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睡眠
2022/12/14 10:30

累計販売数10万着!「爆寝ウェア」を生み出した大ヒットメーカーが考える「日本人が抱える健康課題」

上質な睡眠を取るための「眠活」という言葉も生まれる昨今。寝ているはずなのに寝た気がしない。朝起きてもどこかスッキリしない。睡眠に漠然とした不安を抱えている人も多いでしょう。

 

そうした現代人の心をつかんでいるのが、リカバリースリープウェア「BAKUNE」です。BAKUNEは繊維原料に極小セラミックスの粉末を配合した特殊機能繊維「SELFLAME(R)」を使用し、自らの体温を遠赤外線作用で輻射して、心地よいぬくもりで血行を促進、リカバリー効果をもたらしてくれます。

 

「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」に基づき、クラスI「一般医療機器」に認証されるなど、その効果にはしっかりとした裏付けもなされています。

 

上下セット2万2000円(税込)と一般的なナイトウェアと比べるとやや高価ですが、睡眠環境が快適になると口コミで広まり、累計販売枚数が10万枚に迫るヒットとなっています。

↑同社躍進の立役者となったリカバリースリープウェア「BAKUNE」。写真のネイビーに加えて全5色、サイズもXS〜2XLまでと幅広いラインナップを用意

 

今回は、BAKUNEを展開するベンチャー企業「TENTIAL(テンシャル)」の代表取締役CEO・中西裕太郎さんに、TENTIALはどうしてこれほど急成長したのか? そして今、日本人が抱える健康課題について話を伺いました。

↑TENTIAL代表取締役CEO・中西裕太郎さん

 

3年間で売上53倍。驚異の成長、その秘密とは?

2018年に創業し、2023年1月期には売上が3年前の約53倍になる見込みという驚異の成長を成し遂げているTENTIAL。そのスタートはメディア事業だったといいます。

 

「僕らのスタートは、スポーツや健康の情報を発信するメディア事業でした。その後、体幹と姿勢を安定させるインソールを発売してウェルネスブランドをオープンしたのが次のステップ。そして、成長を3段階に分けるとしたら、3段階目が『BAKUNE』ですね」(中西さん)

 

創業時のメディア事業から、ウェルネスアイテムを手掛けるブランドに舵を切ったのが大きな転換点となったTENTIAL。その理由は何だったのでしょうか?

 

「最初はアスリートやトレーナーが考えるトレーニング・健康に関する情報を発信するウェブメディアでした。そこにはスポーツを楽しみたい読者が集まってくれた。そうした方たちが、肩が痛い、足が痛い、膝が痛いといった悩みを抱えていたんです。ウェブメディアだとストレッチの情報や動画の提供はできますが、やはり根本的に解決するためには物を作って提供するというアプローチが必要だと考えたのがブランド事業立ち上げのきっかけです」(中西さん)

↑ウェルネスブランドとして初めて商品化したのがインソール。現在も同社の主力商品のひとつだ

 

発売したウェルネスアイテムは主にネットを中心に評判を呼び、健康に敏感な層にTENTIALの名前は浸透していきます。そこにはコロナ禍という追い風もあったそうです。

 

「オンライン化が進み、ECでの購入比率が圧倒的に上昇したという社会背景は大きいと思っています。またコロナ禍によって、ウェルネスや健康がトレンドとして上がってきたのも追い風でした」(中西さん)

 

3年間で売上約53倍という驚異の成長力は、一般メーカーとは異なるウェブメディア事業からのスタートといった基盤も後押ししたように思えます。

 

「デジタル中心の組織文化が背景にあるのは、他の企業と大きな違いだろうと考えています。自分は長らくウェブ業界やIT業界にいたので、このスピード感がスタンダードになっていますが、メーカー出身のメンバーたちからするとかなり異質に思えるようです」(中西さん)

 

商品ラインナップもこの1年だけで20から40に増加したといいます。TENTIALが時代の潮流に乗れているのはそのスピード感が理由なのでしょう。

 

「僕らは最初、ものづくりの専門家というわけではなかったので、さまざまな外部のパートナーさんと連携を取りながら進めていきました。そして、開発していく中でノウハウが貯まっていき、その得たノウハウを活用してPDCA、改善を繰り返していく。この速さが強みかなと思っています」(中西さん)

 

現代日本人が抱える健康課題「プレゼンティーズム」とは?

それでは、中西さんは今の日本人が抱える健康面、ウェルネス面の問題はどこにあると考えているのでしょうか?

