ライフスタイル
2019/12/23 20:00

「スーツケースの伝道師」が教えてくれた「スーツケースはアイドルユニットだ」という間違いない選び方

この時期は旅行や帰省などで、スーツケースが必要になってきます。でも、お店に行けば、大小無数のスーツケースが売られていて、どれが自分に最適なスーツケースかを見分けるのはなかなか一苦労です。

そこで今回は東急ハンズの名物バイヤーであり、「スーツケースの伝道師」と呼ばれている佐藤宏樹さんに、現行で販売されている数々のスーツケースの「個性」をわかりやすく解説していただきました。これを読めば、自分に合うスーツケースを見極めるだけでなく、他人のスーツケースの個性もわかるようになりますよ!

【プロフィール】
東急ハンズ・バイヤーの佐藤宏樹さん。自ら20個以上のスーツケースを愛用し、スーツケースにまつわるイベントやサミットも開催するという、まさしくスーツケースの伝道師。あまりに「スーツケース愛」があるからでしょうか、各スーツケースを「この子」「この人」と呼んでいました。

 

スーツケースは、アイドルユニットのメンバーと同じだと思うべし

ーー東急ハンズはもちろん、様々なお店でスーツケースが売られていますが、自分にとって、どれを選ぶべきかがイマイチわかりません。

 

佐藤宏樹さん(以下、佐藤) そうですよね。まず、すごくザックリ大別するとスーツケースには「ハード」「ソフト」があります。「ハード」は硬い素材のスーツケース、「ソフト」は布製のスーツケースです。

 

さらに開閉部分が金属のフレームで守られたタイプとファスナーのタイプに分かれます。一般的に「フレームのほうが頑丈だ」と思われがちですけど、実はそう言い切れないところがあります。フレームは、何か衝撃を受けた際、衝撃を逃がす遊びの部分がないので、本体が歪んだり曲がってしまう可能性があります。ただし、スーツケース自体は壊れることがあっても中の荷物への衝撃は加わりにくいという利点があります。

 

対して、ジッパータイプは、ジッパー部分がクッションの役割をするので本体そのものは壊れにくいというものです。しかも、軽くて小回りも利く、そして値段も安いので、一概にどちらが得とは言い切れないところがあります。

 

ーー一番オススメのタイプはどちらですか?

 

佐藤 だから、それも言い切れないんですよ(笑)。お客さん個々に違う用途や値段にもよりますので。

 

ただ、ここ7~8年の流れでは、ハード、ソフトともに「機内持ち込みサイズ」が売れています。そして、「前にポケットがついているタイプ」であり、「とにかく走行時に静かである」といったものが売れていますね。一時期ヨーロッパ旅行が冷え込んだ影響やLCCの浸透などもあって、近場のアジアといった海外旅行や国内旅行を楽しむ人が増えたことに加え、スマートフォンなどデジタル技術の進化で荷物が減ったことも、こういったタイプのスーツケースが売れている要因だとは思いますけどね。

 

ーーでも、そうは言っても、まだやっぱり何を選んだら良いかわかりません。どうしたら良いですかね?

 

佐藤 そういうお客さまは多いですし、私自身も「どうやって選ばれているんですか?」と聞かれることも多いです。そういうとき、決まって私は「スーツケースはアイドルユニットのメンバーだ」と答えています。

 

ーーアイドルユニット、ですか?

 

佐藤 はい。まず、センターのスーツケースを決めて、脇にキャラクターの立つスーツケースを並べていく。みんなそれぞれ「推し」は違います。旅行のスタイルって、それぞれ違いますからね。

 

そこで、お客さまの好み、旅行スタイルをヒアリングしながら、「この方なら、この子(スーツケース)がお勧めだな」というものをピックアップし、お見合いさせていただく……ということをしています。

 

ーーつまり、まずは使う側の用途、好みを明確にしないことには、ピッタリのスーツケースも選び込めないということですね。

 

佐藤 そうです。ですから、お客さまの好みやスタイルによりますが、最近のお勧めのスーツケースと、それぞれの特徴を紹介させていただければと思います。

 

 

値段は張るが、通常の半分くらいの軽さのスーツケース

↑「PROTECA(プロテカ) エアロフレックス ライト37L」。価格6万3800円(税込)

 

佐藤 まず「センターの脇を固めるメンバーのひとり」が、PROTECAのエアロフレックス ライトというスーツケースです。ポリプロプレン繊維とグラスファイバーを掛け合わせた新素材で、かなり軽いです。一般的な機内持込サイズのスーツケースが3キロ台の重さであるところ、本商品は1.7キロで小指でも持てちゃうくらいです。とにかく軽さにこだわっているので、内装も細かいものは多くつけていませんが、飛行機に乗る際重量オーバーしがちな方にはお勧めです。

↑独自に開発された新素材、ウルトラストリングを採用

 

↑中身は比較的簡素ですが、これも軽さにこだわっているため

 

 

内輪と外輪が別々に動く、静音性抜群のスーツケース

↑「フリクエンター マーリエ 34L」。価格2万4200円(税込)

 

佐藤 続いてが走行性に特化したフリクエンターのマーリエですね。私から見て「世界一」と言って良いかもしれないキャスターが、フリクエンターのものです。

 

これ、内輪と外輪が別々に動く構造になっていて、このことで、振動を分散させてくれるんですね。振動が弱いから移動中に中の荷物を守ってくれるだろうし、静音性にもかなり優れています。さらに、キャスターが摩耗してきたら自分で交換できる構造です。

 

さらに、このスーツケースのすごいところは、前ポケット。縦、横からの両方を開けることができるので、人前で広げなければいけないときなどに、効果を発揮すると思います。USBポートもついているのでモバイルバッテリーをつなげばスマホの充電もできますし、ぜひ店頭で手にしていただきたいスーツケースですね。

↑キャスターを見ると、内輪と外輪が別体になっていることがわかります。これも静音性を高め、振動を分散させるためのもの

 

↑前ポケットは、上下、左右の4方向から開けることができます

 

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