ライフスタイル
2020/10/12 14:00

パパ、「水で焼くオーブン」ってどういうこと? ――意外と説明できない家電の仕組みをマルっと解説!

GetNaviプロデューサー・松井謙介。出世しても現場主義は変わらず、日々編集部員にゲキを飛ばす熱い男だ。そんな松井も家に帰れば二児の父親。子どもにいいところを見せようと、時には得意気に最新家電の知識を話すこともある。

 

「シャープのヘルシオっていうウォーターオーブンは、その名の通り水で焼いているから食材が美味しくなるんだ! すごいだろ~」

 

すると、子どもらしい直球の質問が飛んできた。

 

「ねえ、“水で焼く”ってどういうこと?」

 

・・・言われてみれば、もっともな疑問だ。いや、知識として原理的なところはわかる。しかし、子どもにわかりやすく伝えるにはどうしたらよいのか――。さんざん悩んだ末、頼った先は家電王・中村 剛さん。中村さんは自身が出演する東京電力エナジーパートナーの動画メディア「くらしのラボ」で家電に関する情報を発信しており、以前にその撮影現場にお邪魔した際には動画の迫力に大いに驚かされたものだ。動画なら、子どもにもわかりやすく伝えられるかも…?

<前回のくらしのラボ撮影現場レポートはコチラ>
https://getnavi.jp/life/444536/

 

なるほど、こうなっているのか! 仕組みが見えるってわかりやすい

「それなら、試しに実験をしてみましょうか」

 

家電王のそんな言葉に誘われ、足を運んだのは前回もお邪魔した廃工場スタジオ。一見スタジオとは思えないその佇まいに以前は躊躇したものだが、2回目ともなると余裕がある。安全に撮影するためにこの巨大スタジオが必要なことは以前の取材でもうわかっている。

↑約1年ぶりに訪れることになった廃工場スタジオ。前回はここで家電の安全性に関する動画の撮影を見学させてもらった

 

スタジオに入ると、すでに撮影は始まっているようだ。家電王の目の前にあるのは水を入れたフラスコとそれを熱するアルコールランプ。フラスコからは銅管が伸びており、逆側の先端からは水蒸気がシュウシュウと吹き出ているようだ。なんだかいかにも「実験」という印象だ。

↑昔の理科の実習授業を彷彿とさせる実験器具が並ぶ

 

どうやら、フラスコ内の水を沸騰させて水蒸気を発生させ、水蒸気の通り道である銅管をガスバーナーでさらに加熱することで「100℃以上の温度の水蒸気=過熱水蒸気」を作り出しているようだ。冒頭の「水で焼く」オーブンというのは、この過熱水蒸気を利用している。……という原理についてはわかっていたつもりだが、目の前で過熱した水蒸気によって紙が焦げていく様子を見ると驚かされる。実際の様子は次の動画をご覧いただきたい。

 

「水で焼く」の何がイイ? 過熱水蒸気はメリットだらけ

↑過熱水蒸気について話をする家電王・中村 剛さん(左)とGetNaviプロデューサー・松井謙介

 

松井:家電王、撮影お疲れ様でした! 最近はどのメーカーもオーブンレンジの上位機種には「過熱水蒸気」機能を搭載していますが、あの過熱水蒸気オーブンレンジのなかではこんな風に蒸気が加熱されていたんですね。一般家庭で実験道具をそろえるのは難しいので、こうやって動画にして配信してくれるのはありがたいです。

 

中村:ありがとうございます。ところで松井さん、過熱水蒸気で調理するメリットってわかりますか?

 

松井:うーん、たとえば今回撮影に使っているシャープの「ヘルシオ」シリーズは、水の力で余計な塩分や油分を落としてくれるから健康的だといわれていますよね。あと、たしか過熱水蒸気が冷やされて水に戻ろうとする力を利用するので、普通の熱風式オーブンよりも効率的に食材を加熱できるとか。

 

中村:さすがですね。そう、過熱水蒸気調理は蒸気が食材に触れて冷えることで水に戻るという「凝縮熱」を利用するんです。同じ温度の熱風式オーブンと比べると約8倍のエネルギー量があると言われているんですよ。

 

松井:8倍は凄いな!

