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2020/2/23 17:30

PTAスリム化を妨げるのは誰だ!――飛び交う噂、昨日の味方は今日の敵!?

あなたの知らないPTAの世界~第5回~

 

【第1回】PTA本部役員への道……それは、1本の電話から始まった!!
【第2回】PTAはやっぱりブラック!? 怒涛の忙しさのなか緊急事態発生!!
【第3回】PTAは誰のため?――対決!! 「PTA活動ゼッタイやりたくない!」ママ vs. 本部役員!!
【第4回】PTA史上最大の作戦!――公園の掃除から畑仕事まで「地域行事」はトラップだらけ!!

 

一年間PTAの本部役員を頑張れば、末っ子が中学を卒業するまでPTAの委員を免れられる「永久免除」、略して「永免(えいめん)」制度を求めて、現在身を粉にして奉仕活動をしている真っ最中。

 

信頼できる仲間のおかげで、基本は平和に活動していますが、ちょくちょくPTAに食って掛かってくる保護者たちが出現。そのたびに円満に解決する方法を模索している今日このごろです。目下の任務は「いかに委員の仕事を減らしていくか」これに尽きます。

 

さて、そんななか2学期最大の行事・運動会の日がやってきました。

 

 

全委員で一致団結して、不審者を撃退せよ!

できるだけ委員の仕事を簡素化するよう努力していますが、運動会だけはどうしてもPTAの力が欠かせない! というわけで、朝7時半に集合し、すべての片付けが終わる夕方まで全委員総出で働きましたよ。疲れた!

 

といっても、力仕事が続くわけではなく、メインは受付と校内パトロールを交代制で担います。つまり、不審者が侵入できないように、スクラムを組むかのごとく受付を委員で固め、定期的に校内を見守りするというわけです。

 

学校内にいる人は、先生か児童、もしくは保護者証をつけている人のみと徹底。保護者証を持っていない人は受付で名簿に記入してもらい、仮の入校証を渡します。「あくまでも体育の授業の一貫なので、本校の児童と関係がない人は、どんなに善良そうな近所の人でも入場をお断りする」。これ、簡単な仕事のようで、結構大変。

 

というのも、もともと保護者証がなくて観覧に来ている児童の親戚や卒業生に加えて、保護者証を忘れてくる保護者が少なくないんです。

 

事前に「保護者証を忘れた場合は、家まで取りに帰っていただきます」とまでお知らせに記されているというのに! まあ、本当に追い返すほど鬼ではないので、忘れた人にも仮の入校証を渡しますけども。

 

徐々に埋まっていく受付用紙を見ながら、「もー、なんでこんなに忘れちゃうかね~」なんて受付の委員さんと愚痴っていたら、そこに娘2人を連れた旦那がやってきました。

 

PTA本部メンバーに家族を紹介するのは、意外にもこれが初。「いつもお世話になってます」「いえいえこちらこそ」なんて挨拶をして、さあ息子がいる場所を案内しようかと旦那を見ると……

 

私「あれ、保護者証は?」

旦那「え?(なんのこと?)」

私「へ?(まじか!)」

 

そうだ、朝出てくるのが早すぎて、どこに保護者証があるかを伝えずに来ちゃったんだっけ。やっちまった!

 

本部メンバー大爆笑、委員さんにニヤニヤと見守られる中、受付用紙に記入して、臨時の入校証を受け取ったのでした。ああ恥ずかしかった! ほんますみません……。

 

さて、不審者対策のため、保護者証が確認できない人には、どうしても声を掛けざるを得ません。すると、舌打ちしながらポケットから保護者証を出して、にらみつけるように通り過ぎていく男性や、「持ってるし!」と吐き捨てていく女性も。こっちだって、疑いたくて声かけてるわけじゃないんだよ… 嗚呼、PTAって辛い役回り……。

 

途中、明らかに児童と関係がない人、身なりや言動が見るからに怪しい不審者と思しき人も数名やってきましたが、カイチョー(会長)とにいやん(副会長)がダブルで大きな壁となって華麗に防御。やっぱり、こういうときに男性がいると助かります。

 

それに、委員皆がおそろいのベストを着ていたことも、功を奏したかもしれません。旗振り当番用に蛍光色のベストを新調したんですが、これがかなり目立つ! 着てるのが恥ずかしいくらい、目立つ!(苦笑)このベストがズラリと受付に並んでいるだけで、不審者に対して結構な抑止力があったように感じます。

 

こうして、大きなトラブルもなく無事に運動会は終了。我が子の応援を最優先にしつつも、委員さん同士サポートしあって仕事を進めてくれたおかげです。今年のPTA、なかなかうまくまわってるじゃーん! なんて思っていたのですが。

「委員の人から不満が出ているらしい」というタレコミが!

ある日、会長からこんなLINEが届きました。

 

「どうやら、今年のPTAの体制に不満を持っている委員さんがいるらしい。詳しくは、今度の役員会で」

 

なんですと……!?

