家電
炊飯器
2018/10/7 19:30

プレミアム炊飯器6モデルを3人のプロが比較採点! 「格付け大試食会」

新米が出始める秋。2018年秋も、大手メーカーから最上位炊飯器の新モデルが出揃いました。気になるその実力を確かめるため、3人のプロが試食。ごはんの見た目と味、炊飯器の操作性の観点から徹底的にジャッジします!

 

【評価した人】

デジタル&家電ライター

コヤマタカヒロさん

執筆やコンサルティングなど多方面で活躍。料理好きで調理家電に詳しく、米・食味鑑定士の資格も所有しています。

 

家電ライター

田中真紀子さん

白物家電・美容家電を得意とします。共働きのため、自宅でも家事がラクになる家電を多数稼動させています。

 

カメラマン

福永仲秋さん

ごはん好きカメラマン。視覚的にもおいしく食べるために、炊き上がりに合わせて多数の茶碗を使い分けています。

 

きめ細かな炊き分け機能!プレミアム炊飯器を徹底比較

どのメーカーも“かまど炊きごはん”の再現を目指して進化を続けているなかで、最新トレンドとして挙げられるのが、炊き分け機能の拡充です。家電ライターの田中真紀子さんはこう語ります。

 

「パナソニックは50銘柄の米の炊き分けが可能に。三菱電機も炊き分けできる米の銘柄が増えました。象印は自分好みの炊き方に近づけられる『わが家炊き』メニューの食感の範囲をさらに広げています。一方で、パナソニックのように乾燥米も新米のようにみずみずしく炊ける機能を追加するなど、銘柄だけでなく、米の鮮度や好みに合わせてきめ細かく炊き分けられる機能がより充実しました

 

炊飯方式では、多くのメーカーが圧力IHを採用する一方で、非圧力にこだわる三菱電機が目立ちます。斬新なのがシロカの「かまどさん電気」。長谷園の人気炊飯土鍋「かまどさん」使用の電気炊飯器ということで、注目を集めています。今回は各機の炊きたてごはんと冷やごはんを試食し、ごはんの見た目と味、炊飯器の機能面から評価。それをもとに、ランク付けを行いました。

 

<高級モデルの炊飯条件>

新潟産コシヒカリを「炊きたて」と「おにぎり」で試食

平成29年製の新潟産コシヒカリ3合を、各機種の標準モードで炊飯。「炊きたて」と「おにぎり(冷やごはん)」の状態で試食し検証しました。

 

プレミアム炊飯器徹底比較!その1

精米から日が経って乾燥した米を新米のようにみずみずしく炊き上げる!

パナソニック

スチーム&可変圧力IHジャー炊飯器

「Wおどり炊き」 SR-VSX108

実売価格10万2940円

熱対流と可変圧力による「Wおどり炊き」技術で米の芯まで熱を伝え、“かまど炊きごはん”を再現。新モデルは、乾燥した米も新米のようにおいしく炊き上げる「鮮度センシング」機能を搭載したほか、食感も13通りに微調整可能になりました。【炊飯容量:0.5〜5.5合】【内釜:ダイヤモンド竈釜】【食感/銘柄炊き分け:13通り/50通り】【推奨保温時間:約6時間】

SPEC●消費電力:約1210W●加熱方式:6段全面IH●炊飯メニュー数:14●サイズ/質量:W275×H234×D361mm/7.8kg

 

↑米ひと粒ひと粒が立ち、ツヤとほど良い粘りがあります。塊を口に入れると口の中でほぐれ、強い弾力を感じます。口に入れた瞬間から甘いですが、噛むほどに甘みが増しました

 

↑内側をダイヤモンドフッ素でコーティングした「ダイヤモンド竈釜」。細かい泡を多く発生させ、米ひと粒ひと粒に熱をしっかり伝えます

 

↑底面・側面・ふたにIHを搭載。釜を包み込むように加熱します。釜内部の温度を下げず、米のおいしさを最大限に引き出します

 

↑「銘柄炊き分けコンシェルジュ」を搭載。50銘柄の米が各特性に合わせて炊き分けられるうえ、食感も3段階から選べます

 

【3人の評価はコチラ!】

しゃっきり派ももっちり派も納得!

「しゃっきりともっちりのバランスが良く、誰もが納得のおいしさ。粒感がしっかりとしており、冷やごはんにしてもほぼ変化なし。和洋中問わず、どんなおかずにも合います」(コヤマさん)

 

使い始めれば設定もメンテもラク

「設定項目が多く最初は戸惑いますが、一度記憶させれば簡単に使えます。内釜が軽くごはんもスルンと取れます。スチーム用容器もあり、洗い物は多めですが、手入れ自体はラク」(田中さん)

 

米にツヤ感があり粒立っている!!

