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2020/7/22 19:30

冷凍食品の“まとめ買い”にはどっちが安心? 最新冷蔵庫と小型冷凍庫の選び方

“withコロナ“の時代といわれる今、人混みを避ける生活やリモートワークが定着しつつあり、自宅で食事をする機会が増えました。冷凍食品に関する日刊紙『冷食日報』の2020年5月8日付け記事によると、今年4月の家庭用冷凍食品の販売金額は、前年同月と比べて19.5%増という結果に。新型コロナウイルスの感染拡大による自粛生活で、長期保存が可能な冷凍食品へのニーズが高まったことがうかがえます。

 

そうした中、従来の冷蔵庫では、冷凍室のスペースが足りなくなっている家庭も少なくないでしょう。そこで、冷凍室の容量が多い大型冷蔵庫への買い替えがいいのか、小型冷凍庫を買い足す方がいいのか。さらに、最新モデルとその選び方について、家電プロレビュアーの石井和美さんに伺いました。

 

冷蔵庫の販売数は昨年の4割増!
大容量冷蔵庫への買い替え需要が拡大

実際に、冷蔵庫の需要は高まっているのでしょうか? ビックカメラの冷蔵庫販売実績によると、2020年6月の冷蔵庫の販売実績は、前年同月比と比べて4割増という結果に。

 

「今年は400L以上の大容量タイプの冷蔵庫がよく売れています。最新モデルは、冷凍室の容量が大きい上に、冷凍技術の進化により、素材の味が損なわれないような機能が搭載されています。素材の鮮度やおいしさを長時間キープできる、野菜室の進化も好評です。また、省エネ性にも優れているので、ランニングコストを視野に入れて、新しい冷蔵庫への買い替えをされる方も多いようです。小型冷凍庫に関しては、比較的設置スペースに余裕があることが多い郊外でのニーズが高く、こちらも販売数は上昇しています」(ビックカメラ広報・IR部・齋藤俊明さん)

 

それでは、冷凍室が充実した最新冷蔵庫と、冷凍食材のストックに適した小型冷凍庫について見ていきましょう。

 

収納しやすく、おいしく簡単に冷凍できる!
最新「大型冷蔵庫」の冷凍室の魅力

たくさんの食材を収納できて取り出しやすく、おいしく簡単に冷凍ができるというのが、ここ最近の大型冷蔵庫の冷凍室の魅力だと、石井さんは話します。

 

「冷凍したい食材が増えている今、冷凍室はパンパンの状態になりがちですが、使いたいものが見つけやすく収納できるような、冷凍室内の仕切り収納が充実しているタイプが増えています。ほかにも、食材を小分けせずに冷凍しても、使いたい分だけ取り出せる冷凍技術や、冷却スピードを上げることで、食品の鮮度や旨味をキープする機能も搭載されています。この急速冷凍機能を使えば、お弁当のあら熱が数分でとれるので、忙しい朝にはとても助かります」(家電プロレビュアー・石井和美さん、以下同)

↑解凍なしで使いたい分だけ取り出せる三菱電機の「切れちゃう瞬冷凍」なら、事前の小分けが不要で時短に(写真提供=三菱電機)

 

設置スペースや冷凍したい食品の数で決める!
最新の「小型冷凍庫」はココがスゴイ

食材を週末にまとめ買いする生活スタイルが定着し、小型冷凍庫へのニーズが高まっています。小型冷凍庫を買い足したいときは、どのようなタイプを選べばいいのでしょうか?

