家電
2022/8/25 20:45

シャープは再び、クリーナーのトレンドを作るのか? 静かになった「RACTIVE Air」新モデルに期待高まる

最近は当たり前のように軽量タイプのコードレススティッククリーナーが店頭に並んでいますが、コードレスクリーナー軽量化の流れを作ったメーカーといえばシャープ。2kg以上のコードレスクリーナーが当たり前という時代に、メイン掃除機として使えるパワーがありながら1.5kgという「RACTIVE Air(ラクティブ エア)EC-A1R」を2016年に発売して話題となりました。そんなトレンドを作ったシャープが、8月25日にコードレスクリーナーの新製品「EC-SR8」を発表しました。

↑コードレスクリーナーの新製品「EC-SR8」

 

発売日は9月8日、実売予想価格は9万9000円(税込)です。新製品の特徴は低騒音化構造の採用。軽量化の次は、なんと「音」に着目した製品を世に送り出してきたのです。

↑RACTIVE Airの新ラインナップ。写真左の6機が新モデルで、左からシリーズ最高のパワーで低騒音化構造も採用した最上位機種「EC-SR8」、高効率モーター搭載でパワーと軽量化のバランスが良い「EC-HR8」、軽さを追求した「EC-AR8」。これに既存モデルであるコスパモデル「EC-FR7」を加えたラインナップになります

 

モーターをカバーすることで耳障りな音を低減

EC-SR8での注目のポイントが「ノイズリダクション設計」。つまり、低騒音化機構の採用です。シャープによると掃除機の「音」を発生させる原因は主に3つ。それがモーター音、排気音、そして駆動音です。そこで、モーターには「ファンネルサイレンサー」、ヘッドには回転ブラシやモーターの振動を抑制する振動吸収材を利用することで駆動音を低減させました。これにより、運転時の実感音は従来モデルと比較すると約36%低減したといいます。

【動画】※音声が出ます

実際に音を比較。最初の赤い掃除機は旧モデルEC-SR7、後半の白い掃除機が新モデルEC-SR8の運転音です。新モデルは耳につく甲高い音域がなく、こもったような優しい音に聞こえます。

 

ちなみに、ファンネルサイレンサーとはモーターを覆うように配置された「ファンネル(円錐)」形状のカバーのこと。カバーには高密度吸音材と振動吸収材が使われており、モーターの駆動音を低減。そのほか、排気部に格子状のフィルターをつけて排気の気流を整えることで排気音まで抑えています。

↑新製品EC-SR8のカットモデル。銀色のモーターを覆うように、黒い樹脂製のカバーが配置されているのがわかります。グレーのフェルト状素材は高密度吸音材

 

ただし、カバーを採用したことでモーターのサイズはかなり大きくなりました。このため、新モデルEC-SR8は旧モデルEC-SR7と比較すると重量が100gほど重くなっています。一方、パイプ長などを短くすることで標準サイズは幅221×奥行267×1030mmと、ほぼ旧モデルと同サイズです。

↑こちらは従来モデルEC-SR7のカットモデル。モーターがむき出しでコンパクトに収まっています

 

↑右手側(奥側)が旧モデルのEC-SR7、左手側(手前)が新モデルのEC-SR8。新モデルはモーターカバーの分、本体が縦に長くなっているのがわかります。ここまでサイズアップしても重量は100gしか増えていないのはうれしいポイント

 

ヘッドの改良で壁際ギリギリの掃除が簡単に

低騒音化のほか、ヘッド形状が進化して壁際のゴミが掃除しやすくなったのもポイント。パワーのあるコードレス掃除機のほとんどは、ヘッド内部に回転ブラシを搭載しています。しかし、ブラシの両端にギアなどを配置するため、ブラシはヘッド両端まで届かないのが一般的。RACTIVE Airシリーズも旧モデルであるEC-SR7はヘッド左右に20mm以上「ブラシが届かないエリア」がありました。その点、新モデルEC-SR8は「端までブラシ」を採用。ヘッドの裏を見ると、右側には21.5mmの隙間があるものの、左側はヘッド端ギリギリまでブラシが配置されています。このため、ヘッド右側を壁に当てて掃除することで壁際ギリギリのゴミも吸い込むことができるのです。

↑上が新モデルEC-SR8、下が旧モデルEC-SR7のヘッド裏面。旧モデルは左に22mm、右に30mmの「ブラシが届かないエリア」があります。一方EC-SR8は右にのみ21.5mmの「ブラシが届かないエリア」、左はギリギリまでブラシが延びています

 

↑壁際に10cmほど粉ゴミをまいて往復させ、新旧モデルで掃除をするデモンストレーション。旧モデル(左)は壁際に粉が残っているのに対し、新モデルはほぼ完全にゴミが取れているのがわかります(右)

 

ハンディクリーナーを利用するとき、パイプが自立するのが便利

RACTIVE Airといえば吸込口のパイプが自立する「スグトルブラシ」も特徴的。掃除の際は狭い隙間や棚の上など、ヘッドを外してブラシノズルで掃除をするタイミングが多くあります。こんな場合、通常はヘッドを外したり、再装着するときに毎回かがんだりする必要がありました。一方、RACTIVE Airは手元ボタンでヘッドのロック解除ができるので、ヘッドを踏んで引っ張れば立ったままヘッドが外せます。そのうえ、外したヘッドの吸込口パイプがいつでも上を向いているので、再装着も立ったまま行えるというものです。

↑ヘッドを外してブラシノズルにしたところ。外したヘッドの吸込口パイプが上を向いているので、再装着も立った姿勢でラクに行えます

 

この機能は従来モデルからあったのですが、新モデルEC-SR8では延長パイプごとヘッドを外してもパイプが自立する「新スグトル構造」となりました。EC-SR8をハンディクリーナーとして利用したあとでも、ヘッドを立ったまま再装着できるようになったのです。

↑延長パイプを装着した状態でもパイプが自立するようになった新モデル。本体をハンディクリーナーのように利用したあと、簡単に床掃除に復帰できます

 

今後は「静音性」も掃除機選びのポイントとなるのか?

コロナ禍のいま、リモートワークで昼も家にいるという家庭が増えています。そんななか、今回発表された低騒音クリーナーは、「ご近所に迷惑をかけたくない」「家族がいつも家にいるからいつ掃除するか迷う」といったニーズに応えてくれるかもしれません。

 

コードレスクリーナー登場時、メーカーはパワーと駆動時間を重視した製品ばかりを開発していましたが、2016年のRACTIVE Air登場から「パワータイプ」と「軽量タイプ」の2モデルを発売するメーカーが増えました。それだけ「軽さ」がコードレスクリーナーにとって無視できない要素になったということでしょう。かつて「軽さ」で新トレンドを作ったRACTIVE Airが、今回の新製品では「騒音低減」に着目したことから、今後は「静かさ」もクリーナーのトレンドになっていくのか……? 今後の動向に注目したいと思います。