「水分をしっかりとまとい、ツヤ感があります。表面は少しザラッとしていてやわらかそうに見えましたが、食べてみると意外と粒感が強いです。色味は全体的に黄色っぽい印象」(福永さん)

 

【JUDGEMENT】

繊細なプログラミングで味も使い勝手も大満足の出来

甘みを引き出しつつスチームでハリを与えるなど、誰もがおいしいと思える炊き上がりはさすが。どんな米でも最適に炊き上げるなど、万能感が際立ちました。内釜が軽めで、手入れもしやすいです。

 

 

プレミアム炊飯器徹底比較!その2

かまどを超える大火力と炎のゆらぎが甘みを引き出す!

ZOJIRUSHI

圧力IH炊飯ジャー

炎舞炊きNW-KA10

実売価格10万9770円

底IHヒーターを3つ備え、部分的な集中加熱を行って激しく複雑な対流を実現。かまどのような大火力と、炎のゆらぎを再現した炊飯が可能となり、米ひと粒ひと粒に熱を伝えます。「わが家炊き」で121通りの食感炊き分けが可能です。【炊飯容量:0.5〜5.5合】【内釜:鉄〜くろがね仕込み〜豪炎かまど釜】【食感/銘柄炊き分け:121通り/なし】【最大保温時間:40時間】

SPEC●消費電力:1240W●加熱方式:ローテーションIH●炊飯メニュー数:20●サイズ/質量:W275×H235×D345mm/約8.5kg

 

↑食感を「ふつう」で炊いてももっちり感が強く、粒同士がくっつきやすいです。冷めても、もっちり感はそのままだが粒立ちは落ち、ペチャっとした重さを感じました

 

↑発熱効率と蓄熱性が高い鉄を仕込んだ「豪炎かまど釜」。内側の「うまみプラスプラチナコート」がごはんの甘みと旨みを引き出します
↑3つの底IHヒーターをローテーションで加熱。従来品に比べて単位面積あたり4倍以上の大火力と激しい対流を実現しました
↑内ぶたの内側に「うるおい二重内ぶた」を搭載。大火力でも吹きこぼれを抑えつつ、蒸気を逃がさずにごはんの水分を保ちます

 

【3人の評価はコチラ!】

ごはんだけで食べられるおいしさ

「甘みともちもち感が強く、ごはんだけでも食べ応えあり。冷めると両方弱まりますが、十分おいしい。おかずはデミグラスソースハンバーグのような濃い味の洋食が合いそうです」(コヤマさん)

 

ボタン操作が面倒だがお手入れのしやすさは抜群

「液晶に項目が一覧化されるためわかりやすい反面、ボタンを何度も押す設定がやや面倒かも。内釜が軽くなり、洗うパーツも少ないので、メンテナンスがシンプルなのは良い!!」(田中さん)

 

米の形を崩すことなくごはんが炊きあがった!

「炊き上がりの色は黄色っぽい印象。米粒のエッジがハッキリとしていて粒立ち、生米のフォルムのまま炊き上がった感じです。硬めの食感かと思いきや、やわらかかったです」(福永さん)

 

【JUDGEMENT】

大火力ヒーターで粘りと甘みが素晴らしい!!

かまど炊きの炎のゆらぎと大火力を再現したことで、もっちりと甘みを感じる味に。クセが強く感じても「わが家炊き」機能で好みに近づけられます。洗うパーツが少なく手入れがラク。

 

プレミアム炊飯器徹底比較!その3

土鍋炊きのおいしさをごくシンプルな操作で簡単に再現できる

長谷園 × siroca

かまどさん電気

実売価格8万6184

伊賀焼の老舗窯元「長谷園」と家電メーカー「siroca」が共同開発した、本物の土鍋を使用した電気炊飯器。土鍋ならではの遠赤外線効果により、外からの熱が米の内部に緩やかに届き、ふっくらとした炊き上がりを実現します。【炊飯容量:1〜3合】【内釜:伊賀焼炊飯土鍋】【食感/銘柄炊き分け:3通り/なし】【保温機能:なし】

SPEC●消費電力:1300W●加熱方式:シーズヒーター●炊飯メニュー数:5●サイズ/質量:約W300×H261×D300mm/約7.6kg

 

↑ややもっちり寄りの炊き上がり。米粒が大きく膨らみ、ひと粒ひと粒にみずみずしさを感じます。米粒同士がまとわりつくことなく、粘りのバランスも良いです
↑内釜は職人が手づくりした土鍋。熱しにくく冷めにくい性質が、かまど炊きのような温度推移を再現します

 

↑“呼吸する土”の特性により、温かいごはんから出た余分な水分を吸水し、冷めたごはんに補います

 

【3人の評価はコチラ!】

日本人が好む甘みともっちり感!

