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2018/9/9 17:30

家電ライター「価格は問題にならない」3万7000円のバルミューダ「子ども用デスクライト」が高くない品質以外のワケ

バルミューダといえば、デザインに優れた扇風機などの空調家電や、トースターや電気ポットといったオシャレなキッチン家電で有名。ところが、9月6日、バルミューダが発表したのはなんとデスクライト。その名は「BALMUDA The Light(以下、The Light)」で、「子どもが使いやすいこと」を念頭に開発されたといいます。そして、価格はなんと3万7000円(税別)とかなり高価。当初はいったい誰が買うのか……と思うのですが、製品を見てから考えてみると、個人的には「価格は問題にならない」という結論になりました。以下でその理由をお伝えしていきましょう。

↑バルミューダの新製品「BALMUDA The Light」

 

頭上にセットすると手元が影になり、手元を照らすとまぶしいという課題

バルミューダによると、小さな子どもは大人より小さく視界の範囲も狭いため、集中するとノートなどに「被さる」ように絵や文字を書くことが多いのだそう。このため、デスクライトを頭上にセットすると、子どもの頭が光を遮って手元が影になります。かといって、手元を照らすためにライトの位置を離し、手元方向に光源を向けると、今度はライトの光が直接目に当たってまぶしい…という問題が。そのため、理想的なのは、シェードを下に向けても斜め前方にある手元に光を送れるライトだそう。

↑頭上にセットすると手元が影になります

 

↑手元に光源を向けると光が目に入ってしまう問題が

 

手術灯の技術を応用した「ForwardBeam Technology」で課題をクリア

一方、手を使う細かな作業で失敗できないものといえば、人の命を左右する「手術」でしょう。なんと、The Lightはこの手術時に利用する「手術灯」の国内シェアNo.1の山田医療照明と共同開発しています。手術灯の大きな特徴は手や器具などの「影」ができにくいこと。この手元の影を作らないために、手術灯は光を一度鏡などに反射させて光の経路をコントロールしています。

↑会場に展示されていた手術灯

 

↑手術灯が照らすパプリカの茎に中指をのせてみましたが、パプリカにはまったく影が落ちません。まるで魔法のよう

 

今回発表されたThe Lightも、LEDで作った光を一度シェード裏の鏡で反射させ、本体の斜め前を明るくする「ForwardBeam Technology(フォワードビームテクノロジー)」を採用しています。このため、頭をノートに近づけたとしても、本機なら手元は明るく、また「ライトの光がまぶしい」という問題もありません。

↑The Lightのシェード内部。LEDは3つ内蔵されていますが、すべて直接光が机に向かわないように処理されています。写真で見えると通り、複雑な形状をした鏡で反射した光を机の上に届けます(写真はカバーを外した状態)

 

↑発表会現場にあった体験コーナー。ライトは机の端で下を向いているのに、机中央が明るく照らされているのがわかります。これは不思議!

 

太陽光に近い光の波長を持ち、目に優しいLEDを採用

The Lightは、「光の質」も一般的なLED照明とは異なっています。実は、我々の多くが目にしているLED照明は「白色LED」と呼ばれるもの。その点、The Lightは「太陽光LED」と呼ばれるLEDを採用しています。白色LEDと太陽光LEDの違いは、ズバリ「光の波長」。一般的な白色LEDは「青色LED」の光を「蛍光体」に通すことで白く見せています。このため、光の波長を調べると「青」の波長がダントツに多いのがわかります。

↑黒い線が一般的な白色LED、破線が太陽の光、そしてオレンジの線がThe Lightの光の波長。The Lightの光は400~500nmの間のブルーライトが少ないのがわかります

 

ちなみに、この青の波長が現在よく知られている「ブルーライト」のことで、目の疲労をはじめ、さまざまな悪影響を指摘されています。一方、太陽光LEDは、もちろん青の波長はあるものの、白色LEDの半分ほど。より自然な太陽光に近い光の波長になっているのが特徴です。

 

「モノ本来の色が見える」のも利点だが、太陽光LEDは価格が高い!

