ライフスタイル
2020/2/7 18:30

ロンドン旅行をもっと特別な体験に! 「ボリスバイク」の上手な使い方

ロンドンで旅行者が最も頻繁に利用する交通機関は、地元で親しまれている市営地下鉄です。ただ駅の構内は思ったより広く、通路も長いので、苦労することもしばしば。バスも便利ですが、交通渋滞が気になります。そこで便利なのが、市内を安く、早く、手軽に移動できるエコなモビリティサービスの市営レンタルサイクル。

 

2010年に導入された市営レンタルサイクルは、利用者数が年々増え続けています。2018年には年間82万人が使い、8年間で利用回数は計7700万回にまで膨らみました。増えるニーズに対応すべく、ドッキングステーション数も増強。本稿では、この市営レンタルサイクルの使い方と注意点について説明します。

 

基本的な使い方

↑「ボリスバイク」と呼ばれるロンドンの市営レンタルサイクル

 

ネイビーと赤を使ったロンドンの市営レンタルサイクル「Santander Cycles」は、前の市長ボリス・ジョンソン(イギリスの現首相)の名前をとって「ボリスバイク」とも呼ばれています。市内各所にあるドッキングステーションで借りられ、場所は街のあちこちに掲示された地図で確認可能。スマホに専用アプリをダウンロードしておけば、最寄りのステーションを検索できます。

 

ステーションの販売機で現金は使えず、クレジットカードかデビットカードでチケットを購入。数台一緒のレンタルを選択することもでき、英語が苦手な方は画面の操作言語を日本語に変えることもできます。

 

チケットのロック解除コードを自転車ドックに入力し、緑のランプが点いたら、10分以内に自転車を取り出さないといけません。ロックが解除されない場合、同じステーション内の別の自転車に入力すると取り出せる場合もあります。アプリを利用していれば、解除コードはスマホに自動送信されます。

 

乗る前には、念のためにブレーキやタイヤの空気圧をチェック。サドルの高さはレバーを使って調節できます。自転車はかなり重く頑丈で、荷台は付いていないものの、前側に荷物を挟める部分がありストラップで固定できます。ギアは3段式。前と後ろにライトもついています。

 

料金は2ポンドで24時間乗り放題。ただし、自転車を取り出して30分経ったらいったんステーションに返却し、販売機で再レンタルの手続きをする必要があります。30分以上使用すると、その後30分オーバーするたびに2ポンドの追加料金がかかってしまうので要注意。30分以内に返却すれば何回使用しても追加料金はかからないため、その都度再レンタルすればお得に利用することができます。

 

2度目以降の利用については、前回使用したカードを販売機に入れると次の利用のためのリリースコードが出てくるので、これを使って自転車をレンタル。この操作を1日何度も繰り返すことができます。

 

アプリを使うと便利

返却はどのドッキングステーションでも可能なものの、注意点が1つあります。自転車を戻すと、返却を示す緑のランプが点灯しますが、もし点灯しない場合は返却されていないことになり、30分を超過すると追加料金を払う羽目に。どうしても点灯しない場合は、別の自転車ドックに入れてみてください。

 

また、返却しようとステーションに行っても、満車で駐輪できるドックがない場合もあります。そのときはチケット販売機で「No docking point free」ボタンを押して画面の指示に従えば、別のステーションに返却しに行くまでの15分が無料に。専用アプリを入れておけば、返却可能なステーションが事前にわかります。

 

そのほかにも、スマートフォンに専用アプリを入れておくことで、最寄りのステーションの検索やロックコード解除コードの確認がよりスムーズに。アプリ上でカード情報を登録し、年間契約することもできます。

日本と違うイギリスの自転車ルール

↑ロンドンでは自転車専用道路が整備されている

 

イギリスで自転車をレンタルするとき、日本と同じような感覚で自転車に乗るとマズいことになる可能性があります。日本で大丈夫なこともイギリスではすぐに違反とみなされたり、ほかの人との諍いになったりすることも。事前にルールを把握しておくことが大切です。

 

一番大事なのは、「歩行者と自転車の共有」の標識がある場所以外は、自転車で歩道を走れないことです。道路の左側に自転車専用道路があるので、そちらを使ってください。ただし、まだ自転車に乗り慣れていない子どもや、道路が危険すぎて自転車は安全に走れないと判断される場合は例外となります。

 

日本でも自転車利用の交通ルールがあるものの、「歩道を自転車で通行できない」原則は、まだ必ずしも日本で順守されているとは言えないでしょう。イギリスでは場合によって、その場で罰金を支払わされることもあります。

 

次はライトについて。ボリスバイクの場合は、反射板とは別に前後2か所にライトが付いているので問題ないものの、ロンドンでは個人の自転車も前後にライトがついていないと違反になります(ちなみに、ボリスバイクはレーザーライトが搭載されており、緑色の自転車が道路に投射されることも特徴)。

 

ブレーキも必ず2つ必要です。公道では、ピストバイクやBMXバイクといった前輪と後輪にそれぞれブレーキが付いていない自転車に乗ることは違反。2人乗りも、乳幼児を安全な専用座席の前か後ろに乗せている場合を除いて禁止です。

 

交通量の多いロンドンでサイクリングするのは危ないと思う方もいるかもしれませんが、市内は平坦な道が多く、自転車専用道路もしっかり整備されています。イギリスは日本と同じ左側通行で、ヨーロッパ諸国などに比べるとロンドンの自動車ドライバーのマナーも比較的良いでしょう。難を挙げればロンドンは雨が多いことですが、日本と違い本降りになることは少なく、しとしと降って止む場合が多いので、フード付きパーカーがあれば事足りるかもしれません。

↑日曜日の午後に自転車でロンドンを巡る人たち(Photo by Swaminathan Jayaraman on Unsplash)

 

ロンドン市内の観光名所や街並みを安く手軽に楽しく移動することができるボリスバイク。EU離脱を成し遂げたジョンソン氏が首相の座にいる間に試してみると、少し特別な思い出になるかもしれませんね。