 

中村:あと、先ほど「いろいろなメーカーから過熱水蒸気オーブンレンジが出ている」という話がありましたが、今回撮影で使ったシャープのウォーターオーブン「ヘルシオ」シリーズはちょっと特殊なんです。実は、他メーカーの過熱水蒸気調理は過熱水蒸気とともにヒーターや電子レンジも併用して加熱するのですが、シャープは「過熱水蒸気だけ(※)」での調理ができるんですよ。

※レトルトの温めなど、一部機能では過熱水蒸気ではなく水蒸気を利用

↑今回の実験で使用されたのは、ヘルシオシリーズのなかでも2020年6月に発売されたばかりのハイグレードモデル「AX-XA10」

 

松井:へえ~、これだけ特殊なんですね。でも、なんで水蒸気だけで調理する必要があるんですかね? 感覚的には、ほかのメーカーみたいに加熱方式を複数併用したほうが早く調理できそうなのに。

 

中村:水蒸気だけで調理することで大きなメリットはふたつあるんです。ひとつは複数の食材を同時に加熱調理できること。過熱水蒸気というのは温度の低いほうに多くの熱を与えるという特性があるんですね。なので「冷凍しておいた食材と、冷蔵や常温の食材」など、温度の異なる食材も一度に調理できるんです。

また、庫内の密閉性が高いので、過熱水蒸気で満たすことで酸素を追い出して食材の酸化を抑えることもできます。

 

松井:普通に考えたら火の通りが早い食材が焦げたりしそうなもんですけどね。

 

中村:先ほど撮影で調理した食材があるので試食してみますか? 撮影では上下2段で常温の生野菜と調理済みのコロッケを過熱水蒸気で調理しました。普通のオーブンで調理すると、ニンジンが中まで柔らかくなるころにはコロッケが焦げてしまいますよね。

↑過熱水蒸気で調理した野菜や揚げ物を試食!

 

松井:うわ! ニンジンが中までホクホクで甘い! なのにコロッケは焦げてないし衣がサックサク! 撮影中にこんな美味しいもの食べていたんですか!

 

中村:水蒸気だけで調理するもうひとつのメリットは、なんといっても食材を選ばないことですね。たとえば、レトルトパウチのカレーはパウチごと温められますし、その横で市販のパックご飯も同時に温められる。さらに生卵を入れてゆで卵を作ることまでできます。これは他の加熱方式では絶対できないことですよね。

 

松井:食材を入れてボタンを押せば、あとは待つだけで調理できるということですね。子どもがいるうちみたいな家庭では大助かりだな。

 

スタジオに煙が!? 家電の実験はまだまだ続く!

松井:今回は過熱水蒸気の仕組みだけではなく、過熱水蒸気調理のメリットまで詳しく教えてもらい、かなり得した気分です。早速家に帰ったら子どもに教えないと。

それにしても、やっぱり動画の力は凄いですね! 自分も理屈は知っていたのですが、実験映像を観て仕組みを知ることで「知る」だけじゃなく「知識を自分のものにする」ことができた気がします。文章を扱う人間としては少し悔しいですが、やっぱり映像のインパクトは認めざるを得ません。

 

中村:多くの人にわかりやすく伝えたいので、そういってもらえると嬉しいですね。

 

松井:なんといっても映像なので子どもでもわかりやすい。うちの子はもう大きいですが、難しい言葉がわからない年齢でもこれなら理解できるんじゃないかな。あと、家ではできない実験を見るのは大人でも単純にワクワクしますね。

 

中村:「家電の勉強」だと感じさせずに楽しみながら見られる映像の工夫をしているので、そう感じてもらえたならよかったです。ところで松井さん、実はこのあともうひとつ実験をするんですが、せっかくだからそちらも見て行かれませんか?

 

松井:え! まだ実験があるんですか??

 

続く!

 

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<次回予告>

↑次回の撮影の様子をチラ見せ。ものすごい煙だが、いったい何をしているのだろうか…?

 

撮影/我妻慶一