 

「小型冷凍庫は大きく分けて、前開きと上開きの2タイプがあります。前開きはスリムな縦長タイプが多く、場所を取りません。扉を開いて食材の位置も把握しやすく、引き出しタイプならば、底に食材が埋もれてしまう心配もありません。冷凍食品の種類が多い方にオススメです。

 

一方、上開きは縦長タイプが多く、たっぷりと入れることができます。下向きに流れる冷気が逃げにくいので、開け閉めの度に温度が上がりにくく、庫内温度の上昇が防げます。ただし、詰め込んでしまうと、下の方にある食品が取りにくいというデメリットがあります。冷凍する食材、設置場所を考慮して、用途にあったものを選びましょう」

↑今年に入り、小型冷凍庫の売り上げは各メーカー軒並み上昇中。アイリスオーヤマでは当初計画比2倍の売り上げで推移している。(写真提供=アイリスオーヤマ)

 

冷蔵庫の買い替えか、小型冷凍庫の買い足しか……どっちを選ぶべき?

最新の冷凍技術を搭載した大型冷蔵庫を購入するのは、大きな買い物になります。今使っている冷蔵庫が壊れていないのであれば、数万円で購入できる小型冷凍庫を買い足す方が、予算を考えると手取り早いように感じますが……。

 

「冷蔵庫は約10年で寿命を迎えます。最近の冷蔵庫は冷凍室に高度な機能が付いていたり、野菜をおいしく長く保存できたりする上に省エネタイプで、10年前と比べて電気代が半額近くになるものもあります。今お使いの冷蔵庫が、購入から5年以上経過しているのであれば、電気代や冷凍庫の性能を考えると、2台持ちよりも新しい冷蔵庫への買い替えを検討した方がいいかもしれません

 

一方で、今お使いの冷蔵庫が購入から5年未満で、自宅に小型冷凍庫を設置するスペースが確保できる場合は、2台持ちをすることで、冷凍食材のストックがかなり増やせます。小型冷凍庫の電気代は年間でも約5000円前後なので、電気代をかけてもメリットの方が多いと感じる場合は、“セカンド冷凍庫”を購入するのがよさそうです

 

では具体的に、どの冷凍冷蔵庫/小型冷凍庫がおすすめなのか、現在販売中のモデルから石井さんに選んでいただきました。

 


提供元:心地よい暮らしをサポートするウェブマガジン「@Living」

家電プロレビュアー選! 冷凍室の容量が多い最新大型冷蔵庫3選

冷凍食材がたっぷり収納できて取り出しやすく、まとめ買い食材を無駄なくおいしく使い切れるような、最新の冷蔵庫の魅力を見ていきましょう。

 

・冷凍室の収納力がバツグン! たくさんの冷凍食材を使いやすくストックできる


シャープ「SJ-AF50F」
実売価格:26万8000円(税込)

・外形寸法 W685×D699×H1833mm
・年間消費電力量:約250Wh

「容量502Lの庫内の中で、製氷室を含む冷凍スペースが170Lという大容量の『メガフリーザー』があり、冷凍食品の収納力が抜群です(記事トップのイメージ写真参照)。中央左上の引き出しがアイスルーム、その下が上段冷凍室。アイスキャンディーなどの小物を収納するのに向いています。メインの冷凍室は3つの引き出しに分かれており、一番上の引き出しは自由に動かせる「4切り名人(しきりめいじん)」付き。冷凍食材のサイズに合わせて仕切りの位置が調整できます」

 

・面倒な小分け冷凍の手間が激減! 食材の用途に合わせて冷凍パターンが選べる


三菱電機「MR-WX60F」
実売価格:36万800円(税込)

・外形寸法 W685×D738×H1821mm
・年間消費電力量:約270Wh

「101Lある通常の約-18℃の通常の冷凍室のほかに、解凍しなくても使いたい分だけ取り出せる約-7℃で凍らせる『切れちゃう瞬冷凍 A.I.』が27L、それ以外にも冷蔵室の下段にチルドよりも低温の約―3〜0℃で食材が保存できる『氷点下ストッカーA.I.』があります。数日以内に使うもの、1週間後に使い切るもの、長期保存したいものなど、用途に合わせて3つの部屋を使い分ければ、解凍時の面倒な小分けの手間が大幅に省けます」

 

・3段トレイで冷凍食材を段階別に管理。おいしく凍らせて取り出しやすい!


