長かった梅雨が明け、紫外線が気になる季節が再びやってきました。対策は万全にできているでしょうか? 今年はマスクをして出歩くことが多く、“マスク焼け”も気になるところです。また、家にいることが多いからと、油断するのは禁物。窓から差し込む日差しで、知らず知らずのうちに、肌に到達する紫外線を溜め込んでしまっているのです。
うっかりと日焼けをしてしまったときは、すぐにケアすることが大切。今回は、リラクシングビューティースパ「STUNNING」のオーナーセラピストである佐古みゆきさんに、日焼けしてしまった肌にすべき応急処置と、事前にしておきたいスキンケアについて教えてもらいました。
日焼けは夏だけじゃなかった! 365日したいUV対策
夏が近づいてくると、日焼けや将来的なシミ・ソバカスの原因となる「紫外線B波」が急激に増えてきます。日焼け止めクリームを塗ったり、UVカットのファンデーションに切り替えたりする人も多いのではないでしょうか?
「特に日焼けしやすいのは、紫外線が強い5〜8月。ただし、真冬でも太陽光は降り注いでいます。まずは一年中、しっかりと日焼け予防していただきたいと思います。UVカットの乳液を使えば、日焼け止めクリームよりテクスチャーが柔らかく、首のうしろや腕などにも塗りやすいのでオススメです。日焼けには日々気をつけていきたいものですが、それでも日焼けしてしまった場合は、何よりもまず早くケアすることが大切です」(リラクシングビューティースパ・STUNNING オーナーセラピスト/佐古みゆきさん、以下同)
日焼け止めの正しい塗り方をおさらい
朝起きてメイクするときに日焼け止めを塗ったら、そのまま終わりにしていませんか? 日焼け止めは、SPFの数値が高ければ塗り直さなくていいかというと、そうではありません。
「人によって汗のかき方や肌質は違うのですが、それでも2〜3時間に一度は塗り直すのがいいでしょう。ウォータープルーフで落ちにくい日焼け止めクリームを使い、メイクしていても使えるスプレータイプの日焼け止めで、ファンデーションの上からでも塗り直してください」
【編集部選】
化粧下地としても使いやすいさらっとした使い心地
アイセイ薬局 KuSu「日焼け止めクリーム プロ」
2255円+税
アイセイ薬局のヘルスデザインブランド「KuSu」から新しく登場した日焼け止めです。ウォータープルーフで汗を掻いてもよれにくく、つけ心地がさらりとしているので一年中使うことができそう。子どもや敏感肌の方も使えるノンケミカル処方です。SPF50・PA++++
【編集部選】
低刺激設計で敏感肌用に開発されたスプレータイプ
ラ ロッシュ ポゼ「アンテリオス UVプロテクションミスト」
2500円+税
顔に直接スプレーでき、白くなりにくくベタつかないので扱いやすい日焼け止めです。メイクした上からシュッとかけるだけで、日焼け止め効果が持続します。ちょっとした買い物やゴミ捨てに行くときも、スプレーしてから出かけるといいですよ。SPF50・PA++++
知っていた? 目や髪の毛も日焼けに注意!
顔やボディに日焼け止めを塗っても、まだ安心できません。実は、目や髪の毛も日焼けしてしまうのです。
「髪の毛は、日焼けするとカサカサに乾燥してしまい、カラーリングしている方は退色しやすくなってしまうんです。トリートメントなどで保湿することも大切ですが、先ほどのようなスプレータイプの日焼け止めを髪の毛にもシュッとしておくといいですよ。そして、目の日焼けにはもっと注意が必要。目から入った紫外線が、体内にメラニン色素を作ってしまうんです。このメラニン色素が肌を黒くさせたりシミを作ったりする原因になりますから、UVカットのサングラスをかけて予防しましょう」
日焼け止めクリームを塗る以外にもできる、日焼けする前の予防ケア
できることなら、うっかり日焼けする前にしっかりと予防しておきたいもの。日焼け止め以外の予防法について、佐古さんに伺いました。
1. βカロテンの豊富な食材を日焼けしそうな日の3日前から摂る
βカロテンは、食べる日焼け止めとも言われる栄養素。活性酸素を抑制し、紫外線から肌をバリアする機能を高めてくれます。「ほかにも、ビタミンEは肌の酸化を予防してくれるので、普段より少し多めに緑黄色野菜を摂るよう気をつけておくといいでしょう。美容も健康も、まずは食事で改善できるといいですよね」
2. 肌にたっぷりと水分補給しておく
