特濃レビューでおなじみ、家電ライターの倉本 春さんが、あらゆる角度から家電を検証するコーナー。今回のターゲットは、部屋干しの衣類が素早く乾くパナソニックの「ハイブリッド方式除湿乾燥機 F-YHMX120」です。「いままでとは比較にならないほどパワフル!」で「ゾっとするほど湿気が取れる」と大絶賛だった驚異の能力をひもといていきましょう!
除湿乾燥機は部屋干しの悩みを解決してくれるのか?
我が家では、バスタオルや靴下などの除菌したいものはドラム式洗濯乾燥機で乾燥。シャツなどのシワや生地の傷みが気になる衣類は干して乾燥しています。とはいえ、春は花粉と黄砂にPM2.5、夏はゲリラ豪雨、冬は寒さで乾かない……など、外干しには障害が多いものです。
一方、部屋干しは梅雨から夏は湿気が多くて、なかなか洗濯物が乾かないのが悩みのひとつ。冬ならばリビングに3~4時間干せば乾いていた衣類が、梅雨の時期は浴室乾燥に8時間かけてもパリッとは乾きません。もちろん、長い時間生乾きのままの衣類からはイヤなニオイが……!
そんなわけで、今年は衣類乾燥機能を搭載した除湿機「ハイブリッド方式除湿乾燥機 F-YHMX120」(実売価格4万5600円)を試してみることにしました。
除湿機には2タイプあるって知ってた?
この製品で注目したいのは「ハイブリッド方式」除湿機であること。除湿機には大きく分けて「コンプレッサー方式」と「デシカント方式(ゼオライト方式)」があります。コンプレッサー方式はエアコンのように空気を冷やし、湿気を結露させることで水滴に変えます。このため、暑い日ほど除湿能力が高いのですが、冬は除湿性能が落ちるデメリットもあります。
一方、デシカント方式は乾燥材に空気を通して除湿する方法。水分を吸った乾燥材は、ヒーターで温めることで再度除湿できるようになります。こちらは気温に除湿能力が左右されませんが、ヒーターを使用するので室温が高くなるデメリットがあります。
そして、F-YHMX120の「ハイブリッド方式」は、この両方の機能を融合したもの。環境に合わせて最適な除湿方法を行うため、気温に左右されず一年を通じて安定した除湿できるのが特徴です。また、注目したいのはそのパワー。関東などの50HZ地域ならば、一日で除湿できる量は約11.5L。関西などの60HZ地域なら、なんと12.5Lもの水分を除湿できます。除湿量が5~7L程度の除湿機も多いなか、その倍近い除湿量があるのは心強いですね。
ちなみに、排水タンク容量は満水ラインまでで約3.2L。梅雨の時期に「除湿」モードで室内の湿気対策で使用したところ、湿気が多い日は約5時間でほぼ満水になりました。排水タンクに大量に溜まった水の多さにゾッとすると同時に、F-YHMX120のパワフルさに驚かされました。
ただし、この手の除湿機は、衣類を乾燥させるときに本体を衣類の近くに移動させる必要があります。ところが、本製品は非常に高性能かつパワフルなぶん、本体は大きめ。かつ重量も約13kgと移動にはなかなか気合のいる重さです。
ただ、本体は重いですが、本体両側に手をひっかけるハンドルがあるほか、底部には4つのキャスターもついています。車輪が小さいので「移動がラク」とまでは言えませんが、部屋のなかで移動する分には問題ありません
素早く乾いて電気代がお得!
