「熟成」と聞くと、何をイメージしますか? 一般的にはウイスキーをはじめとするお酒でしょう。昨今では牛肉や寿司でも熟成させた味わいが人気です。では、タバコでは? タバコ自体、葉を寝かせる嗜好品ですが、特別に熟成を打ち出す商品はなく、なじみは薄いですよね。それがこのたび、「ピース」から熟成に特化した限定品が発売されるのです。今回はそんな意欲作の話を。
開封した瞬間からあふれる香りに驚いた!
訪れたのは「Peace Aroma Lounge 2019」。新商品発表の場であるとともに、抽選で選ばれたピースユーザーに、味を楽しんでもらうイベントです。その主役は「ピース・アロマ・ヴィンテージ」。5月22日から全国で数量限定発売され、20本で1000円というプレミアムなプライスにも注目です。
一番の特徴は熟成。通常の紙巻たばこと比較して長期となる、5年以上熟成させた厳選バージニア葉を100%使用。平型缶を外箱で包装するパッケージを採用し、缶を開けた瞬間からバージニア葉の香りが鼻孔をくすぐります。
特徴的なパッケージのワインレッド色は、5年以上熟成させたバージニア葉の芳醇で深みのある香りを表現しているそう。吸ってみると、今度は正統派のタバコ葉フレーバーが印象的。どっしりとした深みとなめらかな香味があって、リッチな吸いごたえです。
また、これだけ深みのある味わいで、タール値は12mgとそれなりにありながら、嫌な重さはまったく感じないスムースな吸い心地も魅力的。これは高品質な葉を使っているからでしょうか。気になるところです。
オーク樽熟成のフルボディワインをイメージ
イベントには開発者が登壇し、インタビューすることができました。JTでピースの開発リーダーを担当する、小澤義美さんです。改めて製品特徴や味の秘密など聞いてみました。
「開発のスタートは2016年ごろだったと思います。イメージしたのはフルボディの赤ワインをオーク樽で熟成させたような香り。そこから表現したのが、フローラルな華やかさと滑らかな芳香。あとは、かすかに残る渋味も特徴ですね」(小澤さん)
タバコ界ではバージニア、バーレー、オリエントが3大品種と言われています。そのなかで、ピースのブランドとしての特徴といえば、バージニア。これを昇華させる形で、より甘く華やかな香りに仕上げたのが本作とのこと。では、あの心地いい吸いやすさは、高品質な葉を使っているからなのでしょうか。
「実は、良質な葉だけを使っても、芳醇なタバコにはならないんです。バージニア葉を100%使っていますが、なかにはまあまあの品質や惜しい葉も入っており、それをうまくブレンドすることで完成させるんです。産地は詳しく開示できないのですが、アメリカやブラジルなど様々ですね」(小澤さん)
その作り方は、ウイスキーのブレンドに共通するものがあるといえそうです。では、5年熟成というのはどういった味わいに起因してくるのでしょうか。
「全体的な味の輪郭と、深みのある豊かな香りですね。今回、缶を採用しているのですが、まずはぜひ缶のなかからあふれ出る香りを楽しんでみてください。まったく新しい、ピースの魅力を知っていただけると確信しています」(小澤さん)
嗅ぐだけで、その違いがわかることには筆者も納得。また、葉がぎっしり詰まった凝縮感やなめらかな味わいには、葉巻に通じるものがあるとも感じました。1000円と、それなりの価格はしますが、唯一無二の味わいは愛煙家には試していただきたいところ。実物を見かけたら、ぜひチェックを!