日立「R-HX60N」
実売価格:42万円(税込)

・外形寸法 W685×D738×H1833mm
・年間消費電力量:約254Wh

「冷凍室は製氷室を含み180Lという大容量で、お弁当用の常備菜やカット野菜のストックをすばやくホームクリージングできる深さ5cmの薄物ケースと、深さ9cmの小物ケース、500mlのペットボトルを立てて収納できる深さ14.5cmの大物ケースという3段ケースに分かれおり、500mlのペットボトルを立てて収納できるスペースもあります。7月30日に新発売する『R-KX57N』は、『ぴったりセレクト』機能として、冷凍室と野菜室のスペースを選択できる機能付き。冷凍食品を大量にストックしたい場合は、野菜室をなくし、2段とも冷凍室にすることもできるので、こちらも魅力的ですね」

 

家電プロレビュアー選! あると安心の小型冷凍庫3選

冷蔵庫の冷凍室との使い分け方や、ストックが多い冷凍食材のサイズ感、小型冷凍庫の設置場所をイメージしながら、使いやすいものを選んでいきましょう。

 

・冷凍食品のストック量や内容で臨機応変に温度調整ができる!


アイリスオーヤマ「ノンフロン前開き式冷凍庫 60L IUSD-6A 全2色」
実売価格:2万7280円(税込)

・外形寸法 W480×D500×H850mm
・年間消費電力量:約212Wh

「庫内容量は60L。前開きのクリアトレータイプなので、中身が一目で確認できます。3段に分かれているので、使いたい食材の引き出しのみ取り出せば、冷気が逃げにくく食材の温度変化を最小限に抑えられます。冷凍する食材の量や室温により、冷凍庫内の温度を5段階から調節ができるので、必要以上の冷却をすることなく、無駄な電力消費を防げます。高さ85cmで、上部は100℃まで耐えられるので、冷凍庫の上には電子レンジが置けます。こちらのサイズ以外にも、庫内容量が42Lの小型タイプや75Lの大型タイプがあります」

 

・冷凍状態をしっかりキープ! かさばる食材の長期保存にぴったり


ハイアール「145L上開き式冷凍庫 JF-NC145F」
実売価格:2万4435円(税込)

・外形寸法 W720×D565×H885mm
・年間消費電力量:約202Wh

「たっぷり入る145Lの上開きタイプです。約33Lの買い物カゴ4.3個分もの食材をストックすることができます。遠方にある実家から送られてきた家庭菜園のとうもろこしやトマトなどの夏野菜や、趣味の釣りで獲得した魚、大容量パックのアイスクリームなど、長く保存したい食材やかさばる食材のストックに適しています。急冷スイッチ付きなので、旨味を閉じ込める短時間冷却ができます。水抜き栓があるのでお手入れも簡単です。ドアを閉めたままタッチパネルで庫内温度設定のできる前開きタイプも人気があります」

 

・小分けにした冷凍食材が一目瞭然でサッと取り出せる!


パナソニック「冷凍庫(ホームフリーザー) NR-FZ120B」
実売価格:4万6530円(税込)

・外形寸法 W480×D586×H1126mm
・年間消費電力量:約430kWh

「冷蔵庫の冷凍室スペースでは容量が足りない、冷凍食材を多く活用されているご家庭にオススメです。高さ約112cm、幅48cmというスリムな形で、容量は121L。500ml凍結用ボトルが立てて入る『深型バスケット』と3段のバスケット、その上にはアルミトレイのスペースがあります。アルミトレイ部分に余ったごはんや常温食材を置いて、「急冷」設定をすれば、効率よく冷凍が進みます。ドア前面の操作パネルで外から温度調節や急凍設定が可能。上部は100℃まで耐えられるので、冷凍庫の上には電子レンジが置けます」

 

最後に番外編として、2020年人気の冷凍食品と、冷凍の新常識となりそうな“下味冷凍”についてみていきましょう。

 


