日本全国に、お米の銘柄がどのくらいあるかご存じでしょうか? 農林水産省「農産物規格規程」によると、平成29年度産のお米には、753もの銘柄があるそうです。
好みのお米が探せる体験型イベントが東京・大阪・名古屋で開催!
そんなたくさんの銘柄の中でも、自分が「おいしい」と感じるお米が探せる体験型イベントが、東京・大阪・名古屋で開催されます。イベントの名は、「OKOME STORY MUSEUM」。東京会場は南青山のスパイラルガーデンで10月5日から開始しており、10月14日(日)まで続きます。今回、オープンに先駆けてメディア向けの事前体験会が実施されたので、その様子をレポートします!
OKOME STORY MUSEUMの主催は、炊飯器の「Wおどり炊き」のブランドで知られるパナソニック。会場では、日本全国の銘柄米の特徴やオススメのおかずレシピ、お米にまつわる様々な知識などが展示されています。もちろん、パナソニックの高級炊飯器「Wおどり炊き」も展示しており、本機を推奨する6銘柄の新米を炊きたてで食べ比べすることができます。
お米の達人たちが語る「おいしいご飯との出会い方」
体験会は、ゲストのお米ライター・柏木智帆さんによる、「お米の楽しみ方」と題したトークセッションで幕を開けました。柏木さんは新聞記者をしていた際、お米を取り巻く問題について取材するうち、「農業をやっていないのに農業の記事を書いている自分」に疑問を感じ、実際に農家になってしまったという行動派です。
あるとき、柏木さんはお米屋さんに「『どのお米が一番おいしいか』との問いは、『どの画家が一番絵が上手いか』という問いと同じくらいの愚問だ」と聞かされて感銘を受けました。以降は、「おいしいお米を探すこと」よりも、「お米をおいしく食べること」に情熱を傾けるようになったといいます。
そんな柏木さんのオススメは「精米してくれるお米屋さんでいろいろな銘柄のお米をコマメに買って精米してもらい、その日の気分やおかずに合わせて炊き分けること」だそう。「その際はどういうお米を食べたいのか、お米屋さんと相談するといいですよ」と柏木さん。「知らなかったことがわかって楽しいし、必ずおいしいご飯が食べられて一石二鳥です」。なるほど、まずはなじみのお米屋さんを作って、コミュニケーションを取るのが大事ということですね!
試食を繰り返して銘柄の魅力を引き出すのが「ライスレディ」の仕事
とはいえ、その日の気分と料理にぴったりな銘柄のお米を準備しても、おいしく炊けなければ、これまた「もったいない」話になります。つまり、全国の数ある銘柄米をベストな状態で炊き上げるには、それぞれのお米に応じた「炊き分け」が必要になってきます。
そこでパナソニックでは、各銘柄米の特性を科学的に調査して、銘柄に合わせた炊き分けのプログラムを開発。その際に活躍したのがパナソニックが擁する炊飯科学のプロ集団「ライスレディ」の六人です。続いて、ライスレディの塚原知里さんがマイクを握りました。
塚原さんの所属する部署は、キッチンアプライアンス事業部 炊飯器事業 炊飯器技術部。そこで制御設計を担当しています。毎日、5~6台の炊飯器を使用して、それぞれ5回ほど炊飯して試食し、炊飯の研究をしているとのこと。
「700銘柄以上あるお米は、ひとつひとつ個性が違います。炊いては食べ、炊いては食べを繰り返し、プログラムを修正して、生産者の求めるおいしさを引き出す炊飯器に仕上げることが使命です」と塚原さん。
「Wおどり炊き」は業界最多の50銘柄の炊き分けに対応
塚原さんがまずアピールするのは、パナソニックの「Wおどり炊き」が、全国各地の6つの銘柄から推奨されているということ。6つの銘柄とは、北海道産「ゆめぴりか」、岩手県産「金色の風」、宮城県産「だて正夢」、秋田県産「あきたこまち」、新潟県産「新之助」、福井県産「いちほまれ」です。