「甘みともっちり感が好バランスで、まさに日本人好みの味。冷やごはんにしても甘みは残っていて、むしろ冷やのほうがおいしいかも。粒感もあり、お弁当やおにぎりに◎」(コヤマさん)

 

土鍋ならではのメンテナンスが必要

「タッチパネル式で設定項目も少なく、操作はシンプル。ただ、土鍋の扱いはやや手間かも。使用後は完全乾燥する必要がありますが、本体に乾燥機能があるのはありがたい」(田中さん)

 

米粒のエッジの溶け具合が美しい!

「米粒に上品な光沢と透明感があり、みずみずしさを感じます。均一に熱が通っているとひと目でわかります。粒のエッジの溶け具合は一番美しく、喉を滑らかに通りました」(福永さん)

 

【JUDGEMENT】

「かまどさん」の味と雰囲気を見事に再現

人気の炊飯土鍋がそのまま電気炊飯器に。甘み、粒への保水は土鍋ごはんに限りなく近いです。使用後は内釜を乾燥させる必要があるなど、手入れが大変ですが、自動乾燥機能が付きます。

 

 

プレミアム炊飯器徹底比較!その4

おこげの香ばしさが漂う土鍋ならではの独特な炊き上がり!

タイガー魔法瓶

タイガー 土鍋圧力IH炊飯ジャー〈炊きたて〉JPH-A101

実売価格9万8360円

内釜に伝統工芸品「四日市萬古焼」の土鍋を使用し、土鍋が蓄えた熱を素早く米に伝導。本体内部の底に「遠赤土かまど」を搭載し、高い蓄熱性と高火力で米の甘み・旨みを引き出します。押麦・もち麦メニューに加え、麦がゆメニューも新搭載。【炊飯容量:1〜5.5合】【内釜:プレミアム本土鍋 四度焼き】【食感/銘柄炊き分け:3通り/なし】【最大保温時間:24時間】

SPEC●消費電力:1075W●加熱方式:土鍋圧力IH+可変W圧力IH●炊飯メニュー数:13●サイズ/質量:約W261×H220×D325mm/約7.0kg

 

↑「火かげん中」でもうっすらとおこげができ、独特の香ばしい香りが広がります。箸で持ち上げると弾力はあるものの、適度にやわらかく、もっちりとした粘り気も感じられました

 

↑蓄熱性の高い土鍋に、熱伝導性が高い「炭化ケイ素」成分を配合。熱伝導が従来の約2.5倍となりました

 

↑炊き上げ時に1.25気圧に圧力をかけ、その後減圧する「可変W圧力」を採用。弾力あるごはんに仕上がります

 

【3人の評価はコチラ!】

土鍋ならではのおこげを楽しむ炊飯器

「粘りが強くもっちりした食べ応え。おこげができやすくて香りが強い点は、土鍋内釜ならでは。冷やごはんにすると甘みがアップ。サバの味噌煮など濃い味の和食が合う」(コヤマさん)

 

専用ボタンで設定にも迷いナシ

「火加減、仕上がりは専用ボタンがあるので設定しやすく、音声ガイドもついているので操作性は◎。ただし内釜の土鍋が重くて割れやすいので、慎重に扱う必要があります」(田中さん)

 

粒立って白く見た目は好印象

「白くておいしそうな第一印象。表面にデコボコがなく、つるんと滑らかな光沢が感じられた。米ひと粒ひと粒が際立っているし、食欲をそそる条件が揃っています」(福永さん)

 

【JUDGEMENT】

おこげの香りが強めで個性的な炊き上がり

そこそこの甘みともっちりした食感はバランスがいい。ふつうに炊いても軽いおこげができ、香ばしい炊き上がりが特徴的。使い勝手はいいですが、内釜が重い点だけ要注意。

プレミアム炊飯器徹底比較!その5

しゃっきりした噛み応えと内側からにじむ甘さが噛むほどにクセになる

三菱電機

本炭釜KAMADO

NJ-AW109

実売価格13万1630円 

圧力をかけないことで粒立った炊き上がりが追求されています。内釜に炭を採用しているほか、釜全体を包み込む「八重全面ヒーター」と「泡昇り釜底」が激しい熱対流を起こして、ふっくらと炊き上げます。玄米の炊き分けが豊富なのも特徴です。【炊飯容量:0.5〜5.5合】【内釜:本炭釜〜羽釜タイプ〜】【食感/銘柄炊き分け:15通り/41通り】【最大保温時間:約24時間】

