刃の枚数を増やしてモーターにかかる負荷を軽減
まず難しかったのはミル構造。従来のモーターで2倍量の豆を挽くと、モーターにかかる負荷が大きくなってしまいます。それを軽減するにはどうしたらいいのか? これを解決するために、従来モデルはミルのステンレス刃を4枚刃と4枚刃を組み合わせて粉砕したところを、新モデルは1つを4枚刃、もう1つを5枚刃とし、毎回同じ場所に負荷がかからないようにすることでモーターへの負担を軽減しました。さらにコーヒー粉の掃き出し用の羽根も、従来の2枚から5枚に増やしています。
ドリッパーはイチから試行錯誤して開発
続いては、ドリッパー。3杯用モデルのドリッパーは、カフェ・バッハで使っているものを参考に作ればよかったのですが、6杯用モデルは参考にできるものがありません。そこで3杯用を2倍サイズにしてみたものの、味が決まらない……。試行錯誤していたあるとき、底を厚くしてすり鉢状にすることによって味が安定することが分かり、採用されました。ちなみにこちらは4~6杯用のドリッパーで、1~3杯を淹れる際は、従来モデルと同型のドリッパーを重ねて使います。このアイデアには、カフェ・バッハ店主の田口氏も「そうきたか、と驚きました」と感心した様子でした。
また、大容量となるとガラスサーバーも大きくなるため、1杯分だけ入れると放熱により、コーヒーの温度が下がりやすいという問題があります。そこで小容量を淹れる場合は、保温ヒーターをオンにするタイミングを早めることで、温度の低下を抑えました。そのほかどの杯数でも美味しい味が出るよう、蒸らしや抽出の時間を秒単位でプログラミングしています。
これらの開発には、カフェ・バッハの田口氏と、総店長の山田康一氏がテイスティングに協力。1年の開発期間を経て、3杯用モデル同様、大容量でもプロがハンドドリップした味を実現しました。
実際に試飲すると、深みや風味がしっかり感じられる味わい
発表会では本機を使い、カフェ・バッハのコーヒー豆で淹れたコーヒーをいただきました。手順は従来モデル同様、コーヒー豆と水をセットしたら、3段階から選べる挽き具合と温度、杯数をダイヤルで設定し、スタートボタンを押すだけ。
じっくり豆を挽き、じっくりドリップするため、6杯で13~14分と時間はかかりますが、ふわっと広がるコーヒーアロマや、シャワードリップの様子を眺めていたら、待ち時間もあっという間に感じました。ガラスサーバーにこだわっているのも「コーヒーが落ちる様子を楽しんでいただきたいから」とのこと。まさに最後の一滴が落ちるまで楽しめます。
さっそく一口いただくと、うん、この味! 従来モデル同様、コーヒー豆の深みや風味をしっかり感じる美味しさが味わえました。ちなみに同じコーヒー豆を使い、同社で以前に製造していた(田口氏の監修モデルではない)コーヒーメーカーで淹れたものを試してみると、短時間で抽出されたものの味が浅く、風味もあっさりしており、やはり全然違います。
3杯用に比べサイズは少し大きくなるものの、1人にも大人数にも対応するこの「CM-D457B」があれば、家庭でプロの味をより多くの人と共有できます。コーヒーを楽しむシーンもさらに広がりそうですね。
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