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掃除機
2018/11/21 15:00

「RULO(ルーロ)はロボットの未来だ」ーー世界を熱狂させるクリエイターがパナソニックのロボット掃除機への愛を語る

多くの「嫌いな家事・苦手な家事」アンケートでトップになるのが掃除や部屋の片付け。重い掃除機を引っ張って、家具を動かしながら家中をキレイにして回るのは重労働です。

 

そこで近年、DEWKs(共働き子育て)層に人気なのがロボット掃除機。育ち盛りの子どもは外からホコリや砂などを持ち込むため毎日掃除機をかけたい、でも掃除する暇がない−−というDEWKs層ならではの悩みをロボット掃除機が解決してくれるからです。

 

そういった意味で、ロボット掃除機はいま最も身近なロボットと言えるでしょう。ボタンひとつ、アプリ操作ひとつでお部屋を自動で清掃してくれるので、圧倒的な省手間・時産効果があり、生活にゆとりを与えてくれます。パナソニックの「RULO(ルーロ)」はそんなロボット掃除機のなかでも個性の強い1台。独特の三角形状は機能・性能的に計算されつくされた「ザ・工業製品」である一方、前から見ると「顔」に見えるデザインと愛らしい動きは、ユーザーに愛着を抱かせてくれるオンリーワンなロボットです。

 

↑パナソニック ルーロ MC-RS810/オープン価格。毛先がY字になった白ブラシの量が増え、従来モデルより集じん力が約10%向上した(※)最新モデル。また、最新モデルでは「音ひかえめ設定」ができ、在宅中の使用でも音があまり気にならずに使えるようになりました ※:パナソニック調べ。MC-RS800との比較

 

 

 

では、このオンリーワンなロボット掃除機を、オンリーワンなクリエイターが見たら、使ったら、どう映るのでしょうか? GetNavi webではトヨタ出身のクリエイティブ コミュニケーター/デザイナーの根津孝太さんに依頼。根津さんは888万円の電動バイク「zecOO」で世界の度肝を抜いたプロダクトデザイナー。ご自身もお二人の娘さんを持ち、奥さんと二人三脚で新しいデザインを生み出しています。本記事では、根津さんに実際にルーロを使っていただき、「デザイナー目線」と「DEWKs一家の父親目線」でその感想を語ってもらいました。

 

【語ってくれた人】

クリエイティブ コミュニケーター/デザイナー 根津孝太さん

トヨタ自動車で愛・地球博出展のコンセプトカー「i-unit」のコンセプト開発などを担当、独立後は電動バイク「zecOO」やトヨタのコンセプトカー「Camatte」、ダイハツの「COPEN」といった自動車関連デザインだけでなく、サーモスのケータイマグやアフタヌーンティーのランチボックス、タミヤの企画やミニ四駆など生活雑貨から玩具まで、プロダクトデザイナーとてして幅広く活躍中。近々、また大きなプロジェクトの発表を予定しています。

 

「ルーロはクルマのフロントデザインに通じるものがある」

まず、プロダクトデザイナーの目線から。根津さんにはルーロのデザインはどのように映ったのでしょうか?

「自動車のデザイナーだったので、ルーロの三角形にはロータリーエンジンで馴染みがあり、奇抜なものとは映りませんでした。三角形は正方形にきれいに内接できる、つまり、お部屋の隅をきちんと掃除できるという、理にかなった形状です。しかし、お部屋の隅にきちんと内接できるよう動作をコントロールするのは簡単なことではない。意味のある形状と、それを実現するための制御。製品として高いレベルで作り込まれていることに感動しました」

↑壁のすみを掃除するルーロを見つめる根津さん。どんな風に掃除するのか気になって、あとをついてまわるそう

 

モビリティを多く手がけるデザイナーとしては、三角形はある種の安心感を抱く形でもあると語ります。

「方向性がはっきりしているからです。丸い形は方向性がないけど、三角形は進む方向性が分かりやすくて安心感があります。ルーロの場合、よく見ると前面が顔にも見えて、可愛くもあり、とても落ち着いた気持ちにもなれますね」

↑ルーロを正面からみたときの様子。左右のセンサーが目、中央のセンサーが鼻や口に見えてキャラクター性が感じられる

 