SPEC●消費電力:1380W●加熱方式:本炭釜IH+八重全面加熱●炊飯メニュー数:14●サイズ/質量:約W285×H249×D320mm/約5.7kg

 

↑圧力をかけていないため粒がしっかりしてツヤと弾力があります。表面に多少の粘り気はあるものの粒自体にハリがあり、くっつき合う感じはなし。口の中でホロっとほぐれました

 

 

↑羽釜形状の内釜は、純度99.9%の炭素材を採用。炊きムラを抑えた高効率加熱を実現

 

↑内釜全体を包む「八重全面ヒーター」が米全体に熱を伝えます。凸形状の「泡昇り釜底」で沸騰力もアップ

 

【3人の評価はコチラ!】

噛みしめるほど風味が楽しめるしゃっきり系

「しゃっきり感が強く淡白な味で、好みが分かれそう。甘さと粘りは少ないが、噛みしめるほどに米の自然な風味が感じられる。刺身など素材の味を楽しむおかずに合う」(コヤマさん)

 

大きめの液晶と音声ガイドで操作もサクサク

「液晶が大きく音声でも操作手順を教えてくれるので、迷わず設定できた。内釜の水位線も見やすく、細かな配慮を感じる。割れやすい内釜の取り扱いには気を遣うかも」(田中さん)

 

朝日に映えそうな透明感がキレイで食欲をそそる

「ごはん粒の透明度が高く、朝食時などには朝日を浴びてキラキラと輝いて見えそうなほど。表面に凹凸があり、粘りがありそうに見えたが、食べてみると意外と硬めだった」(福永さん)

 

【JUDGEMENT】

非圧力ならではの自然な甘さと粒感を楽しめる

もっちり代表の象印の対極にいるようなしゃっきり系。口に入れた瞬間は粒立ち感が際立ち、噛むほどに自然の甘さが感じられます。内釜は割れやすいので注意が必要。

 

 

プレミアム炊飯器徹底比較!その6

東芝独自の真空技術で炊飯時間を短縮しつつ絶妙な炊き上がりに!

東芝

真空圧力IHジャー炊飯器

かまど本羽釜 RC-10ZWM

実売価格10万5580円

独自の真空技術で米の芯まで吸水し、圧力で熱を伝えるという「合わせ炊き」を採用。そのため炊飯時間を短縮しつつ、米をふっくらと炊き上げられます。玄米と白米を混ぜて炊飯してもおいしく炊き上がるのは、真空技術のなせるワザです。【炊飯容量:0.5〜5.5合】【内釜:備長炭かまど本羽釜】【食感/銘柄炊き分け:11通り/なし】【最大保温時間:40時間】

SPEC●消費電力:1420W●加熱方式:圧力可変コントロール+真空αテクノロジー●炊飯メニュー:8●サイズ/質量:約W245×H228×D328mm/約7.2kg

 

↑「真空ひたし」の効果か、炊き上がりのごはんの表面はサラっとしており、ツヤがある印象。口に入れた瞬間の甘みや粘りは控えめだが、噛むほどにごはんの旨みが出てきました

 

↑内面は熱伝導性の高いダイヤモンドチタン、外面は遠赤外線効果の高い備長炭を含む素材でコーティング

 

↑「圧力可変コントロール」(左)と真空で米の芯まで吸水する「真空αテクノロジー」(右)でごはんふっくら

 

【3人の評価はコチラ!】

万人ウケするあっさり味のごはん

「甘み、粘りは少なめだがバランスが良く万人ウケする味。物足りない場合は、「甘み炊き」コースで炊けばOK。あっさりしているので、とんかつなど肉系のおかずと合う」(コヤマさん)

 

タッチパネルで操作しやすい

「操作はタッチパネル式でノンストレスで設定可能。一方で洗い物の点数が多く、内釜が重くて洗いにくく感じました。蒸気通路に臭いが残りやすいのでお手入れに手抜きは禁物」(田中さん)

 

表面に細かな凹凸があり内側までみずみずしい

「『真空ひたし』で米の表面が割れるためか、表面に細かな凹凸があり、粘りは弱い。その一方でツヤと透明感があった。実際に食べてみたら皆に好かれそうなごはんだった」(福永さん)

 

【JUDGEMENT】

真空技術の活用でふっくらごはんを時短で実現

炊飯時間は「かまど名人コース」でわずか38分と圧倒的に短い。そのぶんやや無難な炊き上がりですが「甘み炊きコース」でおいしさがアップ。洗い物が多めで手入れは少し面倒。

 

文/田中真紀子 撮影/福永仲秋(ANZ)

 

協力:楽天市場