提供元:心地よい暮らしをサポートするウェブマガジン「@Living」

【番外編】冷凍庫にストックしておきたい! 人気の冷凍食品

最新冷凍庫をチェックしたところで、人気の冷凍食品をチェックしていきましょう! 新型コロナウイルスによる自粛期間を経た今、どんな冷凍食品が売り上げを伸ばしたのでしょうか。ニチレイフーズの広報担当・中澤佐穂さんに、今年の人気の5アイテムを教えてもらいました。

 


ニチレイ「本格炒め炒飯」
実売価格386円(税込 ※編集部調べ

「中華料理店のプロの技を再現した『三段炒め製法』によるパラッとした香ばしさと、丁寧に仕込んだ自家製焼豚のおいしさが特長です。好きな量を解凍して食べられるので、リモートワークの昼食用に、ストックしておくと重宝します」(ニチレイフーズ・中澤佐穂さん、以下同)

 


ニチレイ「特から」
実売価格610円(税込 ※編集部調べ

「ジューシーな肉汁とカラッとした衣が『特別なおいしさ』、1個約32gの『特大サイズ』、1袋415gの『おとくトクなボリュームパック』という、3 “特”が魅力の鶏のから揚げです。そのまま味わう以外にも、暑い時期は、たっぷりの夏野菜と合わせた南蛮漬けアレンジはいかがでしょうか?」

 


ニチレイ「極上ヒレかつ」
実売価格354円(税込 ※編集部調べ

「2020年春に発売した新商品です。箸でも切れるやわらかな肉質と、サクッと食感の良い衣が特長で、大変ご好評いただいております。そのまま食べる以外にも、パンに挟んでかつサンドにしたり、卵でとじたヒレかつ丼にしたりして楽しむのもオススメです」

 


ニチレイ「蔵王えびグラタン」
実売価格397円(税込 ※編集部調べ

「宮城県の蔵王山麓にある蔵王酪農センター直送の新鮮なミルクを使用したホワイトソースに、モッツァレラチーズなど4種のチーズをブレンドしたミルク感のあるグラタンです。電子レンジでチンしている間に、野菜サラダと白ワインを用意すればちょっとリッチな夕食メニューの完成です」

 


ニチレイ「そのまま使える高原育ちのブロッコリー 250g」
実売価格248円(税込 ※編集部調べ

「標高約3000mのエクアドルの高原で、陽光をたっぷり受けて育った緑鮮やかなブロッコリーです。下茹でしてあり、自然解凍でそのまま食べられるので、お弁当はもちろん、サラダやシチュー、パスタなどに加えれば、彩りアップや野菜不足の解消になります。常備しておくと便利です」

 

チャック式ビニール袋を活用した「下味冷凍」も人気!

冷凍食品をストックする以外にも、多めに購入した野菜や肉、魚を使いやすく小分けにしたりカットしたりして冷凍する、ホームフリージングをすれば、食事作りがグンとラクに。最近は、肉や魚に下味をつけてから凍らせる「下味冷凍」が人気です。

 

例えば、鶏もも肉や薄切りの豚肉を一口大にカットし、焼肉のたれとともに、チャック式ビニール袋に入れ、空気を抜いて冷凍保存しておけば下味冷凍の完成。冷凍時と解凍時に焼肉のたれの旨味が肉に浸透するので、解凍後はお好みの野菜とともに炒めるだけで、しっかりとした味わいのボリュームあるおかずが完成します。

 

冷凍庫は食品のおいしさをキープし、時短調理にも一役買ってくれます。その上、大規模災害の発生頻度が増している近年、自宅の冷凍庫に防災のための備蓄庫としての役割を持たせるという考え方も広まりつつあります。この機会に自宅の冷凍庫を見直してみてはいかがでしょうか?

 

【プロフィール】

家電プロレビュアー / 石井和美

家電プロレビュアー歴15年。白物家電や日用品の製品レビューを中心に、新聞、雑誌、WEB媒体や企業のオウンドメディアなどでも多数執筆中。家電をテストするための一戸建てのレビューハウス「家電ラボ」のオーナー。
HP=http://kaden-blog.net

 


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