絵本の世界と称される町や村の多くはフランスやドイツなど、ヨーロッパ各地に存在します。そして、その1つが今回紹介するポーランド南部にある小さな村、ザリピエ(Zalipie)。花模様の独特な「ペイントアート」が盛んなことで知られ、民家や教会、消防署、木までも華やかな模様が描かれてある、おとぎ話のような世界です。ザリピエ旅行は、数か月後に迫ったペイントコンテストが終わった後からベストシーズンとなりますので、いまからチェックしておきましょう。
ザリピエは、ポーランドいちの観光都市として知られるクラクフから北東へ約100キロの場所に位置します。近年は右肩上がりで海外からのポーランド旅行者が増えており、ザリピエの知名度も高くなってきました。
村の中心部には木造の民家が建ち並び、いたるところにカラフルな花模様が描かれています。絵本やおとぎ話の世界と呼ぶにはピッタリ、観光客は一軒一軒をつい写真におさめたくなってしまうにちがいありません。
花模様は家のなかや犬小屋にも見られ、壁や天井、階段はもちろん、キッチン用具から子どものおもちゃにまで個性的な花模様を見ることができます。そのすべてが凝ったハンドメイドの絵柄であり、ごくふつうに生活する村人たちが描きあげたもの。現地で売られているお土産も何ひとつ同じものはありません。
ザリピエに住む人々は伝統的な花模様の描き方を学校で学んでおり、またそのようなレッスンも一般人向けに行われています。数時間で終わる観光客向けのコースもあれば、数週間と泊まり込みでみっちり教え込んでくれるコースもありますが、これらは要予約。現地では日本人の作品も展示されていました。
ザリピエでこのような花模様が描かれるようになったのは19世紀末のこと。煙突から出るススで黒くなってしまった壁や天井を塗りかえ、そこに花模様を描きはじめたのがきっかけでした。最初は模様を描くための色も限られていましたが、やがて粉末絵の具が一般的に購入できるようになると途端に村がカラフルになっていったそうです。
村人たちが腕を奮うペイントコンテストも毎年開催されており、観光で訪れるのはこのコンテストが終わった直後から夏にかけての時期がベストシーズン。ペイントコンテストは移動祝祭日である「聖体の祝日」のあとの週末に開催されます。2018年は5月31日が聖体の祝日であるため、6月初旬の週末にコンテストが開催されるでしょう。
ザリピエにはDom Malarek(ドム・マラレック:ペインターの家)という文化センターがあり、そこでザリピエの見どころを記した地図がもらえます。最近ではちょっとしたカフェのような場所もでき、また宿泊施設もあるのでますます観光しやすくなりました。
ポーランド旅行の際はぜひザリピエに訪れ、村が誇る伝統アートに触れてみてください。のんびりした田舎風景と鮮やかな花模様、人懐こっい村びとたちに心が癒されること間違いありません。