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掃除機
2019/3/4 19:30

初代から3年半…ダイソン2代目登場で、ロボット掃除機は「間取り」を巡る新時代へ!

ダイソンがロボット掃除機の初代モデル「Dyson 360 Eye(ダイソン スリーシックスティー アイ)」を2015年10月に発売してから約3年半。長い沈黙を破り、ついに2代目となるロボット掃除機「Dyson 360 Heurist(ダイソン スリーシックスティー ヒューリスト)ロボット掃除機」(実売価格11万8800円・以下Heurist)を3月19日(火)に発売します。

 

初代ロボット掃除機登場から3年半の時を経て2代目を発売

↑ダイソンのロボット掃除機「Dyson 360 Heurist」。本体サイズ/質量は120×D240×W230mm/ 2.51kgで、稼働時間は最大約75分(静音モード使用時)、充電時間は2時間45分

 

ダイソン

Dyson 360 Heurist

 

本機の発表は、奇しくもアイロボット社が、間取りを学習する機能を搭載したルンバの新フラッグシップ「ルンバi7」を発表してから約1週間後。そして、ダイソン機の目玉機能も、まさに「部屋を学習して掃除を最適化する」とルンバに類似したものであるとのこと。いったいどのような機能なのか、ルンバとの違いは何なのか…という点も含めて発表会をレポートします。

 

強力モーターとサイクロンの遠心力で高い集じん力を誇る

ダイソンの掃除機のイメージといえば、やはり圧倒的な吸引力。コードレス、キャニスター型のパワーは広く知られるところで、ロボット掃除機も同様、「他のロボット掃除機の4倍の吸引力」を誇るといいます。Heristは前モデルに引き続き、毎分7万8000回転とパワフルな「ダイソン デジタルモーター V2」を搭載し、高い吸引力を実現。サイクロン内部に作り出す最大7万Gの遠心力でゴミや微細なホコリを空気から分離し、0.3μmの粒子を99.97%捕えるポストモーターフィルターを通過することで、部屋の空気よりキレイな空気を排出します。

↑Heuristのカットモデル。コンパクトな本体内部に、モーターや円錐状のサイクロン、フィルターが詰め込まれているのがわかります

 

ゴミをかき集めるブラシバーは、静電気の発生を抑えながらフローリングから微細なホコリを取り除く「カーボンファイバーブラシ」と、カーペットの奥からゴミを効率的にかき取る硬いナイロンブラシで構成。さらに、ブラシの回転速度は、前モデルを上回る1600回転を実現したとのこと。これを機体幅いっぱいに配置することで、効率的に、走行跡を残すことなく掃除できるといいます。実際、床にまいた重曹を掃除するデモ(以下写真)では、通った跡には一切の粉が残らず、キレイに掃除されているのが印象的でした。

↑ワンストロークで重曹のゴミを吸うデモ。走行跡の美しさは、圧巻というほかありません

 

扱うデータを20倍に増やし、LEDつき新レンズで正確に情報を視認

ただし、ダイソンの吸引力がスゴいのは周知のこと。Heuristの大きな進化ポイントは、製品名の由来ともなった「ヒューリスティックラーニング」機能にあります。今回、新たに1.4GHzのクアッドコアプロセッサを搭載することで、従来比で8倍の短期メモリと32倍の長期メモリを備え、20倍のデータを扱うことが可能に。その結果、掃除しながら部屋のマップを記録するだけでなく、掃除を重ねるごとに最新情報に更新し、最適な掃除方法が判断できるようになったのです。

 

この機能を存分に発揮するためには、Heuristが部屋の情報をより正確に把握する必要があります。そこでカメラに搭載するパノラマレンズに、灯台用レンズに着想を得たという独自の6エレメント半球レンズを採用。多くの光が取り込めるため、室内360度を正確に視認することが可能になるといいます。さらに半球レンズの周囲には8個のLEDライトを搭載し、室内の光量に応じて8個の中から必要な数・必要な向きのLEDライトを点灯するため、暗い場所でも部屋の情報をしっかり認識できるようになりました。