 

驕りかもしれないけど、普段から逐一様子を伺い、意見を聞きながら進めていたし、つい先日も委員さんに無記名のアンケートをとったばかり。改善点などの意見はあったものの、不平不満は見当たらなかったから、正直そんな話は寝耳に水です。

 

迎えた役員会の日、カイチョーの顔を見るなり、皆で質問攻め! なんでも、

 

「PTA活動のスリム化を掲げたはいいけど、委員の負担はむしろ大きくなってるらしい。このままじゃ、来年の委員選出くじのとき、揉めるに違いない! 今年のPTAはどうなってるんだ!」

 

と、地域の人たちから取り囲まれてお叱りを受けたとのこと(怖)。そして、不満を言っているのが、現委員さんだというのです。

 

PTAの仕事を可能な限り淘汰していくことに対して、基本は良い反応ばかりだと思っていたから、衝撃でした。もちろん、スリム化のしわ寄せが少なからず起こっている、というのは事実。

 

たとえば、広報委員会をなくして年4回発行していた広報誌を年1回に、その制作は書記である私が請け負いました。土日活動委員会の運営を委員さんに任せていたのも、副会長のあかねんが主となって仕切ってます。

 

そんなこんなで、むしろ本部が引き継いだ仕事が多くて、ちょっと自分たちの首を絞めている部分はあるけど、委員さんの負担は少なくなってるはずなのに。私たちと接するときは「大丈夫です!」と言ってくれてたけど、陰では苦しんでたの……?

 

どうにも腑に落ちないのが、「委員の人から聞いた」という話の内容が抽象的すぎる点。「〇〇らしい」ってことしか出てこない。本当に、今年の委員さん本人が言ってることなのだろうか。

 

また、放課後クラブや土曜日教室で接する学校外の人たちからも、「(スリム化より前の)PTAの運営のほうが良かったのでは」といった声が漏れ聞こえるようになりました。

 

まさか、誰かが今年のPTAを潰そうとしている……!?

 

なんだかあまりにも事実と違う点が多く、一体情報元はどこなのか各方面いろいろ調べていくと、PTAに対する不満をあちこちで触れ回っている数人の人物が判明しました。

 

それはズバリ、現委員さんではなく、過去のPTA本部役員経験者だったのです。

 

 

誰もが「現段階が最良」だと思いたい。それが人間の性……

つまり、こういうことです。かつて自分たちが本部をやっていた頃、つまりスリム化を実現する前は、大変な部分もあったけど、それでうまくまわっていた。

 

なのに、去年のPTAはスリム化だなんていって円滑に進んでいたシステムを変えた! それに準じて進めている今年の本部もどうかしてる! そんなのうまくいくはずない! と憤慨している様子。

 

本部経験者ゆえに、地域の人ともつながりも濃い。だから、ことあるごとに「今年のやり方はヒドイ」とか「以前のPTAの方がよかった」ということを伝えているようなんです……。

 

かつてPTA本部役員をやっていた人で、現在も地域の活動に関わっているケースも多いから、そちらからも「なんでもかんでも委員会をなくしたらいいってもんじゃない! 昔のやり方がよかった!」みたいな意見が出てきている模様。

 

だからって、委員さんが言ってた風に虚偽の事実を伝えるとか、想像だけで「今の体制は良くない」って決めつけるなんて、あんまりじゃない?

 

はじめは、正直腹が立って仕方なかった。でも、最近はこうも思います。

 

いま私たちは一年間かけて話し合って、アンケートも取ったりして、最良の活動ができるようにPTAスリム化を進めているわけで、それを、たとえば来年以降の本部役員さんが真逆のやり方で進めるようになったら。

 

ちょっと、せっかくいいシステムを作ったのに、なにやっちゃってくれてるの? って思うよね。やっぱり、いい気はしない。

 

せめて、どうして今の組織運営に至ったか、その過程と想いだけは伝えたい。そのうえで、新しいメンバーが方針をひっくり返すと決めたのなら、やむなしとしても。

 

いま、やいのやいの言ってきてる本部役員経験者の人たちは、そんな気持ちなのかな。

 

じつは最近の私たち、旗振り当番をどうしていくか、来年度の委員免除規定はどうするかなどなど、ちょっと今後の方向性に行き詰ってました。そこに、今回の出来事が起こったおかげで、ここまでPTAを繋げてきてくれた歴代の本部役員さんたちの存在に気づけたんですよね。

 

だから、半年以上経って今更なんだけど、あらためて去年の本部さんたちに声をかけて、どんな想いでPTAスリム化を進めてきたかを聞くミーティングを開いたりもしました。

 

そりゃ、誰だって”今“が最善だって思いたい。だって、そう信じてこのボランティア活動に膨大な時間を費やしてるわけだし。

 

でも、やっぱりこれまで築き上げ、バトンを繋いできてくれた人たちことも、念頭に置いて活動していかなきゃいけないんだなーと、学びました。ひとつ大人になれたかも(笑)。

 

これって、会社とか、大きく言ったら政治とかでも一緒よね。PTAって、規模は小さいけど、やっぱりひとつの組織なんだな。そんなことに気づいた秋の日でした。

 

まだまだPTA本部役員の道は続く!

 

 

 

イラスト/環えり