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2020/5/27 19:30

安くて評価が高いホームベーカリーの実力は? 初心者が使ったら感動の連続だった

東京での外出自粛が続いたときは、スーパーでは「ドライイースト」が売り切れているのを目にしました。パン作りやお菓子作りに欠かせないこのドライイーストが売り切れているということは、それだけ家で作っている人が多いということ。

 

一度もパンを焼いたことのない初心者が使って人気の理由を探る!

そんなにみんながパンを作っているとなると、筆者もやってみたい! と思うようになりました。とはいえ、これまで一度もパンは焼いたことがないので、いきなり高いホームーベーカリーを買うのはなぁ……と躊躇していたところ、エムケー精工の「ふっくらパン屋さん HBS-100W」が1万円以下で販売されているのを発見。これならホームベーカリー初心者でも手が出しやすそう。

 

しかも、こちらは2017年7月に発売されたモデルながら、某比較サイトでは大手メーカーのモデルを押さえて売れ筋ランキングの2位、および注目ランキングの3位に入っています。各種ECサイトの評価も上々。ただ安いから人気なだけなのか、それとも……? その実力のほどを探るべく、実際にパンを焼いてみることにしました!

↑エムケー精工の「ふっくらパン屋さん HBS-100W」

 

エントリーモデルながら18種類のメニューを搭載

ふっくらパン屋さんは、「人気のメニューを厳選したエントリーモデル」ということなのですが、18種類のメニューを搭載しています。メニューの詳細を見てみると、食パン、早焼きパン、塩糀パン、ごはんのパン、やわらかパン、フランスパン、全粒粉パン、スイートパン、ジャム、ヨーグルト、ほっくり焼き芋、蜜甘焼き芋、パン生地づくり、中華まん生地づくり、うどん・パスタ生地づくり、ねり、発酵、焼きとなっています。パンだけでなく、ヨーグルトや麺類も作れるとあって、初心者向けとしてはこれだけで十分です。

↑本体サイズは幅25×高さ27.5×奥行き33cm。重さは約3.8kg

 

1斤の食パンが焼けるタイプで、本体サイズは5.5合炊きの炊飯器よりも少し大きいくらい。本体に取っ手は付いていないので、出し入れするのはやや不便かもしれません。

↑本体には取り外し可能なパンケースが入っている

 

↑パンケースを外すと、内部のヒーターが見える。本体には温度センサーも内蔵

 

準備はあっけないほどカンタン

「パン作り」と聞くといろいろな道具が必要なのかと思っていましたが、今回、道具はほぼ不要。1g単位で計れるはかりと、食パンを冷ますのに使う網、できれば温度計があればいいようです。

 

本体からパンケースを取り出して、底に付属の羽根をセットします。この羽根がパン生地をこねてくれるようです。そこに室温に合わせた温度の水を入れ、強力粉、砂糖、塩、バター、スキムミルクを入れます。材料の中央にくぼみをあけて、水に触れないようにドライイーストを入れれば準備は終わり。5分とかからずに準備完了です。

↑水温はパンのふくらみに影響する。室温が20℃前後のこの季節は、水温が約20℃の水を使用。暑くなってきたら水温は下げる必要がある

 

あとは、パンケースを本体にセットし、電源をオン。メニュー番号で「1(食パン)」を選び、「焼き色」ボタンを押して「ふつう」を設定。あとは「スタートキー」を押して、放っておけばOKです。

↑メニュー番号と焼き色を設定。まずは「ふつう」で焼いてみた

 

「ねり」と「ガス抜き」の工程では結構な音が……

説明書を見ると、完成までにかかる時間は4時間10分となっています。思った以上に長いですよね。それもそのはず、ふっくらパン屋さんは「ねり」→「予備発酵」→「ねり」→「一次発酵」→「ガス抜き」→「二次発酵」→「ガス抜き」→「成形発酵」→「焼き上げ」の9つの行程を全自動で行ってくれるのです。

 

なお、この「ねり」と「ガス抜き」は、パンケースのなかでパン生地がぐるぐると回ってこねられるので、ガタガタと大きな音がします。ただし、これは強力なモーターで生地がこねられている証拠。しっかり生地をこねないと、パンが膨らまず、キメが粗くなる原因になるのだとか。おいしいパンができるなら、多少の音は仕方ない! ……とは思いつつ、思った以上に振動が伝わって騒がしかったので、本体とテーブルの間に厚めのタオルを敷いてみたところ、少しマシになりました。

↑予備発酵中のパン生地はこんな感じ。これがパンケース内で回るので、ガタガタと音がする

 

こうした音の問題は、タイマー予約にも影響を与えます。食パンやフランスパンなど一部のメニューはタイマー予約が可能で、最長16時間までの設定ができます。多くの人は就寝前にセットしておき、朝に焼きたてのパンを食べようと考えるのでしょうが、本機の音を考えるとキッチンと寝るスペースが離れていなければ、おそらく安眠は難しいはず。できれば、自分が居る部屋とは別の部屋で使いたいところです。とはいえ、食パンモードでの2回のねりはいずれも15分ほどで終わったので、なんとか許容範囲でしょうか……?

