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2023/1/29 11:15

栃木から生まれるこだわりの1台。日立が新型「白くまくん」に込める想い

日立のエアコン、白くまくん。1975年に日立のルームエアコンの総称として採用されたこの名は、現在に至るまで使われ続けており、日本人にとってはもはやおなじみだ。2022年末、その白くまくんに新シリーズが登場した。それがルームエアコン Xシリーズだ。同シリーズは、熱交換器・排水トレーの凍結洗浄機能やファンお掃除ロボなど、独自の機構を備えたフラグシップモデルである。それを製造している日立の栃木工場を取材した。

↑ルームエアコン Xシリーズの出荷式。トラックに積まれたエアコンの前で笑顔を見せる日立のスタッフ&白くまくん

 

空気清浄機能に徹底してこだわったフラグシップモデル

↑日立のルームエアコン Xシリーズ

 

まずは、Xシリーズの特徴から書いていこう。日立のスタッフによれば、同シリーズの特徴は「お部屋の空気を清潔に保つことに何よりこだわっている」という。

エアコンの内部では、部屋の空気が絶え間なく通り過ぎる。その風にはホコリのほか、カビ、細菌、PM2.5など人間に有害な物質も紛れ込んでいるわけだが、Xシリーズはそれをエアコンの内部で発生させたイオンの力で吸着し、凍結洗浄によって洗い流す。

↑エアコン内部の熱交換器。薄い金属の板が並んでおり、ここに空気中の汚れが多く付着する

 

凍結洗浄というのは、エアコンの熱交換器を一気に冷やすことで霜を発生させ、そこに集めた水分によって汚れを洗い流すというもの。その排水は屋外に流されるため、つまりは部屋の空気の汚れだけを吸着して、家の外へ出してくれるというわけだ。なお本機は、排水が流れる排水トレーや室外機の熱交換器にも、凍結洗浄機能を搭載している。

↑凍結洗浄機能で熱交換器に霜を付着させた状態。凍結洗浄を完了させるには2時間ほどかかるが、人が室内にいないタイミングを自動で見計らって行うという

 

ちなみに、凍結洗浄を行う前には、加温して油汚れを溶かして落ちやすくする機能もついている。ほかにも、家庭では難しいファンの掃除を自動で行ってくれるロボットが内蔵されているなど、部屋の空気質を向上させる機能を多く備えている。コロナ禍で部屋の空気を綺麗にしたいというニーズが高まっているいま、日立が満を持して送り出すエアコンが、このXシリーズといえよう。

↑ファン(写真中央の黒い部品)を自動で掃除してくれる機能も内蔵されている

 

温湿度の観点から同シリーズを見てみると、湿度の制御に注力している。湿度が高いと空気中のカビが増えやすくなってしまう。そこで同シリーズは、「おまかせ・空清」モードを選択するだけで、1年中を通して部屋の湿度が50%を下回るように制御し、カビの繁殖を抑える機能を搭載した。

 

除湿方式は、室温を快適に保ちつつ除湿を行う再熱除湿なので、除湿運転時も部屋が冷えたりすることはない。「おまかせ・空清」モードを選択するだけで、冷房・暖房・除湿の各モードを使い分けて、1年を通じて快適な温湿度と綺麗な空気を作り続けてくれる。

↑Xシリーズの除湿性能のデモ。エアコンの下にあるヒーター式加湿器で強力に加湿しているが、結露はせず、横に干しているTシャツも乾いたまま

 

↑Xシリーズのリモコン。黄色いボタンが「おまかせ・空清」だ

 

戦中に設立された、長い歴史を誇る栃木工場

Xシリーズを製造しているのが、日立ジョンソンコントロールズ空調の栃木工場だ。栃木工場の設立は、1945年の1月。日立の創業者・小平浪平の出身地が栃木であり、「栃木に何らかの記念を残したい」という想いから、この地に工場を建てたという。同工場では1952年にエアコンの製造を開始し、いまに至るまでずっと、エアコンを作り続けてきた。一部、海外で生産している製品こそあるが、日立のエアコンといえば栃木なのだ。

↑栃木工場の第5工場。エアコン需要の高まりを受けて、1969年に稼働を開始した

 

同社がメイドインジャパンを推すのには理由がある。まずは国内の顧客の声をすぐに吸い上げ、製品開発に反映できること。そして、素早く顧客に届けられることだ。エアコンは夏と冬の繁忙期に販売が集中するアイテムである。そのため、製造してから時間を置かず、日本中の顧客へ届けられるメリットは大きい。ちなみに、海外生産では製品の受注から納品まで1ヶ月ほどの時間を要するが、国産であれば6日程度で済むという。さらに最近では、世界的な物流の混乱や円安により、国内生産の優位性がさらに上がった。

↑室内機の組み立てをおこなっているところ。エアコンの組み立てには、手作業でないと行えない工程がある。ちなみに、現場に新たに入ったスタッフは、作業工程を把握するのに1週間、習熟に1ヶ月かかるそうだ

 

「エアコンはインフラ」だ。日立が考えるエアコンの未来像

日立ジョンソンコントロールズ空調で、日本アジア地域の責任者を務める泉田金太郎さんは「エアコンはインフラだ」と語る。近年は地球温暖化の影響か寒暖差が激しく、特に猛暑には、多くの人が毎年のように悩まされている。そんな状況下で、エアコンは一種のインフラなのだ。

 

同じ家電でも、たとえばテレビは、必ずしも1室に1台置く必要はない。だがエアコンは違う。それゆえ同社は、エアコンの需要が長い目で見て増えていくと見込んでいる。おまけにコロナ禍で、空気清浄機能のニーズは確実にアップした。Xシリーズは、同社がエアコンの未来を思い描いて作った渾身の一台なのだ。

↑Xシリーズに込めた想いを語る、日立ジョンソンコントロールズ空調の泉田金太郎さん