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2016/5/25 19:18

老眼の原因は老化だけではない!? 老眼に早くなる人、ならない人の違いとは?

「年を取ったら、老眼になるのは当たり前」。「老眼」という名前の印象から、ついそう思いがちだが、最近では必ずしも老化だけが老眼の原因ではないことがわかってきている。

 

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では、老眼に早くなる人とならない人でどこに差があるのか? また、50代に入っても老眼の進行を遅らせるためには、どのようなケアをすればいいのか? 使い捨てコンタクトレンズ「アキュビュー®」を発売しているジョンソン・エンド・ジョンソン ビジョンケア カンパニーが主催した、金沢医科大学眼科学講座教授・佐々木 洋氏の講演で話をうかがった。

 

老眼は生活環境によって発症率が変わる!?

まずは、下のグラフを見てほしい。

↑グラフ1:皮質白内障の地域別発症率(左
↑グラフ1:皮質白内障の地域別発症率

 

↑グラフ2:核白内障の地域別発生率
↑グラフ2:核白内障の地域別発生率

 

上のグラフは、白内障の代表的なタイプのひとつ「皮質白内障」の地域別発症率を調べたもの。50代での発症率は、アイスランドのレイキャビクでは6.8%だが、タンザニアでは19.8%と、なんと約3倍にもはね上がる。

 

下のグラフは、やはり白内障の代表的なタイプ「核白内障」の地域別発症率。こちらもタンザニアを始めとする亜熱帯・熱帯(緯度の低い地域)での発症率は顕著だ。実は、この白内障の初期症状が、いわゆる老眼だと佐々木教授はいう。

 

「老眼は白内障の初期症状という風に僕らは考えていて、若いうちの水晶体は柔らかいですが、それが固くなると老眼になり、さらに進むと白内障になる可能性があります」(佐々木教授)

 

では、なぜ白内障は赤道付近の緯度の低い地域で発症率が高いのか? その原因は、肌の大敵としても知られる「紫外線」にあった。通常、赤道に近づけば近づくほど紫外線が強くなる。日本の本州を1とすると、タンザニアはその約2倍の強さだという。佐々木教授は、こうした多様な調査を国内外で行い、目と紫外線に関する研究の第一人者として知られている。

 

紫外線と老眼の関係性は、仕事上、窓ガラスからの直射日光にさらされやすいドライバーの意識調査からもうかがえる。

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↑グラフ3:ドライバー調査

 

老眼を感じ始めた時期が周囲の人と比べて「早かった」と答えた非乗務職が12.2%しかいないのに対し、乗務職では「早かった」と感じた人が41.5%にのぼり、大きな差が出た。さらに、別の調査結果もある。下の表は、20代での太陽光被曝と核白内障のリスクを数値化したものだ。

↑グラフ4:20代での太陽光被曝と核白内障のリスク

↑グラフ4:20代での太陽光被曝と核白内障のリスク

 

「20代のときにいつも紫外線を浴びていた人は、浴びてない人に比べて6倍ほど核白内障になるリスクが高くなる、といった研究もあります。やはり、紫外線を浴びると核白内障の前段階である老眼になる可能性が高くなることが推測できます」(佐々木教授)

 

紫外線対策はメガネをかけるだけでも有効

こうした調査結果から言えることは目のケアの重要性。最近では、紫外線が肌の老化を早めるという認識が一般的になりつつあり、夏でも目深に帽子をかぶり、長袖を着る女性も増えてきている。同様に、目も紫外線から守るという意識改革が求められるのだ。

 

「もちろん、子供のときからのUV対策は非常に大事。ちゃんと対策していれば早期の老視の予防になる可能性が高いと思います。しかし、中高齢者にとっても予防は非常に大切。老眼になってしまっても予防さえしていれば、次の段階の白内障への進行を防げるかもしれない。白内障も初期なら視力は下がりませんが、そこで予防せずに症状が進んでしまうと、今度は手術を受けなければなりません」(佐々木教授)

 

それでは、目を紫外線から守るにはどうしたらいいのか。実はそれほど難しいことではなく、メガネをかけるだけでかなりの紫外線量が軽減されるのだという。特別なサングラスでなくとも、最近では多くのメガネチェーンで扱っている標準レンズでも、なんらかのUVカット加工が施されている場合がほとんどだ。

 

「メガネによるUVカット効果ですが、テンプルというツルの形が太いものだと紫外線量を9割ほどカットできるので、メガネをかけるだけでも十分対策になります。コンタクトレンズの場合は、UVカットつきでないと無防備で紫外線を浴びやすい。ただし、UVカットつきコンタクトレンズのなかでも、製品によってUVカット率が異なるので、きちんと数値を確認する必要があると思います」(佐々木教授)

 

紫外線が一番強いといわれる時期は、今の5月から7月。日常的に屋外で仕事をすることが多い人は、特に意識してUVカットのメガネやコンタクトレンズを使うことが老眼への対策につながる。肌は赤くなるなどダメージが見えやすいが、目は知らない間に紫外線の影響を蓄積していることを意識したい。今後は、肌とともに目も守るというのが常識になりそうだ。

 

【URL】

ジョンソン・エンド・ジョンソン https://www.jnj.co.jp/

使い捨てコンタクトレンズ「アキュビュー®」 http://acuvue.jnj.co.jp/