 

ちなみに、このホームベーカリーの騒音問題はふっくらパン屋さんに限ったことではなく、低価格帯のホームベーカリーの「あるある」だそう。高価なモデルでは騒音を抑える設計になっているようですが、1万円を切るふっくらパン屋さんに関しては、多少の割り切りが必要かもしれません。

 

ふわふわで耳までおいしいパンが完成!

待つこと4時間10分、ブザーが鳴ったら完成。「取消キー」を押し、パンケースを本体から取り出します。

↑焼き上げ中からいい香りが漂っていた。完成のブザー音が鳴ってからフタを開けると、きれいに食パンが焼けているのを確認できた

 

焼き上がった食パンをパンケースから出したら、網の上に置いて蒸気を逃します。改めて見てみると、生まれて初めて焼いた(材料を入れただけですが)食パンは、お店で買うものよりも外側の皮がサクッとしているように見えます。

↑保存する場合は、3〜4日程度なら冷蔵庫で、長期の場合は冷凍庫で保存できるとのこと

 

人肌程度に冷めた食パンをカットしてみると、きれいに中まで焼き上がっています。しかもふわふわ! 実際に食べてみても、パン屋さんで買ったような仕上がりで、そんなに高級な食材を使っていないにも関わらず、はっきり「おいしい!」と思えます。

↑このまま食べてもいいが、トーストにしてみたら、「外カリっ、中ふわっ」のコントラストがはっきり感じられた

 

こんなに簡単に最高の仕上がりの食パンが食べられるなら、みんながホームベーカリーを買うのも納得です。特に、耳の部分が香ばしくておいしい! 「パンはパン屋さんで買うのが一番」というのがこれまでの持論でしたが、家で作るできたてのおいしさも格別だということを知りました。

 

「早焼きパン」は味は十分だが、騒がしい時間が長い

すっかり食パン作りに自信を持った筆者が、続いて作ってみたのは「早焼きパン」メニューでの「カレー粉パン」作り。先ほどの「食パン」メニューが4時間10分かかるのに対し、「早焼きパン」メニューは「予備発酵」と「ねり」の行程をカットするので、2時間40分で焼けます。

↑カレー粉パンを作る際は、先ほどの材料にカレー粉を加える。さらに、早焼きパンの場合はドライイーストを増やす

 

結果として、早焼きパンでも十分にふっくらした食パンが焼き上がりました。食欲をそそるカレー粉の香りがする食パンは、食事に合わせるのにもぴったり。むしろお店ではあまり見かけない食パンなので、「これぞ自家製」という感じがします!

↑初めて食べるカレー粉パンは、カレーの香りがしっかりするものの、味はプレーンの食パンに近い

 

ただし、早焼きパンは最初の「ねり」の時間が30分ほどあったので(ねりの工程は全体で1回)、その間は騒がしかったのが最大の課題。たしかに完成まで1時間30分も短縮できるのは大きなメリットですが、これを深夜や朝方にやるのははばかられます。短時間で仕上げるモードなので、日中の食事前に振動音に気を付けながら使うのがベストでしょう。

 

「蜜甘焼き芋」のおいしさは感動レベル!

なお、ふっくらパン屋さんは、「ねり」「発酵」が単体で行えるモードがあるので、本格的にパンを作りたい人には重宝するはず。生地作りだけをホームベーカリーにまかせて、成形してオーブンで焼き上げるといった使い方もできるでしょう。

 

とはいえ、そこまで本格的にやるのは面倒だな、もっとカンタンに試せるメニューはないかな……と思って筆者が注目したのが「蜜甘焼き芋」メニューです。焼き芋がとにかく好きな筆者にとって、これを使わない手はありません。

 

加熱時間は芋の重さによって異なりますが、今回は300gを2時間10分加熱。かなり時間がかかるなぁ……と思いながら、完成した焼き芋のアルミホイルを開けて、前言撤回。完成した焼き芋は、持った瞬間にわかるくらい芋から蜜がたっぷり出ています! これだけ蜜が出るなら、時間がかかるのも当然です!

↑さつまいもの重さを計り、全体に竹串などで均一に穴を開ける。アルミホイルで包んだらパンケースに入れ、メニュー番号「11」を選んで2時間10分にセット

 

↑芋から蜜がたっぷり出てしっとりしている

 

実際に食べてみると、とろっとろの仕上がり。ただ焼くだけでこんなにも水分と甘みが出てくるとは……驚きを隠しきれません。食パンを焼いたときにもおいしくて驚きましたが、焼き芋はそのさらに上をいく感動レベル。焼き芋機能メインで買う人はそういないと思いますが、ふっくらパン屋さんを買った人にはぜひ試してほしい機能です。

↑とろっとろの仕上がりに!

 

ふっくらパン屋さん HBS-100Wは、公式通販では1万695円ですが、ネット上では8000円程度で買えるショップもあるようです。安いので初心者には扱いにくいモデルなのかと思いきや、ホームベーカリー初心者の筆者も大満足の一台。外出しづらいいまこそ、パン作りに挑戦してみてはいかがでしょうか。

 

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