ライフスタイル
2017/6/30 15:30

今年も7月から山開き! 一味違う「富士登山」の楽しみ方

昔も今も、日本人の心を惹きつけてやまない富士山。今年もそろそろ山開きの予定なので、登山の予定を立てている方も多いのではないでしょうか。本稿では富士山のガイド本の編集も手掛けたカズ・小松さんに、富士山信仰の歴史や周辺のパワースポットなど、一味違った富士山の楽しみ方を伝授してもらいます。

 

夏の始まりを告げる富士登山の解禁

本格的な夏の始まりを告げる風物詩の1つが、富士登山の解禁、山開きです。毎年7月からの約2か月間に、20万人以上の人々が、山頂を目指します。休日や祝日などは、まるで神社への初詣のように列をなし、登山者で渋滞までしますから、大変なイベントといっていいくらいです。

20170623_blnak5_2
↑富士山頂と太陽が重なる瞬間「ダイヤモンド富士」。幻想的です

 

ところであなたは、富士山の頂上が山梨県と静岡県のどちらに属しているかご存知ですか? 実は富士山頂はどちらにも所属してはいません。富士山のふもとにある富士山本宮浅間大社の所有ということになっており、頂上には同大社の奥宮があります。ちまたの人々がつくりあげた行政区分などは超越して、神様の持ちものということになっています。ということは、富士山に登るということは、それはまさに神のふところに、自ら進んで身をゆだねるということになるわけです。

 

遥拝信仰から、進んで足を運び祈る信仰へと変化

自然を恐れて崇拝し、山には神が宿ると考えてきた日本人にとって、日本一の山、富士山は昔から特別な存在でした。

 

富士山は噴火を繰り返す山で、平安時代以降でも10回以上記録されています。人々はこれを神の怒りと恐れ、それを鎮めるために、富士山周辺にいくつもの浅間神社を祭ったのです。「どうか神よ鎮まりたまえ、そして私たちを守りたまえ」という祈りですね。

 

最初は、はるか遠くにあって崇める遥拝信仰だったのですが、平安時代からは修験者が修行のために登るようになり、やがて室町時代末期になると、修験者に加えて一般の人々も登るようになりました。といっても、今のように5合目までバスが運んでくれたり、もちろん道路が舗装されていたりするわけでもありませんから、レジャー気分で誰でも登るということはできません。目的の多くは信仰です。江戸時代には「冨士講」と呼ばれる富士登山の互助グループがいくつも組織され、そこに属して、協力し合いながら信仰のために登るというのが一般的でした。

 

富士山周辺には、心を癒して運気を高めるパワースポットがいっぱい

そうした歴史的経緯から、富士山は、それ自身が信仰の対象であると同時に、その周辺にも、たくさんのパワースポットが点在しています。2013年に富士山が世界文化遺産に登録されたのも、“周辺の信仰の対象と芸術の源泉”も含めてと記されています。

 

たとえば、「忍野八海(おしのはっかい)」。富士山の雪解け水が湧きだす、8つの泉が点在する景勝地です。古くから「神の泉」と崇められ、数多くの伝説が語り継がれています。透明な泉に映し出される富士山はとにかく美しく、人々はその泉で口を潤します。

20170623_blnak5_3
↑富士山周辺のパワースポットの1つ「忍野八海」。湧き水は美しく、またおいしいです

 

また、高さ25メートルから大量の水が流れ落ちる名瀑「音止め(おとどめ)の滝」や、幅150メートルの絶壁から大小数百もの滝が流れ落ち、まるで幾筋もの絹糸を垂らしているようにも見える「白糸の滝」。どちらも日本の滝百選に選ばれている名瀑であるとともに、霊験あらたかといわれています。

 

そのほか、富士山で最古の歴史を持つ神社「富士御室(ふじおむろ)浅間神社」や富士山の噴火を鎮めるために創建された「河口浅間神社」など、由緒ある神社もたくさん。あなたの心を鎮め、またきっと運気を右肩上がりに導くはずのパワースポットがあちこちに点在しています。この夏はぜひもうひとつの新しい視点で富士山を登ってみてください。楽しさが倍増するはずです。

 

文/カズ・小松さん…「富士山完全攻略ガイド」の編集ほか、出版プロデュース、編集、ライターなどとして活動

 

※本記事は航空会社・バニラエアの機内誌「バニラプレス 2017年7-10月号」に掲載された内容の完全版となります
TAG
SHARE ON