バルミューダといえば、パンを美味しく焼くスタイリッシュなトースターなど、デザインと技術が融合した家電で人気のメーカー。そんなバルミューダが2018年10月に発売したのが、子ども向けのデスクライト「BALMUDA The Light(バルミューダ・ザ・ライト 以下、The Light)」です。この製品、子ども向けながらなんと価格が3万7000円(税別)とかなり高価。新製品発表会でThe Lightを体験したところ、「むしろオトナこそ使うべきかも?」と考えるようになりました。
The Lightの「光の質」に惹かれて使ってみた
大人である筆者が「子ども向け」のThe Lightに惹かれた理由が「光の質」です。実はThe Lightが高価格である理由のひとつに、高価な「太陽光LED」を採用している点があります。一般的な白色LEDは青色LEDの光を蛍光体に通すことで白く見せていますが、太陽光LEDは紫LEDの光を利用しています。このため、目に有害といわれるブルーライトの波長が少ないのだそう。
筆者はライターという職業上、パソコンのディスプレイや文字を読む時間が非常に長い生活をしています。このため、次第に目の疲れや乾き目に悩まされることが増え、さらに40を過ぎたあたりから「もしかすると老眼かも?」と感じることも増えてきました。ブルーライトが本当に有害かはさまざまな論争がありますが、不安要素はできるだけ取り除きたいところ。そんなアラフォーに、The Lightは魅力的に感じられたのです。
色がきちんと見えるため、文字もくっきり見える!
デスクに置いて実際に使ってみたところ、残念ながら「劇的に目の状態が改善した」といった結果には繋がりませんでした。それもそのはず、パソコンのディスプレイを長時間見つめる生活には変わりありませんから(笑)。ただし、The Lightを使って「良かった」と実感できたのが「色の見え方」です。一般的なLEDは太陽の光で見るよりも、赤などの色がくすみやすいのに対し、太陽光LEDは「モノの本当の色」が見えるといわれています。実際、より自然光に近く、赤やオレンジといった色を鮮やかに見せてくれました。筆者は仕事柄、印刷された雑誌記事のチェックや簡単なデザイン、資料の読み込みなどをすることが多いため、色をきちんと見せてくれる性能はうれしいかぎりです。
ちなみに太陽の光に近い「本当の色」が見える度合いは「演色性」(えんしょくせい)として数値化されています。The Lightの平均演色評価数はRa97以上。Raは最大100なので、かなり演色性が高いことがわかります。また、色が鮮やかなせいか、色だけでなく文字などもくっきりと見えるのも特徴。このため、長時間作業をしていてもあまり疲れなかったのは、非常にありがたかったです。
一方、不満に感じたのは、比較的高価な製品ながら、光の色を変更できる調色機能が搭載されていないこと。たとえば、仕事中は集中しやすい青白い色、寝る前の読書では睡眠を邪魔しないオレンジがかった色などに変更できると便利だと感じました。
手元をポイントで照らしてくれるので集中して作業しやすい
色の違いに加え、使ってみて「今までとずいぶん違う」と感じたのが、光の投射方法です。もっとも大きな違いは「光を照らす範囲」。従来まで使用していたLEDデスクライトは細長い発光部で机全体を照らしていましたが、The Lightは手元部分を集中的にスポットライトのように照らしてくれます。これは人によって好き嫌いが分かれそうですが、個人的には手元の資料や書き物に集中しやすく、仕事がはかどりました。
なお、LEDデスクライトは複数のLEDを使用するため「多重影」と呼ばれる「影が複数重なる」現象が起きることもあるのですが、The Lightはこの多重影の対策はしていないようです。最近は多重影対策をしているLEDデスクライトも増えているので、この点は少々残念。
まぶしさを防ぎ、本体が作業のジャマにならないのはメリット
もうひとつの良さが「本体を置く位置」です。一般的なデスクライトは、発光部の真下を照らす設計になっています。このため、デスクの端に本体をおいて、デスク中央の手元を照らすための方法は2つ。ライト発光部を斜めに向けてデスク中央に光をあてるか、シェード部分を手元まで引き寄せるかしかありません。ただし、どちらの方法にもデメリットがあり、発光部をデスク中央に向けると発光した部分が直接見えるためにまぶしく感じます。一方、シェードを手元近くに引き寄せると、今度はシェードが邪魔になるうえ、アームの自由度が低いデスクライトの場合は、本体自体を机中央近くに引き寄せる必要があり、これがまた邪魔なのです。
その点、The Lightはシェード内でLEDの光を複雑な形状の鏡で反射し、本体の「斜め前30cm近辺」を明るく照らす「ForwardBeam Technology(フォワードビームテクノロジー)」を採用。ライト本体を机の端に置きシェードを真下にむけた状態でも、デスク中央の手元付近を明るく照らしてくれるのです。バルミューダによると、この機能は子どもが「集中するとノートなどに覆い被さるように作業する」ため、自分の頭でノートなどの手元が影になるのを防ぐための機能なのだそう。とはいえ、まぶしさを防ぎ、本体が作業のジャマにならないという点では、大人にも充分メリットのある機能だと感じました。
「片付けられないオトナ」には「ツールボックス」が便利!
