2009年に倒産の危機。1台3万5000円の扇風機をどうやって売る?
発表会には、寺尾社長にとって恩人とも言える意外な人物が登壇しました。それはなんと、お笑いコンビTKOの木本武宏さん。
今でこそ社員120人を抱えるバルミューダですが、寺尾社長がGreenFanを開発した2009年当時、バルミューダの社員はわずか3人しかいませんでした。しかも当時はリーマンショックのあおりを受けて資金繰りが悪化し、倒産寸前。しかし20代でロックスターになる夢を諦めている寺尾社長は、「もう二度と夢を諦めたくない」と強い思いで奮闘し、本人曰く”特殊な方法”で資金調達を成功させ、GreenFanの製品化を実現しました。
とはいえ作っただけでは意味がなく、この6000台を売り切らなければならない。どんなにいい製品だと自負しても、1台3万5000円もする無名メーカーの扇風機を売ってくれるところが見つかるか……。
「家電芸人」TKO木本さんに「すごい扇風機ができた」と直談判
そこで寺尾社長が考えた秘策が、「家電芸人」として活躍していたTKO木本さんにプレゼンすることでした。
「ある日事務所に行ったら、夏の暑い中、汗をびっしょりかいて、段ボールを抱えた男性が入り口に立っていたんですよ」と振り返る木本さん。「すごい扇風機ができたから見てほしい」と言われ、突然のことで戸惑いながらも話を聞くことに。そこで「GreenFanの衝撃的な涼しさ、味わったことがない風を味わって感動した」という木本さんは、自ら「これをテレビでプレゼンさせてもらっていいですか」と頼んだといいます。
そして、その後の収録でGreenFanを紹介したところ、翌日にはバルミューダのもとに商談の電話が殺到。あっという間に知名度が上がり、その後、次々と斬新な製品を世に送り出して売り上げを伸ばしていくことになるのです。
木本さん「バルミューダはライバルでもあった」、寺尾氏「木本さんは恩人」
その結果について木本さんは常々、「この扇風機は俺が売ったんや!」と言いたかったのをグっと我慢していたそう。
一方で、バルミューダのいちファンとして、知人の結婚祝いなどにはバルミューダ製品を贈っているそう。「家電は人の人生に関わることができ、門出を祝うのにぴったりだと思う」と木本さん。また、無名だったバルミューダが成長していく姿を芸人としての自分の成長と照らし合わせ、自らを鼓舞するライバル的な存在でもあったといいます。
これに対し、「木本さんは間違いなくバルミューダの恩人です。今後は、ぜひそう名乗ってください」と寺尾社長。「バルミューダがこれからどうなっていくのか、楽しみでしかたがない」と話す木本さんに、「今年も来年も新製品を出していく予定なので楽しみにしてください」と宣言していました。
そんな2人の運命的な出会いによって世に送り出された「GreenFan」、そして、その技術を受け継いだ「GreenFan C2」。この夏は、ぜひ注目したいところです。
バルミューダ
GreenFan C2
実売価格2万2600円
【ギャラリーはコチラ】