ライフスタイル
2018/6/29 10:00

子どもの相手をスマホにさせてしまう…それって教育上ダメなの?

家事で忙しくて、娘にかまってあげられないときは、スマホを渡してアニメ動画を見ておとなしくしていてもらうこともしばしば。最近は、子どもでも当たり前のようにスマホやタブレットを使っているし、小学生になったら子ども用スマホを持たせる家庭も多いと聞くわ。

 

でも、小さなころからスマホに触れさせるのって、子どもにとってあまり良くないんじゃないかしら? 難しい問題よね……。

 

そう言えば、ご近所に住んでいる相模女子大学准教授の七海陽さんは、「子どもと情報メディアのあり方」について研究をしているみたい。ぜひ、意見を聞きたいわ!

参ったなぁ……と、いつも困っている「参田家(まいたけ)」の面々。きょうはお母さんが、なにやら困っているようです。

参田家の人々とは……
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ちょっと気弱なお父さん、元気でしっかり者のお母さん、もうすぐ小学生の娘、甘えん坊の赤ちゃん、家族を見守るオスの柴犬の4人と1匹家族。年中困ったことが発生しては、宅配便で届いた便利グッズや、ご近所の専門家からの回覧板に書かれたハウツー、知り合いの著名なお客さんに頼って解決策を伝授してもらい、日々を乗り切っている。

 

子どもにスマホを使わせるときの適切なルールって?

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お母さん「うちの娘は普段おてんばだけど、スマホで好きなアニメ動画を見ている時間だけは静かにしていてくれるんです。でも、幼いころからスマホで遊ばせるのってあまり良くないイメージもあって……。やっぱり、もう少し大きくなってから使わせる方がいいのでしょうか?」

 


七海さん「スマホで長時間遊ばせるのは控えた方がいいですが、デジタルメディアがこれだけ浸透している時代で、まったくスマホに触れさせないというのも現実的ではありません。それに、スマホは使い方次第で子どもの興味や関心を広げるツールにもなります。子どもは、大人が思っている以上に生きる力が備わっているんですよ。スマホを使って“学ぶ機会”を与えながら、大人がしっかり使い方を見守ってあげるのが理想的ですね」

 

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お母さん「スマホが教育の一端を担うこともあるんですね! ちなみに、スマホを触らせるのはどれくらいの時間を目安にしたらいいでしょうか?」

 


七海さん「2〜5歳の場合、1日1時間以下の使用にすることを推奨しています。子どもの成長に重要な睡眠時間と、体を動かして遊ぶ時間とのバランスを取りながら、スマホを使う時間を決めてあげてください。また、この時間にはタブレットやゲームなども含まれます。メディアに触れる時間のオンオフの習慣づけをしていくことが大切です」

 

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お母さん「なるほど! うちの子はスマホでアニメを見るのが好きなんですけど、子どもが見ても良い動画って、どういったものなのでしょう?」

 


七海さん「NHK教育テレビ『Eテレ』で放送されているような内容を参考にするのがいいですね。気をつけることは、子どもにスマホを預けっぱなしにして放置しないこと。目を離している隙に子どもにふさわしくないコンテンツを見てしまう懸念があるのはもちろん、親子のコミュニケーション不足になってしまう可能性があります。親が一緒に動画を見ながら、子どもの反応に受け応えしてあげるのが大切ですね。それが、子ども自身の学びにつながると思います」

 

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お母さん「ギクッ! 子どもが黙ってスマホを触っていたら『チャンス!』と言わんばかりに、掃除や洗濯をしました……。反省しなくちゃ! 子どもは何に対しても吸収する能力が長けているから、目に入るものを、大人がきちんと選定してあげるのが大切なんですね。ちなみに、最近流行っている子ども向けのプログラミングアプリはどうでしょうか?」

 


七海さん「お子さん自身が興味を持っているのならば、与えてあげるのもいいと思いますよ。図工が好きな子なら、“どういうふうに組み立てれば目的を達成するのか”という思考を養える機会だと思います。ただし、アプリを使用する前に開発元や提供元の企業を調べて、『保護者の方へ』という注意書きがあるかどうか、またその内容を大人が確認してから遊ばせるようにしましょう。信頼できる企業ほど、保護者による設定や制限を促す注意書きがあります。それを基準にして使うアプリを選択するのもひとつの方法です」

 

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お母さん「アプリも親がしっかり確かめてから、子どもに与えるべきなんですね。あと、うちでは子どもに何歳ぐらいからキッズ用携帯電話を持たせるか、夫と相談中なんです。七海さんの意見も聞かせてください!」

 


七海さん「思春期、つまり中学生になる前にキッズ携帯を持たせて、スマホを使う練習をさせてあげるのがいいかもしれないですね」

 

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お母さん「スマホを使う練習とは、具体的にどういうことですか?」

 


七海さん「思春期からスマホを持ち始めると、子ども同士がどんなやりとりをしているのか、把握しづらいですよね。だからこそ、まずは通信する相手を制限できるキッズ携帯を渡して、親子間でコミュニケーションの練習をしてみましょう。その中で『こういう表現は相手を傷つけるかも』というアドバイスをしてあげるといいですよ」

 

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お母さん「親に反抗し始める年ごろになってからだと、アドバイスをしても素直に聞き入れてくれなさそうですよね……。必要なところは親が介入して、子ども自身が考える伸び代もしっかりと残すということが大切ですね。今日聞いたことをもとに、子どものスマホの使い方を見直してみます!」

 

まとめ

家庭でスマホの使い方ルールを決める

家庭によって異なる、子どものスマホの使い方。七海さんが監修した「子どもたちのインターネット利用について考える研究会」(https://www.child-safenet.jp/selfcheck/)のセルフチェックをしてみたら、やっぱりうちも改善点する余地がありそうね。子どもがスマホを使うことで新しい世界を見て視野を広げられるよう、親として正しいスマホの使い方を教えてあげなくちゃ!

 

教えてくれたのは……

相模女子大学 子ども教育学科准教授/七海陽さん
IT企業を退職後、フリーで「情報化社会での子どもの育ち」や「デジタルメディアと子どもの発達」に関する執筆、講演などの活動を行う。2005年に浜松大学こども健康学科専任講師を経て、2009年より相模女子大学子ども教育学科へ。2013年より准教授を務める。
http://www.sagami-wu.ac.jp/faculty/arts_sciences/edu/teacher/details/nanami_yoh.html