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2019/4/4 18:15

「怒り」をコントロールするには「相手を見下せ」どういうこと?ーー里崎智也の「下克上人生相談」

強打の捕手として千葉ロッテマリーンズで16年間プレーし、2度の日本一に貢献。2006年のWBCでは正捕手として世界一&大会ベストナインも受賞した里崎智也さんが、読者の悩みをズバッと解決する。「怒り」をコントロールする術はあるのか?

 

 

【今回のお悩み】

ちょっとしたことですぐ頭に来てしまいがちです。何とか自分で鎮めるものの、心身共に疲れます。うまく感情を抑える方法はないでしょうか?

ちょっとしたことですぐ頭に来るのが悩みです。会社の先輩後輩を問わず、「なぜそんな身勝手なことを言うのか」「相手の気持ちになって考えろ」と、仕事中にムカついてしまいます。怒っても何の解決にもならないため自らクールダウンするのですが、それでも心身共に疲れるので、良いコントロール法を教えてください。

(30代・男性・会社員)

 

 

 

他人に怒りを感じるのは何かを期待しているから

他人に対して怒りを感じるのは、何らかの「期待」をしているから。「もっとほかに言い方があるだろう」とか「自分がこれをやったのに、なぜあれをやってくれないのか」などと思うから、腹が立つんです。ならば、怒らないための方法は簡単。相手を「見下す」ことです。イヤなアドバイスに聞こえるかもしれませんが、事実、相手を「考える能力が足りない残念な人だ」と思えれば、腹が立つことなんてありえませんからね。

 

ただし、それと同時に自身の能力も疑ってみましょう。例えば、部下や後輩に対して指示を出したのに、その通りにやってくれなかった。怒りがこみ上げるかもしれませんが、果たして自分が出した指示が本当に的確だったのかも考えてみるべきです。部下が思い通りに動かないのは、あなたの実力不足でもあります。どの世界でも、結果を出せない人はどんな言い訳も許されませんし、「ちゃんとやっているのに……」と責任を認めないことは自身の成長を妨げてしまうことにもなる。人を見下すのは、そんな思考を経てからでも遅くはないでしょう。

 

 

 

相手にどう思われようとも結果を出せば不利にならない

質問者さんは腹が立ったときも自分で鎮めているということですが、僕自身は反対に、怒りの感情をはっきりと相手に表明するタイプです。現役時代、やるべきことをきちんとやらない選手に対しては、当たり前のように怒っていました。いまだったらパワハラと言われてもおかしくないでしょうね。人に対して遠慮なく怒り散らすことができたのは、自分にはそれだけの実績と実力があるとわかっていたからこそ。監督やコーチ、チームメイトにどう思われようとも結果を出せば良いだけですし、怒ることでストレスを感じるなんてありえませんでした

 

腹が立ってもそのことを相手に悟られないようにしているのは、自信のなさの表れでしょう。上司に睨まれたら厄介だ、職場の空気を悪くしてしまう、後輩から慕われなくなる。そんな不利な状況に陥るとしても、自分で解決できるなら、怒りを飲み込む必要はないわけですから。

 

会社員が現状に不満を抱えているとき、対処する方法は3つです会社を辞めるか、我慢して状況が変わるまで続けるか、自分が管理職になってルールを作るか。どれを選ぶのかは個人の自由ですが、いずれにしても自分を磨いて実力と自信を付けなければうまくいきません。

 

質問者さんは、僕と違ってきっと優しい心の持ち主なのだと思います。相手を見下せるほどの実力と自信が付いたとき、怒りの感情なんてどこかへ行ってしまうはずですよ。

 

 

 

【これで下克上せよ!】

相手を見下せば腹は立たない。そう思えるだけの自信を付けろ」

 

 

今月の野球“知っ得”ネタ!!

日本シリーズの大舞台でピッチャーを“公開処刑”?

2012年の日本シリーズ第2戦。初回にけん制のサインを見落とした先発の沢村拓一投手(巨人)の頭を、捕手の阿部慎之助が「しっかりしろ」とはたいたシーンは衝撃的だった。それで目が覚めたのか、沢村は8回無失点で勝利投手に。

 

 

【PROFILE】


里崎智也さん

1976年5月20日生まれ、徳島県出身。鳴門工、帝京大を経て98年ドラフト2位でロッテに入団。05~10年まで6年連続2桁本塁打を放つなど、強打の捕手として活躍した。現在は野球解説、講演活動、執筆などマルチに活躍中。

 

 

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文/山西英希 撮影/佐坂和也 ヘアメイク/宮田裕香子 スタイリング/佐々木誠 題字/道口久美子

衣装協力/ザ・スーツカンパニー 新宿本店