最近は多くのメーカーが、高機能なコードレス掃除機を発売。ちょっと前だと「サブ掃除機」の位置づけだったコードレス掃除機ですが、最近はブラシやモーターの改良によるパワフル化により、メイン掃除機としての需要が拡大しています。とはいえ、パワフル化に伴い、どうしても本体が重くなっていくのが悩みどころ。そんななか、「軽さ」を売りに発売されたのが、シャープのコードレスサイクロン掃除機「RACTIVE Air(ラクティブ エア)EC-A1R」(実売価格6万4670円・以下、EC-A1R)です。
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ドライカーボンなどの使用で本体重量1.5kgを実現!
EC-A1Rの最大の魅力は、なんといってもその軽さです。本体にバッテリー、延長パイプ、そしてブラシ部を含めた掃除機の「標準質量」が1.5kgと非常に軽量。軽さの秘密のひとつは、延長パイプに使用された「ドライカーボン」素材だそう。航空機にも使用される軽くて丈夫な素材なので、パイプの厚みは従来の半分しかないのだとか。今、サイクロン式コードレス掃除機で人気の機種は、ほとんどが2kg以上の重量があるので、この軽さはうれしいポイントです。
もうひとつのポイントが、バッテリーがセパレート式であること。最近の多くの高機能コードレス掃除機は、ほとんどがバッテリーが本体内蔵型。このため、本体にプラグをつないて充電するか、本体を充電ステーションに置いて充電することになります。ところが、EC-A1Rはバッテリーを乾電池のように取り外して充電する「セパレート・チャージ」方式。このため、予備バッテリーを購入しておけば、バッテリーが切れても交換できるため、長時間の掃除も可能です。ただし、「バッテリーを着脱する」というひと手間はあるので、このあたりは好みがわかれるかもしれません。
高い場所と階段掃除のしやすさが段違い!
ところで「本体が軽量なのが良い」といったものの、多くのコードレス掃除機は重量があっても掃除時に「重い」とは感じません。その理由は、床の掃除時はヘッドが本体の重さを受け止めてくれるため。また、ヘッドが自動的に前進する「自走式」タイプの掃除機なら、本体を軽く保持するだけで、力を入れなくても軽く床掃除ができます。
ただし、重い本体で面倒なのが、本体を何度も持ち上げる必要がある「階段掃除」と「高い場所の掃除」です。そして、EC-A1Rの使い勝手の良さをとくに感じるのが、この高い場所の掃除。今までは、床は掃除機で掃除しつつ、高い場所は市販のハンディモップを使用していましたが、EC-A1Rなら軽いのでそのままテレビや高い棚もサッと掃除ができます。このとき、個人的にとくに便利だったのが付属する「はたきノズル」です。これは、細長いブラシを自由な角度に曲げて使用できる付属アクセサリー。ブラシ部を90度に曲げることができるため、天井に近い位置にある本棚の天板や、エアコン上部の掃除も簡単なのです。
意外に知らない人も多いのですが、じつはほとんどのエアコンの上部は網目状のフィルターになっています。このためホコリもたまりやすいのですが、EC-A1Rなら天井とエアコンの間に適度な隙間があれば、床掃除ついでに掃除が可能です。また、はたきノズルはブラシの長さが約15cmと長め。このため、静電気で埃が付きやすいテレビ表面や網戸など、広い面もササっと掃除できます。EC-A1Rはハンディモップと違ってゴミを吸い込むので、埃をまき散らさないのもうれしいポイントです。
掃除性能は必要十分でフローリングを磨く効果も
さて、使い勝手が良いのはわかりましたが、掃除性能が低くては論外。しかし、そのあたりはさすがブラシタイプのサイクロン。フローリングのゴミは粉ゴミから砂ゴミ、髪の毛まで一往復で完璧に除去してくれました。
気になるのは、ゴミが残りやすいカーペット。重曹の粉を撒いたカーペットは、少量の粉が見えるものの、一往復でかなりキレイになっています。ただし、犬の毛をゴシゴシと擦り付けたカーペットは一往復だと吸い残しが目立ちました。繊維に張り付いた汚れには、ちょっと弱いのかもしれませんね。とはいえ、3往復ほどで犬の毛もほぼ除去。「超強力な吸引力」とはいえませんが、必要十分なパワーはあると感じました。
もうひとつ、見逃せないのがフローリングを「磨く」機能。じつはEC-A1Rのヘッドには「床みがきブラシ」が搭載されているのです。ためしにフローリングに油性ペンで落書きをし、一部にEC-A1Rを使用したところ、雑巾で水拭きしたようにヘッドが通った部分がかすれています。油性ペンの汚れもキレイに落ちる……と、まではいきませんでしたが、床を磨いているのは間違いなさそう。実際、EC-A1Rをかけるまえのフローリングは、手で触るとザラついているのに対し、掃除後はツルッとした感触になりました。
残念ながらゴミ捨ての使い勝手はイマイチ
使いやすさや掃除性能は気に入ったのですが、じつはEC-A1Rで気になったのはダストカップ。我が家での一番の問題はカップの集じん容積で、0.13Lとかなり小さいのです。犬を飼っている我が家の場合、この容量では一部屋でカップがいっぱいになります。また、ダストカップの着脱も「ロックを解除してカップを外す」「中フタのロックを解除して外す」と、ちょっと手順が面倒なのも気になるところです。
もうひとつ、個人的に残念なのが自立しないこと。コードレス掃除機は、ちょっと家具を動かすときなどに本体が自立すると、非常に便利なのです。ただし、EC-A1Rには「ちょいかけフック」とよばれるラバー製のフックがあり、このフックを机や棚などに引っ掛けてぶら下げたり、壁に立てかけることができます。このため、自立しない掃除機のなかでは、かなり扱いやすい製品だとは思います。
移動がラクで部屋全体を掃除できるのが便利
部分的には使い勝手の悪い点もあるものの、個人的にEC-A1Rは非常に使いやすく気に入っています。なんといっても軽いので、最初に「掃除機を出す」のが面倒ではないのがうれしい! 実は、いままで我が家では2.6kgのコードレス掃除機を使用していたのですが、この掃除機を収納場所である2階から1階のリビングに持って降りるのが結構面倒に感じていたのです。このため、我が家では各階に掃除機を置いていたほど。しかし、EC-A1Rなら軽いのでこの手間をあまり面倒に感じません。
掃除性能は「超強力」とは言えませんが、普段使いには十分なパワーがあるので、いまのところ不満はありません。それよりも、本体が軽いので気軽に棚やエアコン、テレビといった「本体を持ち上げないと掃除できない場所」が掃除できるメリットのほうが大きいと感じました。床掃除のあと、ハタキやモップなどを持ち出す必要なく、そのままこれ1台で部屋全体を掃除できるのは本当に便利ですよ。
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