太陽光LEDはブルーライトの影響が少なく「目に優しい」というだけではなく、「本当の色が見える」のも特徴。白色LEDは青の波長が強いため、「赤っぽい色がくすんで見える」という問題があったのですが、太陽光LEDだと赤もハッキリと見えます。このため、太陽光LEDは医療現場のほか、きちんと「色」を再現する必要がある美術館などでも使用されているとのこと。つまり、本機を使えば、子どもにモノの「本当の色」を見せることができるわけです。

↑会場にあった白色LED(写真左)とThe Light(写真右)の明かりの違い。白色LEDはバナナが少し黄緑がかっていたり、ミカンの色が褪せているように見えます

 

ちなみに、目に優しく、物本来の色を再現できる太陽光LEDが普及していない理由は、ズバリ「価格」。太陽光LEDは白色LEDよりもかなり高価なパーツなのです。また、白色LEDと比較すると、複雑な排熱処理を行う必要があり、そのための冷却機(ヒートシンク)も必要なのだそう。

 

ペン立てのライトアップなど、子どもが喜ぶ仕掛けが満載!

The Lightは「子ども向け」ということで「光」以外にもさまざまな工夫があります。ひとつは点灯時や明るさ変更時に電子ピアノのカワイイ音が鳴ること。

↑明るさの度合いは、正面のつまみで6段階から選べます。明るさを変えるたびに軽快な音がなるのも面白いですね

 

ふたつめは、本体スタンド部がペン立てになっていること。「デスクライトを置くと机が狭くなる」との考えで明かり付きハイデスクのような勉強机を購入するユーザーも多いですが、ペン立てと一体型ならば、机の上に物を置くことにも納得できそうです。ちなみに、デスクライトを点灯するとペン立て内部も光るというギミックもあり、子どもに受けそうですね。

↑スタンド部分がペン立てになっているほか、内部をライトアップできるギミックも

 

↑ペン立てのなかは汚れやすいものですが、中にはカバーがセットされており、簡単に洗うことができます。カバー底面は柔らかい素材で、鉛筆を下方向に挿しても折れないよう、工夫が施されています

 

愛着を持ってもらうため、デザインの完成度を90%に抑えた

みっつめはシールなどを貼って自分らしいデコレーションができること。「シールなんて、他のライトでも自由に貼ればよい」と思うかもしれませんが、実はシールを貼ったり、剥がしたりすると塗料が剥げる製品はかなり多いのです。だからThe Lightはシールをつけ剥がししても剥げにくい塗料を使用しているそう。

 

また、本体は植物ポットのようなカワイイデザインで、素人目には完成度が高いように見えますが、同社の代表取締役社長・寺尾 玄氏によると「あえて90%のデザイン」に抑えているのだとか。残り10%のデザインは子どもが自分の手で完成させることで、「このデスクライトは自分のもの!」という愛着を持って欲しいということです。

↑バルミューダの代表取締役社長・寺尾 玄氏

 

1点、注意したいのが、質量が約3.2kgと重いこと。子どもが不用意に倒せないのは利点ですが、移動は親がしないと危ないですね。その点を除けば、手元が影になりにくいこと、色がキレイに再現されること。そして、「手術灯の技術を応用している」というロマンと、ヒートシンクを採用してまで太陽光LEDを採用した根性……。「好きだから作った」という熱い思いを感じます。シールを貼っても剥げない塗料や、ペン立て内部のカバーなど、細かな部分がしっかり考慮されているのも高ポイント。その品質に、自腹で購入するのもアリかな……と思うほどでした。

 

6ポケットの存在、大人の需要も考えると、3万7000円は高くない

さて、冒頭で「価格が問題にならない」と言った理由は、先述の品質の高さがベースにあることと、もうひとつは、小学校入学時の「6ポケット」の存在です。「6(シックス)ポケット」とは、子ども一人に対し、両親2人+その両親(祖父母)4人=合計6人の財源があるという事実を指す言葉。この6ポケットの存在を踏まえ、「小学校の入学祝い」というイベントの重さを考えると、3万7000円という価格は高すぎず、安すぎず、手ごろな価格に思えるから不思議です。

 

さらに、The Lightは一定数の大人の需要もあるはず。筆者でいえば、ベッドやソファ横のサイドテーブルに置いて読書灯として使いたいですし、普通に仕事机に置いて資料読みやラフ描きの作業に使いたいです。また、バルミューダのデザインのファンも一定数いるので、そういった層も購入するはず。上手にデコレーションすればインスタ映えしますしね。そう考えるとこのThe Light、絶妙なラインを狙ってきたな……という印象。「さすがはバルミューダ」と、改めて思わせる製品でした。

↑会場には付属のシールでデコレーションしたThe Lightも展示されていました。付属シール意外にもさまざまなシールでデザインを楽しんで欲しいそう

 

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