紫外線を浴びると肌の水分はどんどん奪われていき、深部まで乾燥していってしまいます。乾燥した状態でさらに日に当たると、赤くなったりヒリヒリしたりするまで焼けてしまうのです。「肌に水分があればあるほど、日焼けトラブルは少なくなりますから、化粧水をしっかり塗っておきましょう。化粧水は一度で塗り終えるのではなく、少量を何度かに分けてつけていきます。肌が水分を吸収しなくなるまで、たっぷりと手で重ねづけしてください」
【佐古さんオススメ】
肌をモチモチに保湿できる化粧水と乳液
クレメンス オーガニクス「ハイドレイト ミストトナー」
3600円+税
クレメンス オーガニクス「UTエマルジョン」
4500円+税
乾燥肌や敏感肌の人に向けて作ったオーガニックのコスメブランドです。「ミストトナーは手のひらに取り、肌に押し込むように化粧水を深部に届けていきます。加水を一切しない天然のダマスクローズから採った、ローズウォーター100%のミストです。もうひとつは乳液で、保水力を高め肌を整えるアロエベラや、炎症を抑えるカレンドラを配合しているので、肌をダメージからしっかりと守ってくれますよ」
3. 日焼けしてもすぐに修復できる肌づくりをする
日焼けするとわかっているときは、前もって準備をしておきましょう。オススメは、ビタミンCの服用と、ポリフェノールの一種であるフェルラ酸を肌に塗布しておくことだそう。
【佐古さんオススメ】
肌に塗って強い日差しへのバリアを作る
メソシューティカル「FAセラム」5ml
1万1000円+税
Lypo-C「リポ カプセルビタミンC」30包入り
7200円+税(※健康食品扱いで税率8%)
「ビタミンCは、“リポソーム化”といって栄養を効果的に吸収できるように作られたものがオススメです。摂ったビタミンCがコラーゲンの生成に役立ち、肌の修復に効果をもたらします。右の商品に含まれる『フェルラ酸』は、紫外線から肌を守ってくれると同時に、うっかり日焼けしてしまったときには直ちに肌を修復させてくれるので、ダメージが残りづらくなるのです」
それでも日焼けしてしまったら……。日焼けの度合い別で、効果的な応急処置の方法をお伝えします。
日焼けの度合い別! “うっかり日焼け”の応急処置
気をつけていても日に焼けてしまったときは、すぐにケアをはじめましょう。日焼けの度合いや状態によって方法が違いますから、それぞれの対策をしてみてください。
1. やけどの手前! 真っ赤で肌を触ると熱を感じるくらいに焼けてしまった場合
日焼けは“日光皮膚炎”と言われ、火傷(やけど)をしている状態です。水ぶくれになるなどやけどに近い場合は、皮膚科の受診を優先させますが、とにかく一番にできることは患部を冷やすこと。
「氷水にタオルを浸けたものや保冷剤で構わないので、まずは肌が持つ熱が取れるよう十分に冷やします。肌表面だけでなく芯までしっかり冷えるように、慌てず鎮静させましょう。日焼けした肌は乾燥していて水分保持ができなくなっているので、熱が取れたら無刺激の化粧水を何度も重ねづけし、オイルでカバーします。人肌程度(約38℃)のぬるい温水シャワーや冷水を浴びることで熱や痛みを逃すこともできますが、肌が炎症している場合、湯船に浸かるのは避けた方が良いでしょう。また、肌表面は非常にデリケートな状態ですから、日焼け直後はブラシやナイロン製のアカすりなどでこすらないようにしてください。殺菌作用があり皮膚の治療にも使われるカラミンの入ったローションやパウダーをつけておくと、さらにいいでしょう。このケアを1週間は続けます。痛みがひかない、大きな水膨れ、強い熱のこもりや発熱、目眩などの内疾患が出はじめている場合はすぐに病院へ」
2. 日焼けしたところがチリチリ痛い! 明日は真っ赤になってしまうかも……という場合
首のうしろや足の甲など、気がついたら焼けてしまっていた! ということはありませんか? 海やキャンプ場などのアウトドアシーンでは、日焼け止めを塗り直し切れず、焼けてしまうこともありますよね。
「皮膚が熱を持っていなければ、傷んだ皮膚の鎮静と修復のため、ビタミンB3を塗布するのがいいでしょう。炎症を鎮静させて肌細胞に活力を与えたり、代謝を促進したりと、肌にいい働きをします。塗っておくと、翌日日焼けした部分が真っ赤にならず、回復も早まりますよ」
【佐古さんオススメ】
ビタミンB3の含有量が高いメディカルコスメ
メソシューティカル「B3ナイアシン」5ml
1万1000円+税
