ライフスタイル
2019/8/27 17:00

「たばこ」ってどうやって作られるの? 【前編・葉たばこ収穫からしてきた】

筆者は結構な愛煙家ですが、あるときたばこを吸いながらふと疑問に思ったことがありました。「たばこの葉っぱって、どうやってできているんだろう」と。当然“葉っぱ”が主体であることはわかりますが、それがどんな葉っぱであり、その収穫をした後どんな加工を行い、紙巻きされ、商品化されるのか……。

 

そんな素朴な疑問を抱いていた折、JTの定番銘柄であり今年50周年を迎えた、紙巻きたばこナンバーワンブランド「セブンスター」が一般ユーザーに向けた「Starlight Tour produced by DINING OUT」という葉たばこ収穫と手巻き体験ツアー(+プレミアムディナーまであるそう!)を開催。まさに愛煙家の筆者うってつけの企画です。

 

今回はこの「Starlight Tour produced by DINING OUT」(以下Starlight Tour)にお邪魔し、葉たばこの収穫と、手巻き体験をしてきました。そして、セブンスターを美味しく味わうことができるBBQコースも見学してきました。前編・後編に分けてお届けします。

 

茨城県某所で鮮やかに広がる葉たばこ畑

向かった先は、茨城県某所にあるJTファーム。JTが運営する葉たばこ畑近くにある施設です。近隣はかなり静かな地域で、「こんな場所に葉たばこ畑なんてあるの?」と思いましたが、施設近くに、一面に広がる葉たばこの畑がありました。

 

100センチ前後の高さまで育った葉たばこは、商品で見るそれとはまるで違い、鮮やかな緑色に輝いています。正直、教えてもらわなければ、これが葉たばこだとはまったく気付きません。この日は特別に葉たばこの収穫をさせてもらえるとのこと。もちろん、筆者も収穫させてもらいました。

↑一面に広がる綺麗な葉たばこ畑に入り、JTファームの方から説明を受ける参加者の皆さん

 

↑葉たばこを上から見た図。なんかサラダなどにも使えそうな綺麗な緑色をしていますが、これはれっきとした葉たばこです。葉たばこの苗を植えてから、ここまで育つまで約2~3か月かかるそうです

 

↑葉たばこの生育状況に併せて収穫をしていきます。その日は下から順に3枚程度を収穫

 

↑さっそく参加者の皆さんと一緒に筆者も取ってみることに

 

↑目当ての葉っぱの根っこをパキッ、パキッと折り、葉たばこの収穫を行います。しかし、これだけ大量の葉たばこですので、仕事として収穫をする場合は、足腰が結構キツくなりそうです

 

↑収穫したての葉っぱからは、いわゆるたばこらしい匂いは弱いものの、触ってみると、なんだかペトペトした感触。このペトペトが“ヤニ(葉面樹脂)”だそう。収穫した葉たばこは、つぶさないよう綺麗に梱包され、次の行程へと移っていきます

 

JTの葉たばこのタネは約2.8万種もある

バーレー種は、一般的に約1か月の期間をもって乾燥させます。黄色種は機会を使用し、約5日間の期間をもって乾燥させます。乾燥は、酵素が働きやすい温度におき、酸素反応により葉中の内容成分を変化させ、たばこのうまみを引き出すような、実に繊細な手順を踏むのだそう。

 

日本の葉たばこは、主に「黄色種」「バーレー種」という2種類が存在。「黄色種」はたばこの味の核となる品種で、甘さなどが強いタイプ。対して「バーレー種」はのどごしがよく、キレが効く品種とのこと。

 

先ほど収穫した葉たばこは「黄色種」ですが、実際には「黄色種」「バーレー種」だけでなくその他様々な品種の葉たばこをブレンドして、たばこの銘柄を作ります。聞けば、JTでは毎年100種類くらいの葉たばこをブレンドし、テストしているのだとか。

 

「100種類もの葉たばこ畑があるんですか!?」と改めて聞くと、ここ茨城のJTファームだけでなく、日本、アメリカ、ブラジルなど世界約35か国から調達しており、JTでは遺伝資源として2.8万種ほどの葉たばこのタネを保有。耕作条件や求められる味・香りの特徴に合わせて選択的に使っているそうです。

 

2.8万種!? こんなにある葉たばこから100種に抜粋、さらに100種をブレンドし、掛け合わせる……と考えると、もう天文学数字で、考えるだけでクラクラしますね。

↑写真手前が乾燥を済ませた「黄色種」。写真奥が乾燥を済ませた「バーレー種」

 

↑「黄色種」「バーレー種」では質感や香りも大きく異なります。また、実際には「黄色種」「バーレー種」だけでなく、その他様々な品種の葉たばこがブレンドされ使用されます

 

↑葉たばこは乾燥させると、小さなプツプツが出てくる場合もあるそう。ただ、これはカビなどではなく、熟度や品質を表す指標だそうです

 

↑各葉たばこを紙巻きしたもの。左が「バーレー種(国産)」。真ん中が「黄色種(国産)」。右が「黄色種(外国産)」。さっそく試喫させていただきました

 

2本を吸ってみましたが「黄色種」は確かに甘味があり、口当たりは優しい印象。「バーレー種」はガツンとくる吸いごたえとキレのあるのどごしが特徴でした。

 

超難しい、ブレンドと手巻き

これら「黄色種」「バーレー種」、その他様々な品種をブレンドして、特定の銘柄の紙巻きたばことして完成させるわけですが、お邪魔させていただいた、このStarlight Tourが素晴らしいのは、その行程までを体験させてくれるところ。単に体験するだけでなく、市販されるセブンスターを模したサンプルを自分で作らせてもらえます。セブンスターのうまさに息づく国産葉を五感を使って堪能できる(なぜ五感なのかは後編をお楽しみに)。これは愛煙家にはたまらない企画といえるでしょう。

 

さっそくJTの方ご指導のもと、ブレンドと手巻きにも挑戦しました。

 

ダミー巻と呼ばれる葉たばこ(刻)の詰まっていない巻を、専用の手巻き器に差し込み、さらにその機械に、自分でブレンドした刻を充填する……という、言葉だけなら、簡単そうなものですが、しかしこれ、見るのとやるとでは大違い。まず手巻き器にダミー巻を差し込むだけでも一苦労でした。さらに手巻き器に充填した刻をダミー巻へ押し出すのもまた一苦労です。完成への道のりはなかなか険しくもありました。

↑JTの方のご指導通り、「黄色種」「バーレー種」の刻をブレンドします

 

↑ブレンド前の状態では、あの香りはまだ感じられません

 

↑さっそくダミー巻を専用の手巻き器に差し込みます。この行程がまず大変で、すぐ手巻き器の先端がクシャクシャになってしまいます

 

↑何本もクシャクシャにしてしまう不器用な筆者を見かねて、JTの方が代わりに差し込んでくれました

 

↑JTの方のおかげで世界に一つだけのたばこが完成しました

 

この時点ではまだ香り付けがなされていないもの。自分が巻いたたばこと、従来のセブンスターとを吸い比べてみます。うーん、ウマい!

 

↑ちなみにセブンスターは、宮城県限定でショート版(10本入り260円)も発売されました(写真左)。紙巻きの太さやフィルターで調整することで、ショート版でも従来の味を楽しめるようです

 

ここまでが、葉たばこ収穫、乾燥、ブレンド、手巻きまでの行程ですが、この後さらに最後の「香り付け」が残されています。後編の次回は、この「香り付け」と、お邪魔したStarlight Tour のプレミアムディナーの模様をお届けします。