家電
炊飯器
2018/8/3 22:51

話題の炊飯器「かまどさん電気」を家電ライターが渾身レビュー – 感激を全部書いたら1万字に…!

【テストのまとめ】

「もちもち」ではなく、ふっくら・しゃっきりした食感を楽しめるのが魅力!

炊飯用土鍋をまるごと使い、それに合わせて加熱方法から炊飯プログラム、冷却方法まですべてをチューニングした「かまどさん電気」。「ふっくらしながらもしゃっきり粒立ちのいい炊き上がり」が特徴です。高級炊飯器、特に圧力IH系のモデルはふっくら感が強いと同時にもちもち感が強く、やや柔らかめの炊き上がりになりますが、本機はそれらと一線を画した食感。個人的な印象で言えば、三菱電機の本炭釜KAMADOがやや近い食感だと感じました。また、今回3合/2合/1合の3種類の炊飯量で味と食感を比較しましたが、1合を炊いた際に炊きたての香りと甘みがわずかに弱いと感じた以外は、それほどの違いを感じませんでした。他のIH炊飯器と比較しても、本機の炊飯量による食感の変化は少ないと思います。

↑炊飯量1合で炊いたごはんは、白くみずみずしい炊き上がり

 

また、土鍋で炊いたごはんは冷めてもおいしいと言いますが、本機で炊いたごはんは冷めてもふっくら感が残っていた点が驚き。一方、炊飯直後のごはんを急速冷凍・再加熱したごはんは、他のIH炊飯器で炊いたごはんとの差がそれほどない印象でした。当たり前のことですが、やはり土鍋ごはんのおいしさを100%堪能したいなら炊きたてに越したことはありません。

 

炊き分けの幅や土鍋の保温能力にはそこまで期待できない

食感炊き分けは3通りですが、他の多彩な食感炊き分けができる機種に比べて、食感の幅は広くありません。ただし、本機の食感を「やわらか」や「かため」にすることで、ごはんの“かたさ”はそのままに、みずみずしさや粒感を微妙に変化させることが可能。おかずや気分に合わせて、食感を炊き分けるのも楽しそうです。

 

保温機能に関しては、本機は保温モード非搭載ですが、土鍋の蓄熱性が高いため、炊飯後もしばらくは温かいごはんを楽しめます。また、土鍋が炊飯直後の余分な水分を吸収、鍋内が乾燥し始めるとまた水分を戻すので、ごはんの最適な水分量を長く維持できるのもメリットです。ちなみに、紹介記事などで「1時間はごはんの温かさを維持できる」と書かれることもありますが、ヒーターで保温する炊飯器と違い、さすがに“アツアツ”の状態を維持するわけではないことは理解しておきましょう。

↑アツアツとまではいきませんが、蓄熱性がいいので、一定時間温かさを保つことができます

 

土鍋の扱いはやや手間だが、直感的に操作できて乾燥モードも便利

では一方の「使い勝手」についてはどうでしょうか? まず、操作パネルの使いやすさについては、他のIH炊飯器とまったく遜色ありません。炊飯モードが他の高級モデルより少ないこともあり、取扱説明書を見なくても直感的に操作できます。ただし、土鍋に洗った米と水を入れ、本体にセットするまでに少々手間がかかります。それは、土鍋に水位線がないので、専用カップで水の量を測る必要があるため。もうひとつは土鍋及び二重ぶたが少々重いことです。さらに炊飯直後の中ぶたはかなり熱く、素手で掴むと火傷するので注意しましょう。

↑水位線がないので、専用カップで水を計量する必要があります

 

メンテナンス性に関しても、土鍋及び2枚の陶器ぶたが重いので、洗うときに注意が必要。また、洗った土鍋をしっかり乾燥させる必要がありますが、本機には土鍋を30分で乾かせる「乾燥モード」も搭載されており、これまで土鍋の炊飯で不便を感じていた人には大きなメリットと言えます。

 

炊飯機能は唯一無二だが、設置性が最大のネックになりそう

本機の独自性は、何と言っても土鍋を使っていること。その特性を活かすべく、現行の高級炊飯器とは異なる技術を結集したことこそ、本機の独自機能の最たるものです。また上でも触れましたが、土鍋を自然乾燥する手間を省ける乾燥機能も本機ならでは。

↑伊賀焼の炊飯土鍋のメリットを活かすために、技術を結集

 

設置性については、実はこれが一番のネックになるかもしれません。3合炊きモデルながら、5合炊き高級炊飯器に匹敵する大きさと重さ(どちらかというと5合炊きのなかでも大きめで重めです)。通常の炊飯土鍋と比べても、こちらは土鍋の周りにヒーターや断熱素材、冷却ファンなどが入った本体があるのですから、圧倒的に場所を取ります。特に土鍋を洗ったあとは、本体とは別にその土鍋を乾燥させる場所を確保しなくてはなりません。炊飯中に蒸気も出ますから、ひとつの場所に置きっぱなしで使うなら、炊飯器の上に広い空間があって、換気もしやすい場所を選ぶ必要あり。購入を考える人は、その設置場所もしっかり考えておいたほうがいいでしょう。

↑乾燥モードの使用後、残った湿気を飛ばすための場所も必要になってきます

 

土鍋ごはんの再現性でいえば、現状でもっともオススメのモデル

本機は本物の土鍋を使用している以上、メンテナンスでIH炊飯器より手間がかかるのは事実。設置のハードルもやや高い本機は、正直言って、万人にオススメできる炊飯器とはいえません。ですが、他の炊飯器では味わえない食感は、なにものにも替えがたい唯一無二の魅力。なによりも土鍋ごはんのおいしさを求める人には、現状でもっともオススメできるモデルといえるでしょう。火加減の調節が不要で、乾燥モードを使えばワンボタンかつ短時間で土鍋を乾燥できるため、省手間という面でも魅力的。特に、すでにガスコンロで土鍋炊飯を行っていて不便を感じている人は、本機に乗り換えるのも大いにアリ。少量炊飯でもおいしく炊けるので、新婚夫婦や中高年の二人世帯にとっても、狙い目のモデルと言えるでしょう。

 

協力:楽天市場

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