既報の通り、レイコップ・ジャパンは7日、ふとんクリーナーの最上位機種「レイコップRX」を発表。同日、都内で新製品発表会を開催しました。ふとん専用クリーナーの草分け的存在でありながら、最近は後発のライバルメーカーに“UVは効かない”として攻勢をかけられている同社。こうした声に対し、どのような説明をし、新たにどんなアプローチを打ち出してくるのか? この点に注目し、発表会に参加してきました。
UV-Cはダニの足の吸盤にダメージを与え自由を奪う
レイコップがふとんクリーナーにこだわっているのは、「睡眠環境・寝室環境からのアレルギー予防をブランド・フィロソフィーとしているから」と代表取締役の李誠晋(リ・ソンジン)氏は説明しました。日本のアレルギー疾患の推定患者数のうち、最も多いアレルギー性鼻炎は国民の12%以上、約1500万人以上が苦しんでおり、近年、患者数が増加傾向にあります。喘息、アトピー性皮膚炎の患者数も多く、これらアレルギーの主たる原因が、ダニ。
そこで重要になってくるのが1日数時間を過ごす寝具のケア。「寝具にいるチリダニは人間の垢やフケを餌にしています。そのため、生きたダニはふとんの表面におり、足先の吸盤状の部位で生地に張り付いている。UV-Cを当てることでこの吸盤状の部分にダメージを与え、ダニの動きを抑制して除去しやすくします。レイコップの全ての機種は、UVだけでなく、叩きや吸引を組み合わせた光クリーンメカニズムを搭載。これにより、ダニを含むハウスダストを効率的に除去できます」と開発責任者の倉持敬太氏は説明しました。
つまり、UVでダニの吸盤にダメージを与えることで、ダニの機動力と吸着力を奪い、クリーナーで吸い込みやすくなるという仕組みです。なお、紫外線は波長の長さによって「UV-A」「UV-B」「UV-C」の3種類に分類されますが、レイコップが採用しているのはなかでも最も強力なUV-Cとのことです。
ニオイが気になる世代の男性を新たなターゲットに
と、基礎技術を確認したうえで、新製品に目を向けてみましょう。2月23日発売の「レイコップRX」は、新たに3つの機能が搭載されました。1つ目が、まくらの除菌・脱臭が行える「まくらモード」。開発担当の倉持氏は、まくらの脱臭の意義、加齢臭のメカニズムとダニの関係を以下のように語ってくれました。
「なぜまくらの脱臭が必要か。当社の研究では、ダニは加齢臭の元となるノネナールの臭いに寄ってくることがわかりました。ノネナールは毛穴から分泌される脂肪酸が酸化分解することで生成されます。脂肪酸は加齢とともに増加するため、ノネナールも増加し加齢臭が発生します」(倉持氏)。
「まくらモード」は、まくらの上に本体を置き、スイッチを入れると3分間、70℃のドライエアブローとホメスタイオンを送り続け、まくらの中を除菌脱臭するものです。この間、RX本体は動かさなくてよいとのこと。ホメスタイオンとは、レイコップが独自開発した技術で、OHラジカル(-OH)とオゾン(O3)を独自調整することで、除菌だけでなく脱臭効果も発揮するとしています。
まくらモードの除菌脱臭効果をノネナールと汗臭の元となる酢酸、足裏臭の元となるイソ吉草酸で測定したところ、ノネナールで92.3%、酢酸は96.3%、イソ吉草酸は95.5%という脱臭率を測定したとのこと。皮膚常在菌の除菌結果は99.9%だそうです。
発表会場では、布片にノネナールを塗布し、「まくらモード」の脱臭効果を実証する実験も行われました。塗布時は臭気計が“205”を指していたものが、「ふとんモード」をかけたあとは“3”を表示。高い脱臭性能を証明してみせました。発表会後には会場内のタッチ&トライコーナーで脱臭体験ができたのですが、ジャスミン系のアロマを付着させた布片に「まくらモード」をかけたところ、3分後にはほとんど臭いがありませんでした。
まくらは、ダニが好きなニオイだけでなくエサとなるフケもあるため、ダニが多く集まる場所だといいます。そのため、「まくらモード」をかけた後に通常どおりにクリーナーをかければ加齢臭が消えて湿気もなくなり、ダニも吸い込んで清潔な環境で就寝できるということです。
レイコップでは「まくらモード」の搭載により、身だしなみに対する意識が高い男性、もっといえば、ニオイが気になり始めた年代の男性を新たにターゲットとしたい考えです。確かに、筆者もターゲットにされている年代だけに、かなり気になりますね(笑)。
新しいカテゴリへの挑戦にも言及
新機能2つ目は「自動モード」。圧力センサーにより毛布、低反発、高反発、羽毛などの寝具の違いによる通気性を自動で検知し、吸引力とブラシの回転を無段階で制御します。これにより、寝具に吸い付かず軽い力で効率よくふとんクリーナーがかけられます。RXには自動モードの他に、サイレントモード、パワフルモードなども搭載しています。3つ目が、同社初のコードレス化。リチウムイオンバッテリーを搭載し、約3.5時間の充電で最大約40分間の使用が可能になりました。コードがからまったり、本体がコードに乗り上げたりといった煩わしさが解消され、より扱いやすくなったのは大きなポイントです。
発表会の冒頭で挨拶に立った代表取締役の李誠晋氏は、「睡眠環境、寝室環境からアレルギーを予防することを出発点として、今後も人々の健康のために新しい価値のある製品を作り続ける」と宣言。今春、ふとんクリーナーの新製品発表をもう1つ用意していることを明らかにしました。さらに、「2018年までの間に新しいカテゴリの製品も発表する」と、強い意気込みを見せています。ふとんクリーナーという新しい家電ジャンルを作り上げたレイコップ。次はどんなエポックメイキングな製品を世に送り出してくるか、いまから楽しみです。