 

日本人は保険で守られているというのが良くも悪くも大きいですね。日本は社会保険(健康保険組合制度)が充実しています。病院を受診した際は社会保険から多くの費用が出ていて、個人負担は3割程度と負担がとても少ない。企業も個人が納める健康保険料の半分を支払うだけなので、負担が少ないです。

 

海外は社会保険がそこまで充実しておらず、企業が費用負担する福利厚生保険や個人の医療保険で医療費を賄います。そのため、自分自身で健康状態を管理しないと個人にも企業にもしわよせがくる形になります。だから日本ではケガをしたり、生活習慣病にかかったりしたあとで、やっと体のことを見直すといった人が多いんですよね」(中西さん)

 

保険に守られているという安心感から、日々の健康をおろそかにしがちになる。その結果、何らかの病気や症状を抱えながら出勤し、業務遂行能力や生産性が低下する状態「プレゼンティーズム」が日本で発生しやすくなると中西さんは訴えます。

 

「プレゼンティーズムは海外で研究が進んでいる概念で、日本では肩こりと腰痛がその要因の上位に来るそうです。つまり、肩こりを放置しているがゆえにどんどん生産性が悪くなっていく。では、なぜ放置しているかというと、結局何をしたらいいのかわからないというのが理由なんですね。重度になってから初めて病院に行くというパターンです」(中西さん)

 

確かに対症療法はあっても、日々の肩こりや腰痛を、どうしたら根本から改善できるのかはあまり意識されていない気がします。

 

「歩くとき腕が上手く使えているか、正しい姿勢を取っているかなど、改善策はあるのですが、そこに対してアプローチしている商品やソリューションが圧倒的に少ない状況です。病院に通ったとしても、対症療法が中心だったりするので、悪くなったものをより悪くしないことは可能でも、良くすることはなかなか難しかったりする。僕らとしてはデスクワークでの腰痛をなくすためのプロダクトや、姿勢を矯正するプロダクトに、今後も注力していきたいと考えています」(中西さん)

↑着るだけで疲れを和らげるリラックスワークウェア「MIGARU」。TENTIALでは睡眠時に着用するアイテムだけでなくワーキングタイムの生産性を高めるウェアも展開している

 

プレミアムラインを投入するTENTIALの戦略

↑「BAKUNE Premium」

11月15日に開催されたプレスイベント「Potential Conference ’22」で、TENTIALは「BAKUNE」のプレミアムラインなど各種新製品を発表しました。パジャマタイプ2種類、ガウンタイプ1種類がラインナップされた「BAKUNE Premium」シリーズは完全国内生産にこだわり、天然の白蝶貝ボタンを使用するなど上質感も追求。もちろん、一般医療機器の認証も取得しています。そこにはどのような意図があるのでしょうか?

 

「僕らにとってプレミアムラインは初めての試みです。もちろんまだまだ改善すべきところはありますが、最初のプレミアムラインとしては、かなり満足のいく出来に仕上がったと思います。誰かに渡すギフトとしても、自分へのギフトという意味でも、今、普通の『BAKUNE』を使っている人にとって、いつか使ってみたいと思える商品になっていると思います」(中西さん)

↑プレミアムラインかつギフト需要を狙っていることもあり、パッケージの素材や質感にもこだわりが。和紙のようなボックスで高級感にあふれる

 

ほかにも来季からの展開として、「ベビー」「姿勢補正」、女性特有の健康問題をサポートする「フェムテック」の新カテゴリーを設定して製品を展開していくというTENTIAL。従来製品のカテゴリー「フット」「スリープ」「ワーク」がいわば誰にでも当てはまる分類だったのに対し、今後は性別や、ライフスタイルといった個別の課題を解決していくフェーズに入ったように見えます。

 

「そうですね。とはいっても、歩く、寝る、働くという根源的、日常生活で欠かせない領域自体はすべて共通していて、そのいずれかに格納されていくイメージは持っています。フェムテックも女性の働く環境やライフスタイルをどう支えていくかということなので、大きなカテゴリーの中で細分化された課題を解決するために展開を広げていくという考え方です」(中西さん)

 

最後に、ウェルネスブランドに対するTENTIALの想いを伺いました。急速な成長を遂げるなか、今後、競合メーカーの参入といった逆風も吹いてくる、という見方もあります。

「僕らは売上で数字を作りたいのではなく、本当にいいものをお客様に届けたい、アスリートが満足するような品質を作りたいというところにフォーカスしている会社です。流行っているからとそれらしいものを作って、たくさん売れたから良しという世界も商売ではありだとは思いますが、僕らはそうではありません。

 

仮に、僕ら以上にウェルネスに向き合っている会社があれば、お客さんにとってはそのほうがいいと思えるくらい開き直った考え方をしています。どんな会社がどんな商品を出したとしても、それを上回る姿勢で商品を磨いていきたい、その想いは変わりません」(中西さん)

↑最新作は、12月1日発売されたばかりのリカバリーサンダル「RECOVERY SANDAL Relax Winter」。冬も靴下を履かずに履物を履きたいというニーズに応えた一品だ。価格は8580円でXS〜XXLまでのサイズをラインナップ

 

まとめ/卯月 鮎 撮影/中田 悟

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