自動車のフロントデザインにも似た感覚で、進むべき方向性がはっきりしているということは、特に動きのあるプロダクトデザインにおいて重要とのこと。さらに、顔のようなデザインはプロダクトにキャラクターが生まれ、親近感が湧いてくるとも。

 

また、ルーロは赤外線/レーザー/超音波と3種類の障害物検知センサーを搭載していますが、そのレイアウトにも驚嘆したとのこと。

「私もロボットのデザインを手がけているので、センサーのレイアウトの難しさをよく分かっています。ルーロの開発秘話では“力技で押し込んだ”とありましたが、あるべきところにちゃんと収まっており、壁のギリギリをスーッと走っていったり、家具にもぶつかることもなく、正確にセンサーが作動しています。この性能があるからこそ、かわいさや健気さが出てくるんですよね」

↑ルーロのかわいらしい表情について熱く語る根津さん。指を指している部分がはっぺたのように見えて、より一層キュートに見えてくる

 

ユーザーに必要な情報の見せ方も、デザイン的に秀逸だと説きます。

「表面に見えているのはスタートボタンだけ。ふたを開けると予約の入/切などほかのボタンが出現する。いつも使う/たまに使うボタン操作をレイヤーで分けるのは非常に理にかなっており、パナソニックらしいわかりやすいデザインセンスです」

 

根津さんがデザインするうえで心掛けていることは「リーズナブルであること」だそうです。これは手頃な値段という意味ではなく、英語本来の意味である“適切な。妥当な。理由のある”という意味。

「家電や生活雑貨は毎日使うものなので、奇をてらいすぎると良からぬスタイルを生み出し、すぐに流行遅れになって捨てられてしまいます。理由をもって生み出されるデザインは、国や文化の違いを超えて長く愛されます。ルーロの三角形は、部屋の隅をきちんと掃除したいという開発者の思いが体現した形。その骨太なコンセプトデザインは決して陳腐化しないでしょう」

 

「『るー郎くん』は生活の一部に、家族の一員になった」

次に、実際に一週間使ってみて、ルーロが根津家の生活をどのように変えたのかを訊いてみました。「とにかく可愛い! 可愛すぎて“るー郎くん”と名付けたくらいです。でもその可愛さは、基本性能の高さに裏付けられたものです」と興奮気味に語ります。

「今まで、ロボット掃除機はわが家には必要ないものと思い込んでいました。クルマやロボットのデザインに従事しており、センシングの難しさは理解しているため、ステップフロアがあるわが家では使えないだろうと考えていたのです。しかし、実際に使ってみると、そんな先入観は吹き飛びました。基本性能が高いから、家中の掃除を“るー郎くん”に任せられます。そうなると生活の一部になり、家族の一員になる。文字どおり一所懸命な姿は本当に可愛いです」

 

根津さんの琴線に触れた「基本性能の高さに裏付けられた可愛さ」「一所懸命な可愛さ」、それこそがルーロの特徴と言えます。

 

先述した、赤外線/レーザー/超音波の3種類の障害物検知センサーが正確に家具や壁との距離を把握し、ギリギリまで寄ることができるので、壁沿いをすーっと走行し、テーブルの足まわりもキワまでキレイになるように回っていきます。「家具にほとんど当たらない」と根津さんもセンサーの正確性に驚くほど。ここで三角形の形が生きてきます。前面2か所の角に搭載された回転ブラシが壁際や家具にきちんと接するため、キワであってもごみの取りこぼしがないのです。

↑家具のギリギリのラインも見分けて確実に進んでいく

「さらに、人間では取り切れない場所のゴミをちゃんと取ってくれるんですよ」と根津さんは興奮気味に説明します。「引き戸と床の隙間は、人間が掃除機かけてもごみが取れません。しかしルーロの回転ブラシはちゃんと隙間に入り込み、そこにあるホコリを掻き出して吸い取るのです。これには妻も感動しました」。

 

「そして、最高に可愛いのが“スミッコフリフリ”です(笑)」。ルーロは部屋の隅に来ると、三角形の角を隅にあてて首を左右に振る動作を何度か行います。これにより、隅にたまったほこりも掻き出すのです。これも三角形ならではのメリットでありますが、まるでペットがお尻をフリフリする仕草に見えてキュンとする場面でもあります。