我が家では、リビングで部屋干しをしていますが、前述したように梅雨の時期は厚めのTシャツを夜に干し、朝確認するとまだしっとりしています。厚い生地の衣類からは雑巾臭がすることも……。このため、湿気の多い日は、浴室乾燥のある風呂場で衣類を干す必要がありました。
ところが、浴室の「衣類乾燥」モードでも、タイマーを10時間に設定してようやく乾くレベル。ちなみに、我が家の浴室衣類乾燥に使用する消費電力は約1400W。10時間使用すると電気代が360円以上もかかる計算で(27円/kWhで計算した場合※税込)、毎日使用したら一か月で1万円を超える出費です。一方、F-YHMX120は一番強力な「ターボ」モードにしても消費電力は715W。しかも、リビングで使用したところ、薄手のシャツなら1時間以内、厚手のTシャツでも2時間強で乾燥しました。これなら、電気代にすると約37円ほどです。
さらに、本製品は「エコナビ」機能も搭載しています。これは、1分ごとに温度と湿度をチェックして、衣類の乾き具合に合わせて運転するモードです。衣類が乾いたら自動的に送風を停止するため、ボタンを入れておけば最小限の電気代で衣類を乾かすことができるんです。
もうひとつ便利に感じたのが「カラッとキープモード」。湿度の高い日は、洗濯物が一度乾いても湿気を吸って再び湿気ることがあります。カラッとキープはこの「湿気戻り」を検知して、一度衣類乾燥が終わった後も適切なタイミングで運転を開始します。これは、我が家のように「夜に衣類を干して、翌日朝は忙しいから放置」というズボラな家庭にとってはありがたい機能でした。
ただし、デシカント方式ほどではありませんが、F-YHMX120の「衣類乾燥」モードで吹き出す風は室温よりも高い温度です。我が家で計ったところ、吹き出し口の温度は約40℃になっていました(室内温度24℃時)。このため、冷房を入れている室内などで使用するのは効率が悪いため、我が家では暑い日は風呂場で使用していました。ちなみに、風呂場は密閉されているので、リビングなどの広い場所で乾燥するよりも、さらに数割早く乾きます。また、浴室のカビ防止にもなるので一石三鳥のメリットがありますよ。
ワイドな風で大量の洗濯物も一気に乾燥!
ところで、一般的な「部屋を除湿するだけ」の除湿機と「衣類乾燥機能」搭載の除湿機の最大の違いは「送風の幅」です。衣類除湿機能を搭載した除湿機は、風を直接衣類に当てるため、広い範囲に送風できる製品が良いとされています。
F-YHMX120の送風口は幅25cm程度ですが、送風口から50cm離れた状態だと、幅165cmの範囲に風を送ることができるそうです。ちなみに、我が家ではリビングと続き部屋の間にある「かまち」にハンガーをかけて部屋干しをしていますが、このかまちの幅は約150cmでした。つまり、本機なら端に干している衣類にも直接風があたるため、乾燥ムラが少なく全体が乾くわけです。
同じかまちに紐を吊るし、送風範囲を「ワイド」にして風の届く範囲を確認してみました。以下がその動画です。150cmの幅すべてにそよ風のような緩やかな風が届いているのがわかります
ナノイー効果は衣類乾燥以外にも使える!
また、F-YHMX120は、匂いの抑制や除菌効果がある「ナノイー」機能も搭載しています。このため、乾燥だけでなく、カビを防止する目的でクローゼットに向かって送風したり、靴箱に向けてニオイを抑制したりといった使い方もできます。
また、F-YHMX120には、狭い範囲に送風する「スポット」送風もあるため、毎日は洗濯できないジャケットなどに風をあてて除菌消臭することもできます。
実は、筆者はこれまでも何度かコンパクトな衣類除湿機を使ったことがあります。しかし、F-YHMX120はこれらの製品とは比較にならないくらいパワフル! しかも、エコナビで節電効果も高く、湿気戻り対策もできるなど、とにかく高性能です。
重くて移動が面倒、そして価格が高めという問題はありますが、個人的にはメリットのほうが大きく、使い続ける価値があると感じました。なにより、F-YHMX120のおかげで、雨が降り続いても「また服がなかなか乾かない……」と憂鬱になることがなくなったのがうれしいです。部屋干し派が重宝するのはもちろんですが、時間を選ばずに洗濯物を干せるので、忙しい朝を避けて夜ゆっくり干せるのは大きなメリット。忙しい共働き家庭や子持ち家庭にもぜひオススメしたい製品です!
【URL】
パナソニック http://panasonic.jp/
F-YHMX120製品情報 http://panasonic.jp/joshitsu/f_yhmx120/