家電
2018/3/5 17:30

100年目は「低速」通信技術でIoT化を加速する! パナソニック、家電ビジョンに基づく3つの提携を発表

パナソニックは、2018年3月で創業100年。これを機に、同社は今後の家電の方向性と新たな取り組みについて発表しました。発表会の冒頭では、同社の専務執行役員で、パナソニック アプライアンス社の社長・本間哲朗氏がプレゼンテーションを行いました。

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新たな「HOME」に寄り添いながら、くらしに憧れを届けたい

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↑パナソニック アプライアンス社の社長・本間哲朗氏

 

「『ASPIRE TO MORE』(くらしにもっと憧れを)――2015年に私たちが掲げた企業理念です。もし、世界で『アプライアンス社は何を作っているところですか?』と問われたら『憧れを作っている会社です』と答えたい。家電事業を通じて、これからも暮らしの憧れを作りだし、世界の人々に届けていこうと。それが、私たちの変わることのない未来に向けた仕事だと信じています」

 

また、本間氏は、市場の変化とユーザーのライフスタイルの変化に対応し、ネットワークを通じて、個人りが心地よいと思える場所=「HOME」の範囲を拡大していきたいと語りました。

 

「これまで、私たちは壁と屋根に囲まれた家をHOMEと考えてきました。しかし、これからは、コミュニティ(共同体・仲間)、ソサエティ(社会)と繋がっていくことで、暮らしや人生に新しい喜びをもたらす存在にHOMEは進化していきます。たとえそれが家の中でなくても、心が安らげる、大切な人と過ごすことができる場所、それを私たちはHOMEと定義しています。このHOMEの世界に寄り添いながら、ひとりひとりにくらしの憧れを届けていくこと。それが、私たちが次に目指す姿です」(本間氏)

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そのビジョンを実現するためには、家電の連携による新たなサービスと、幅広いアライアンス(提携)が必要であると同社は考えているようです。

 

「今後は、個別に機能を提供する家電のみにとどまらず、個々の家電が連携しながら、それぞれの生活シーン、空間に合わせた新たな体験を提供する必要がある。その実現のために、幅広い領域のパートナーのみなさまと手を組み、イノベーションを加速させていきます」(本間氏)

 

新たな3つの提携のなかではLPWAの実証実験に注目

このビジョンに基づいて、今回発表されたのが、以下の3つの提携・取り組みです。

①寝具メーカー大手の東京西川と連携。睡眠環境サポートサービスを共同開発。

 

②無線通信サービス大手のNTTドコモと連携。省電力広域無線通信技術「LPWA(Low Power Wide Area)」を活用したIoT家電の実用化を目指す実証実験を共同で行う。

 

③スタートアップ企業に投資を行う米国・サンフランシスコ(シリコンバレー)の日系ベンチャーキャピタル、Scrum Ventures(スクラムベンチャーズ)と提携。新規事業の創出促進を目的とした新会社「株式会社BeeEdge(ビーエッジ)」を設立。

↑今回発表された提携
↑今回、提携を発表した企業の代表者。左から、東京西川の代表取締役社長・西川八一行(やすゆき)氏、パナソニックの本間哲朗氏、NTTドコモ 取締役常務執行役員・古川浩司氏、BeeEdge 代表取締役社長・春田 真氏

 

①東京西川との提携は、「眠り」に関するノウハウを持つ東京西川と組んで、快眠アルゴリズムを開発し、様々なサービスを提供するというもの。もともと空調や音響、ネットワーク制御の技術を持つ同社だけに、東京西川の支援でソフト面が強化されれば、より精度の高いサポートが可能になります。

 

②NTTドコモと共同で行うLPWAの実証実験は、今回の提携で最大の注目ポイント。2018年秋をめどに、東京、大阪、滋賀の三地域で合計1000台規模のLPWA通信機能対応家電を用いた実験を順次開始する予定です。全国規模、かつ大量の家電へLPWA通信技術の導入を想定した実証実験は、国内初の取り組みとなるとのこと。

↑基地局
↑LPWAの基地局

 

このLPWAは、IoT(※)の起爆剤になると注目されている無線通信技術で、欧米ではすでに実用化が進んでいます。その技術は、あえて通信速度を抑え、広域にデータを送ることができるというもの。最大で数十km前後もの広範囲をカバーでき、3Gや4Gでは電波が届かない場所も網羅するのがメリットです。低速ということで時代に逆行する技術に思えますが、もともと、家電の制御や監視にはそれほど多くのデータは不要。逆にデータ量や消費電力が少ないため、低コストでIoT環境を整えることが可能になります。実用化が実現したら、インターネット回線が無い家庭でも電源を入れるだけでクラウドサービスが利用可能になり、一気に家電のIoT化のハードルを下げるのは確実。本間氏が言う「HOME」の拡大に大きく貢献する可能性があります。

※IoT……Internet of Thingsの略。モノがインターネットを介してサーバーやクラウドと接続され、相互に情報をやりとりできること

 

③スクラムベンチャーズとの提携は、優秀な人材や新事業に対するスピード感を確保する、といった意図でしょう。急速に変化する時代とユーザーに対応するための施策といえます。

 

展示会では、新ビジョンに基づく未来の生活を提示

また、発表会と合わせて、新ビジョンに基づく製品の展示会も行われました。ここでは、パナソニックが考える未来の家庭を示したデモンストレーションが行われ、食事から睡眠まで、IoT家電が生活をトータルにサポートする様子が提案されました。

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↑冷蔵宅配ボックスに配達されたミールを自動調理している間に、夫婦仲良く次の料理の食材を選ぶシーン

 

↑睡眠
↑東京西川との提携で目指していく睡眠サポートのデモ。空調や音楽、照明などで個人それぞれに快適な睡眠環境を提供します。写真は、二人の起床時間が違っても個別に対応するシーン

 

このほか、千葉工業大学と共同で開発したロボット掃除機や、地味ながら実はすごいオゾン水デバイスや水素発電機などがズラリ。同社の新規事業創出プロジェクト「Game Changer Catapult(ゲームチェンジャーカタパルト)」が提案する新家電、同社デザインセンターのコンセプト家電など、ユニークな製品も数多く展示されていました。100周年を迎えて新たなスタートを切ったパナソニック、今後も様々なシーンでワクワクさせてくれそうです。

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↑ロボット技術で定評のある千葉工業大学と共同開発した 「furo ロボット掃除機プロトタイプ」。2019年の実用化を目指しているとのこと

 

↑独自のSLAM技術(自己位置推定と地図作成技術)を採用し、新たにモノが置かれても瞬時に対応。ラグがあっても段差を検出して本体を持ち上げ、乗り越えます。ホームへの帰還もめっちゃ速かった!
↑ 「furo ロボット掃除機プロトタイプ」は独自のSLAM技術(自己位置推定と地図作成技術)を採用し、新たにモノが置かれても瞬時に対応。ラグがあっても段差を検出して本体を持ち上げ、乗り越えます。ホームへの帰還も信じられないほど速かった!

 

↑地味にすごい
↑オゾン水デバイス。水道水を通すだけで、除菌・防カビ・脱臭効果があるオゾン水を生成可能。生活用水に使うだけで、掃除や除菌の手間が大幅に減りそうです。近々にデバイスの技術を用いた画期的な製品も発売予定とのこと

 

↑Game Changer Catapultに選出された機能性インテリア「AMP」。キュレーションされた音と映像と音を提供します
↑中央のディスプレイ状のものが、Game Changer Catapultに選出された機能性インテリア「AMP」。キュレーションされた音と映像と音を提供します

 

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