↑根津さんが実際に使った印象をまとめたスケッチ。ロボットではなくペットのような存在に根津さんには映ったようだ

 

なお、本体裏面にある床面検知センサーと落下防止センサーにより、ステップフロアのある根津邸でも段差から落ちることなく、ステップのキワのギリギリまで掃除してくれる安心感もあるとのこと。

↑段差を確実に認識して落下を回避。ステップフロアや段差が多い家でも安心だ

 

ゴミマップで思いもしなかったところが汚れていることが発見できたのも感動したそうです。ルーロは上面にカメラセンサーを搭載しており、SLAM技術(自己位置推定と地図作成を同時に行う技術)により、掃除しながらお部屋の間取りを学習します。

 

間取りを学習したら、最初はお部屋の周囲をぐるりとラウンド走行して壁際を掃除、次にコの字(※2)にルート走行して部屋の中をくまなく掃除していきます。同時にクリーンセンサーでゴミの多さを検知していき、スマートフォンアプリでゴミマップを作成するのです。

※2:壁に沿うだけの「コの字」ではなく、部屋の中を細かく「コの字」を描きます。下記写真参照
画像出典:パナソニックサイトより

「え、こんなところにホコリが溜まっていたの?と驚きました。人間が気づかないところ、手が届かないところのゴミもきちんととってくれている。通れるか通れないかギリギリの幅でも一度途中まで試してみて、通れなかったら迂回して通れる場所を探して、ソファの下でもちゃんと掃除してくれるのです。床掃除はもうルーロに全て任せられます」

 

 

ゴミ捨てランプが光ってダストボックスを開けてみるとたくさんのゴミが詰まっていて、こんなにゴミがあったのかと驚くとともに、ちゃんと掃除してくれているんだと感動するそうです。

↑スマートフォンアプリ「RULOナビ」を使って、根津家をマッピングした画面

 

「ルーロは家族を穏やかにしてくれる」

家庭にルーロが加わったことで、根津家の掃除のスタイルは大きく変化しました。

「共働きなので、これまでは妻が週末にまとめて掃除機をかけていました。掃除は重労働なので、“さあやらなきゃ!”と気合を入れて掃除しているようでしたが、ルーロが来てからは掃除が楽しくなりました」

 

ルーロの掃除している様子が見たくて、最近ではご自身で毎日スイッチを押しているとのこと。

「さあ掃除を頑張ろうという気合は必要なく、“今日も動かしちゃう?”と楽しみながらきれいにできる。私も掃除に協力するようになったのも大きな変化です。ルーロのスイッチを入れるのはもちろん、ルーロが通りやすいようにケーブルを持ち上げたり家具の配置を変えたりしています。今や、わが家はルーロ中心に動いています(笑)」

↑根津さんのご自宅の様子

 

また、生活にゆとりも生まれたそうです。

「ロボット掃除機に掃除を担ってもらうことで時短になるという考え方がありますが、私はむしろ気持ちが楽になることのメリットのほうが大きいと思っています。仕事が忙しい時に誰も頼れないのは強いストレスになりますが、同じように、自分が掃除をやらなきゃという強迫観念は強いストレスになります。ルーロは床掃除を全面的に任せられ、そのストレスから解放してくれ、家族を穏やかな気持にしてくれるのです」

 

根津家にとって、ルーロはもはやなくてはならない生活必需品となったようです。

「生活家電は今後、機械ではなくパートナーとして存在するものだと思います。これがあるから僕たちの生活がより良くなっていき、潤いが生まれる。ロボット掃除機は、ロボットと人間の新しい関係の入り口になるでしょう。AIと人間が共存する未来はすぐそこまでやってきています。その第一歩として、皆さんにもルーロをぜひ“飼って”ほしいです」

 

単に家事の手間を省き生活を便利にするアイテムではなく、これからの人間とロボットのかかわり合いに重要な役目を果たすのがロボット掃除機であると、根津さんの目には映っています。パナソニックは2021年までに全家電製品にAIを搭載することを表明しています。そうなると、家中の家電が人間に先回りして家事をこなし、私たちの生活にたくさんのゆとりを与えてくれるでしょう。確かに、ロボット掃除機はその第一歩的な存在と言えます。

 

撮影/我妻慶一