家電
2019/7/2 18:00

なぜ、家電メーカーがここまで…? 人気沸騰のバルミューダ、操作音の「音作り」から見えてきた「モノづくりの哲学」

電子レンジでは、本物の楽器の音をサンプリング

――“音”へのこだわりが間違っていないことがわかったわけですね。そしてBALMUDA The Rangeへとつながる……。

↑BALMUDA The Range(写真はブラック)

 

髙野 キッチン家電で大きなスペースを占領して存在感があるのが電子レンジ。そのレンジを使うことが楽しくなれば、キッチンに居ること自体がもっと楽しくなるのかなと。そんな思いを込めてBALMUDA The Rangeの“音”の開発に取り組みました。そのため、モードの切り替え音にもこだわっています。

 

ギターのアルペジオ(和音を構成する音を一音ずつ低いもの、または高いものから順番に弾いていくこと)で3音ずつを鳴らしていくのですが、全部1つのキーでつながっています。これは社長の寺尾 玄(てらお・げん)のこだわり。どの位置で切り替えても前後の音につながりがあり、収まりの良い音になっています。原音は社長が自分でギターを弾き、試行錯誤して最も心地よい音を探していきました。試作機までは社長のギター音を使っていましたが、完成品にはプロのスタジオミュージシャンにお願いして弾いてもらっています。

 

――コンピューターで作った機械音ではないのですね。

 

髙野 はい、生音をサンプリングしています。トースターと違い、レンジはスピーカーを搭載しているのでサンプリングした音が使えるのです。調理中に音は実際にドラムを叩いた音、出来上がりの“ジャジャーン”も、サンプリングしたギターの音です。

 

ちなみに、電子レンジのモード音のキーは「A」。コード(和音=高さの違う音が2つ以上同時に響き、合成された音のこと)は、A、D、E、すなわち、キーAにおける「スリーコード(主要三和音)」です。大半の曲は、この3つのコードがハーモニーの基本になっています。キーをAにした理由は、「ギターでの響きが良いから」。音色選びに際しては、同じアコースティックギターでも、楽器を数種類試し、また演奏のタッチやニュアンスは考えられる限りを試しました。結果として、楽器は2種類のギターを採用し、それぞれレンジとして生活シーン/調理シーンに合うように使用されています。

 

【動画 BALMUDA The Rangeのモード設定音】

電子レンジのモード切り替えはアコースティックギターでAを弾いた音をサンプリング。

 

【動画 BALMUDA The Rangeの運転時・終了時の音】

調理中の音はドラムをサンプリング。終了時はギターの音が。

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