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2018/7/24 6:00

【改正民法の影響】賃貸借契約から「連帯保証人」がなくなる!?

2020年の東京オリンピックに向けて、街はどんどん変わっていっていますが、この変化は建物だけではありません。2020年前半に施行されるという改正民法によって、これまでの日本人の生活に様々な変化が訪れようとしています。

そのなかでも特に多くの人に関わってくるのが「債権法」の改正。つまり、お金の貸し借り、不動産の貸し借りをめぐる分野であり、「不動産における連帯保証人」制度においては連帯保証人制度そのものが2020年を境に減っていくかもしれません。

 

今回はこの民法改正と不動産事情について、この分野に詳しい税理士法人レディング 公認会計士・税理士、木下勇人さんに聞きました。

↑税理士法人レディング 公認会計士・税理士、木下勇人さん。不動産にまつわる税務、法律に詳しい

個人の連帯保証人より「家賃保証会社」がポピュラーになりそう

「連帯保証人」と言えば、自立したつもりの自分であったとしても、いざどこかに部屋を借りる際、親、親戚、信頼のおける先輩などに、泣く泣くなってもらうことが多かったもの。賃貸借契約などで、もし自分が家賃を払えない状況に陥った場合は、この「連帯保証人」がお金を代替えして支払う義務が生じるわけで、やはり他人よりは血の繋がった人になってもらうことが一般的です。しかし、「今回の改正民法によって、この構造が大きく変わる」と木下さんは言います。

 

ーー改正民法の債権法において、連帯保証人はどう変わるのですか?

 

木下勇人(以下、木下):これまでの不動産の賃貸借契約における連帯保証人は、契約者本人が家賃を滞納した場合、連帯保証人が滞納分を全て払わないといけませんでした。

 

しかし、「保証はしてあげたいけど、全額はさすがに責任持てない」という人が増えてきたことと、「連帯保証人になったばかりに、悲惨な目に遭った人を保護しましょう」という国の方針があり、連帯保証をするための「家賃保証会社」という存在がポピュラーになってくると思います。

 

――不動産契約における家賃保証会社は、これまでも存在しており、身内に連帯保証人を付けられない人が利用しています。なぜこの家賃保証会社との契約による連帯保証が一般的になるのでしょうか?

 

木下:今度の改正民法によって、賃貸借契約書には「保証人に請求する上限(極度額)」という記載が加わります。つまり、これは連帯保証人になる人が「ここからここまでは保証できる」「ここからここまでは保証できない」というように家賃保証できる範囲を明確に示すということ。こうなると、連帯保証人の対象者はハッキリと「ここからここまで」と明言できますが、貸す側は、連帯保証に関して低い条件で契約を結びたくないはずです。

 

そうなると当然、賃貸者契約には至りませんから、そこで家賃保証会社がこれまでの連帯保証人の役割を担うこととなり、ひいてはこれまで多かった個人の連帯保証人という仕組みは極めて減っていくと思います。

 

ただし、借りる側は保証会社にそれなり料金を毎月支払うことになりますから、金銭的負担は増えるということにもなります。複数の賃貸管理会社に確認したところ、毎月払いや年度更新払いがあるとのこと。

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