↑カメラに搭載したパノラマレンズが360°見渡し、得た情報をSLAM(Simultaneous Localisation and Mapping=自己位置認識と地図作成を同時に行う技術のこと)によって処理します。周囲を取り囲むオンレジ色の部分がLEDライト

 

↑暗い場所での走行シーン。「暗くて見えないなら、明かりをつければいい」という発想です。必要な方向のLEDだけ点灯するところは、SLAMと連動しているからこそなせるワザ

 

カメラが取り込んだこれらの情報は、インテリジェント SLAMビジョンシステムという技術で処理。自分の位置を計算して把握するほか、走行中も0.02秒ごとに走行した距離の測定を行うことで、現在位置とまだ掃除していない場所を把握することで、ムダなく効率的に掃除ができるというわけです。

 

4つのセンサーで障害物を正確に認識

さらにHeuristには、最大2mまで視認できる「長距離センサー」、障害物を検知し、機体の走行速度を緩やかに落とす「障害物センサー」、壁や家具のギリギリまで誘導する「壁面近接センサー」、段差を認識し、必要に応じて走行方向を変更する「段差センサー」といった4つのセンサーを搭載。進路上にある段差や障害物を継続的に監視し、部屋にモノが置いてあっても、避けて掃除をしてくれます。なお、これらのセンサーは30Hzの赤外線のパルスを照射し、戻ってくるパルスを光の速さと比べることで、位置を把握し、室内のマップを作成するのだといいます。

【動画】

障害物や壁にはぶつからず、ギリギリまで近づいて方向転換したり、回り込む動作をするHeurist。動きの速さにもスピーディな判断力を感じます。

キッチンからリビングに入った瞬間、自動で「強」から「静音」モードに切り替わる!

マップを正確に描いて記憶できるようになったことから、部屋ごとに運転モードを変えることも可能になりました。まず室内全体を走行させてマップを作成した後、専用アプリ「Dyson Linkアプリ」上に描かれたマップに区切り線を入れてゾーニング(区分すること)。そのゾーンごとにアイコンを設定すれば、ゾーンごとに「静音」「通常」「強」と運転モードが設定できるようになります。例えば汚れやすいキッチンは「強」モードで、テレビを見ているリビングは「静音」モードに設定した場合、キッチンからリビングに移動した瞬間、モードが切り替わります。

↑アプリ上で自由に区切り線を設定してゾーニングが可能

 

↑例えば、こういったリビングとキッチンが隣接している部屋でも、部屋をまたいだ瞬間、モードが切り替わって運転音が変わります

 

そのほかDyson Linkアプリでは、掃除スケジュールの設定や掃除完了画面の確認などが可能です。同社のフロアケア部門製品開発シニアデザイン エンジニアのジェームズ・カーズウェル氏によると、Heuristは新たなプラットホームであり、ソフトウェアのアップデートを行うことで、継続的に進化。今後も「革新的な機能」を追加する予定だそうで、購入後も買い替えることなく、最新機能を活用することができるとのこと。

↑「ソフトウェアをアップデートして進化させ、ユーザーに合わせてカスタマイズもできる」と魅力を語るジェームズ・カーズウェル氏

 

吸引力が高いだけに、間取り学習機能は大きな武器になる

アイロボットのルンバに続き、ダイソンからも間取りを学習する新モデルが登場し、いよいよロボット掃除機は新時代に突入しました。ダイソンの特徴といえば、やはり吸引力の強さで有名ですが、今回、重曹の掃除テストを見て、改めてそのすごさを実感。これに加えて、間取り学習機能を備えたことは、ロボット掃除機として大きな武器になると感じました。モノを避けて掃除してくれる「障害物センサー」の存在も、”掃除する前に片付ける”というロボット掃除機を取り入れる際のハードルを下げるはず。また、高さはあるものの幅は230mmとコンパクトで、狭い隙間に入り込めるところも好印象です。

 

ただし、現在、ルンバの最上位機種は「どの部屋をいつ掃除するか」まで指定できますが、本機は掃除する部屋の指定まではできません(区切った場所に対するモード設定のみ可能)。とはいえ、今後のアップデートでこのあたりが改善される可能性もありそう。吸引力が高いだけに、今後どのような進化があるのか楽しみです。