皮膚科の医師がやけどの治療薬として作った、ビタミンB3の美容液。エステティックサロンでしか購入できないサロン専売コスメです。「焼けてしまったと思っても、紫外線によるダメージに効果的に働くので、ビタミンB3を塗っておくだけで悪化しにくくなりますよ」
3. 日焼けした部分が乾燥していて皮がむけてきそうな場合
すでに皮膚がパリパリして皮がむけてきてしまいそうなときは、AHA+BHA配合のジェルタイプのクレンザーでゆっくりマッサージし、ターンオーバーを促していきます。
「皮は無理にむかず、そっとクレンジングしていきましょう。クレンジング後は必ずトニックで肌のPHを整え、乾燥している肌に潤いを与えながら余分な角質を取り除くことで、肌が再生しやすくなります。皮剥けや痒みは、新しい皮膚が生まれるターンオーバーの一環です。爪などで掻きむしると未熟な皮膚が剥き出しになり、皮膚のバリア機能を壊してしまいます。掻くことで痒みを解消したつもりが、ヒスタミンという痒み物質が作られてしまい、痒みをさらに強める悪循環にもなりますので、痒み止めを塗って防ぐこともおすすめです」
【佐古さんオススメ】
保湿もできるジェルタイプのクレンジングとpH調整トナー
shunly skin care「AHAディープジェルクレンザー」
4980円+税
shunly skin care「pH CoQ10 + A-Oxy トナー」
5400円+税
※上記2点はサイトにて2020年8月下旬に発売予定。価格変更になる可能性があります。
日本では佐古さんのサロンでしか取り扱いがないアメリカのコスメブランド「shunly」の製品です。「右側のジェルタイプのクレンザーで、日焼けあとの肌の角質をケアします。そのあとで左側のpH(ペーハー)調整トナーを肌にスプレーして、指先でタイピングするように浸透させていきます。日焼けしたあとの肌はペーハーが中性に傾き、バリア機能が低下して雑菌に負けやすくなっていたり、炎症を起こしやすくなってしまったりしています。ペーハーを弱酸性に整えることで、肌の健康を保つことができます」
4. うっすらシミに! 日焼けしたあとが残ってしまっている場合
日焼けしてしまったあと、シミがうっすら見えてきている場合は、集中的にその部分をケアしましょう。「オススメは、ビタミンCの入っている化粧水や美容液などをシミに直接塗っていく方法です。ただ塗るだけでなく、血行がよくなるよう指の腹でポンポンと肌をやさしく叩くようにマッサージしていきます」
“日差し=悪”と考えず、上手に太陽とつきあう
日焼けは体によくない!というイメージを持つ人は多いかもしれませんが、太陽の光は人間が生きていく上で、なくてはならないものでもあります。太陽の光には殺菌作用があり、健康な皮膚を保つのに必要な上、体内にビタミンDを生成する働きもあります。ビタミンDは骨の成長になくてはならない栄養素で、不足すると免疫低下を引き起こしたり、骨密度がスカスカになってしまったりすることも。また、細胞の成長がうまくいかず、ターンオーバーしにくくなったり、傷が治りにくくなったりすることもあります。
「外に出て日差しを浴びることは、肌にとってとても大切なことなんです。日焼け止めや帽子などでカバーしながら太陽を浴びることが、肌トラブルを防ぐ方法のひとつでもあるので、上手につきあっていけるといいですね」
日に日に紫外線が強くなっていく今、油断してしまったときもケアの仕方を覚えておけば、肌トラブルを最小限に抑えながら過ごすことができます。日焼けを怖がって外出を控えるのではなく、日焼け前の準備や日焼け後の対策をしながら、外出自体も楽しめるといいですね。
【プロフィール】
セラピスト / 佐古みゆき
STUNNING代表・オーナーセラピスト。ITベンチャー企業で働いた後、アロマセラピーを専攻しセラピストの道へ。老舗エステサロンでマネージャーとして7年の勤務を経て独立。その後は国内外からのセッション依頼を受けると同時に、さまざまなセラピーを現地で学びセラピストとしての知識・ネットワークをグローバルに形成。2019年、自身がオーナーとなるリラクシングビューティースパ「STUNNING」を中目黒にオープン。確かな結果が口づてに伝わり、日本全国、ニューヨークやパリ、台湾などからの海外セレブもお忍びで訪れる本格サロンへと成長している。
STUNNING(スタニング)
https://www.stunninginc.jp/
住所・電話番号=非公開 ※完全予約制
問い合わせ先=info@stunninginc.jp