さらに最新機種「SR-VSX8シリーズ」は、業界最多の50銘柄に対応する「銘柄炊き分けコンシェルジュ」を搭載。50種類の銘柄米の一つひとつの特徴に合わせて、Wおどり炊きが最適な火加減に調整しておいしさを引き出すようになっています。なお、SR-VSX8シリーズは、5.5合炊きの「SR-VSX108」(実売価格8万3490円)と1升炊きの「SR-VSX188」(実売価格9万9410円)の2機種があります。
塚原さんは、「Wおどり炊き」は、「昔ながらのかまどで炊いたごはん」を目指して開発しているといいます。IHコイルを切り替えて強力な泡の熱対流を生み出す「大火力おどり炊き」と、加圧と減圧で対流させてお米を芯まで加熱する「可変圧力おどり炊き」の2つの“おどり炊き”機能を一度の炊飯に採用。これにより、一粒一粒のお米をお釜の中でおどらせることができ、お米の持つ美味しさを引き出すとともに、甘くてもちもち、かつしゃっきりしたご飯に炊き上げます。
新銘柄の開発者が「Wおどり炊き」の銘柄炊き分けに感動
続いて、ライスレディの塚原さんを進行役として、「いちほまれ」の開発に携わった福井県農業試験場の小林麻子博士と、「だて正夢」の開発に携わった宮城県古川農業試験場の遠藤貴司博士が、銘柄炊き分けの再現性の高さを語りました。
小林麻子博士は「コシヒカリを産んだ福井県から、コシヒカリを超えるお米を作りたい」と職員一丸となって取り組み、「1700人にどんな味が美味しいかアンケートして開発した」と述べました。いちほまれの特徴は、白さとツヤ、口に広がる優しい甘さ、粘りと硬さ。研究所で試作機の「いちほまれコース」の炊きあがりを試したときは「水を変えず、炊き方だけでここまでできるのか」と感動したとのことです。
一方、遠藤貴司博士によると、「だて正夢」は、宮城ゆかりの戦国武将の名をもじり、東日本大震災からの復興を正夢にしたいとの願いを託して命名したとのこと。北海道のお米が持つモチモチ感を取り込みたいと開発したところ、加水条件などによっては、柔らかくなりすぎて粒感が感じられなくなるなど、やや難しいお米に仕上がったそう。
「研究所ではガス炊飯器を使って味の研究を深めました。Wおどり炊きの『だて正夢コース』は、それで炊いたのと同じか、それ以上のおいしさを実現しています。頑張ってくれたのだなとうれしくなりました」(遠藤博士)
いよいよ試食! 味の違いがはっきりわかる
とはいえ、実際のところはどうなのか? 自身で食べてみないことにはなんとも言えません。というわけで、試食体験会に参加。ステージに並んだ6台のWおどり炊きで炊かれた6種類の銘柄を器によそってもらい、食べ比べることが可能。ただし、器は3つ用意されていて、一度に3銘柄まで選べる仕組みです。
6銘柄が並んでいる以上、3種類といわず6種類を全て試したいのがメディア魂。知り合いの記者と示し合わせて6種類を揃え、食べ比べてみました。すると、意外なほど味に違いが出ることに気が付きます。
「だて正夢」は硬さとモチモチ感のバランスがバツグン。「いちほまれ」はしっかりした歯ごたえがありながら、噛むうちに口の中でとろけていきます。「新之助」は粘りがあり、お米が含む水の味がおいしく感じました。「ゆめぴりか」は柔らかい粒が好きな人向けで、味が濃い印象。自分の好きなご飯が探せるほか、よく食べるおかずに合うご飯を探すのも楽しそうです。
なお、本イベントでは、タイトルが「OKOME STORY MUSEUM」となっているように、食べ比べだけでなく、お米についてのさまざまな知識を得られる展示会仕立てになっています。お米地図や食味チャート、47都道府県の「至高の一膳」パネルなど、興味深い内容が盛りだくさんです。
冒頭で述べた通り、東京では14日(日)までの開催ですが、その後は大阪や名古屋でも開催する予定。いずれも入場料は無料です。お米の多様性に触れ、さまざまなおいしさが発見できるイベント、ぜひ体験してみては。
【OKOME STORY MUSEUM イベント開催日程】
東京会場:青山スパイラルガーデン
開催日:2018年10月5日(金)~14日(日)
大阪会場:パナソニックセンター大阪
開催日:2018年10月18日(木)~28日(日)
名古屋会場:久屋大通公園
開催日:2018年10月27日(土)~28日(日)