどらない。そんな状態になる方はきっと多いはずです。そんな脳の働きの低下を感じたときは、呼吸に注目してみましょう。口での呼吸よりも鼻を使った呼吸のほうが、人の記憶の定着によいということがスウェーデンの研究で明らかとなったんです。日本はこれから花粉症の季節を迎えますが、もし花粉症の時期に記憶が散漫になっていると感じたら、それはひょっとしたら、寝不足のほかに、花粉症で鼻がつまり、口呼吸に頼ってしまっていることも原因かもしれません。

 

鼻呼吸すると忘れない

スウェーデンのカロリンスカ医科大学が2018年10月に発表した論文によると、口での呼吸よりも鼻で呼吸した方が、記憶の定着がよいというのです。その研究では、被験者に12種類の香りをかいでもらい、その香りをどのくらい覚えているか実験。香りをかいでから1時間は口呼吸または鼻呼吸だけをするように指示し、その後に先ほどの12種類の香りとまったく異なる香りをかいでもらい、12種類の香りをどのくらい記憶しているか確認しました。すると、口呼吸していた人よりも、鼻呼吸していた人の方が、よく覚えていたという結果が出たのです。

 

呼吸と記憶について脳のどの部分が反応しているかは、今後さらに詳しく検証されるそうですが、鼻呼吸については、記憶力だけでなく身体に様々なメリットをもたらすと言われています(例えば、ヨガや瞑想を行うときは鼻呼吸が推奨されていて、副交感神経を優位にして心を落ち着けてくれます)。さらに、「口呼吸に比べて鼻呼吸のほうが体内に取り入れられる酸素の量が多い」と指摘する医師や専門家もいるなど、鼻呼吸にはメリットが多いようです。

 

気晴らしに鼻呼吸を

花粉症の方は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりと一日中苦しい思いをして、夜ベッドに入った後ですらなかなか眠りにつけないと悩まされているかもしれません。花粉症による寝不足で記憶力が低下しやすくなることは以前から指摘されていますが、カロリンスカ医科大学の実験結果を考えると、口呼吸ばかりしていては、記憶力の低下は抑えられない、もしくは回復しないとも考えられます。

花粉症の症状が出ているときは、鼻呼吸を行うことは決して簡単なことではないと思いますが、気持ちに余裕があるときに、空気清浄機が効いた花粉のない安全な自宅などで試してみる価値はあるかもしれません。カロリンスカ医科大学の実験結果が花粉症に伴う記憶力の低下に応用できるかどうかは分かりませんが、筆者も花粉症経験者だけに、この研究が今後どのように発展していくか興味深く見ていきたいと思います。