The Lightを使っていて、もうひとつ気に入ったのが本体下部にある「ツールボックス」と呼ばれるペン立て部分です。ライトスタンドにペン立てを組み合わせるというのは、いかにも子ども向けの機能にも思えます。しかし、これが驚くほど便利! 筆者は普段机の上にPCのディスプレイ2台、スピーカー、マウスにキーボード、デスクライトに使用頻度の高い文房具を入れたペン立てを置いています。ここに、さらに数十センチまで積み上げられた資料の山やデザイン用紙、仕事用のガジェットなどが加わるため、毎回作業スペースを作り出すのも大変な状態。その点、The Lightはライトと小物などの文房具が一体化しているので、ペン立てのぶんだけ机上のスペースを確保することが可能です。
ちなみに、ツールボックスは2つの深いペン立てスペースと、ひとつの浅い小物入れスペースがあり、よく使う文房具を整理しながらセットできるようになっています。また、ペンを立てる部分はケースがセットされており、簡単に洗うことができるのも便利。ケース底はウレタンのような柔らかな素材が貼ってあり、文房具を傷めないように配慮されているのも「さすが」と感じます。
また、意外に助かったのが「本体の重さ」です。実はThe Lightは重量が約3.2kgとかなり重い製品なので、少々机の上で資料が崩れてぶつかっても、普通のペン立てのように簡単に倒れることがありません。筆者は「片付けられないオトナ」であるため、いままで何度もペン立てを倒しては、あたふたと片付けていましたが、The Lightを使用してからは、そういったトラブルは一度もありません。
子どもにも使わせてみたら……意外なところに食いついた
アラフォー筆者が便利に使用しているThe Lightですが、一応「子ども用」ということなので5歳の子どもにも使わせてみました。ミニ四駆を組み立てるのに使わせたのですが、ミニ四駆を振り回してデスクライトにぶつかっても、ビクともしない安定感はさすがの一言。
また、The Lightは操作するたびにピアノのような「ポン」という音が鳴るのですが、なぜか子どもがこの音を気に入り、作業の合間にThe Lightを操作しては、一日中飽きずに音に聞き入っていました。正直、大人の筆者にはその面白さがわからないのですが、5歳の男児には楽しいギミックのようです。ちなみに、大人がThe Lightを使用する場合でも、この音を消す設定はありません。
オトナでも間違いなく「買い」のアイテム
筆者は当初、「目に優しそう」という理由でThe Lightを使い始めましたが、実際に使ってみると色の鮮やかさや、文字がくっきりと見えて長時間の作業でも疲れにくい点が気に入りました。また机の端に置いて、「シェードを下に向けた状態でも光が中央を照らしてくれる」という機能も、モノの多い狭い机の筆者向き。また、筆者のように机の上で文房具を多用するユーザーにとっては、The Lightのツールボックス機能は絶対に便利に感じるはず。
ちなみに、演色性が高いライトは、食事などを美味しそうに見せる効果もあります。SNSに料理をアップする人が撮影に使うのにも良さそうですね。調色機能がない点や多重影など不満がないわけではありませんが、これだけ充実した機能があるならば、オトナでも間違いなく「買い」の製品だと感じました。