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2022/8/14 20:30

夏休みの自由研究で「感染確率アプリ」を開発! 天才プログラミング小学生現る

学研キッズネットが毎年夏に開催している自由研究コンテスト。そこで突出した能力で審査員を驚かせた少年がいた。2019年と2020年の2年連続で最優秀賞と特別賞を受賞した濵田康平くんだ。一体どんな子なのか気になり、現在中学1年生になる康平くんとお父さんに話を聞いた。

 

小学生でコロナの感染確率を自分で考え、アプリに!!

「新型コロナウイルスのリスク計算アプリや二酸化炭素濃度センサーを作った」と聞いたら、あなたは何歳くらいの人物を想像するだろうか? 大人の、それも研究者や専門家が作ったと思わないだろうか。それが10歳ちょっとの小学生が作ったというのだから驚きだ。

 

濵田康平くんは学研キッズネットの自由研究コンテストで、小学5年生の時に「新型コロナウイルスのリスク計算アプリ」で最優秀賞を、小学6年生の時に「二酸化炭素濃度センサーの製作と計測データの考察」で特別賞を受賞した。

 

↑「新型コロナウイルスのリスク計算アプリ」。人口や家族の人数など、それぞれの数値を入れていくと、家族が感染する確率やイベント等での感染確率などがわかる

 

↑「二酸化炭素濃度センサー」。二酸化炭素濃度センサーをマイコンにつないで、自動的にデータが取れる仕組み

 

学研キッズネット「夏休み!自由研究プロジェクト」

 

なぜ、こんな難しいテーマを思いついたり、作ったりできるのか、製作のきっかけや経緯を聞いてみた。

 

「新型コロナウイルスのリスク計算アプリは、家族の誰かが感染する確率を知りたいと思ったことがきっかけです。まず、自宅にあった数学や統計の本を参考に計算式を考えていきました。

 

最初はエクセルで計算していたのですが、より多くの人にも使ってもらうため、Visual Studio Codeというソフトを使ってHTMLとJavascriptというプログラミング言語でコードを書いてアプリを作り、GitHubというプラットフォームで情報公開しました」(康平くん)

 

自分で感染確率の計算式を作ってしまうところが、まず驚きだ。さらにプログラミングを使ってアプリに落とし込み、公開までしてしまう知識と能力。筆者が同じ年の頃は、掛け算のたすき掛けに苦戦していた憶えがあるから、凡人との違いは歴然だろう。

 

「二酸化炭素濃度センサーを作るきっかけは、コロナの感染を防ぐためには密を避ける必要があり、二酸化炭素濃度が1000 ppmを超えないようにすることが有効だと知ったことです。お父さんが二酸化炭素濃度測定器を買ってきたのですが、自動的にデータを取ることができなかったので、装置を自作しようと思いつきました。

 

Raspberry PiとM5Stackというマイコンに二酸化炭素濃度センサーモジュールを組み合わせ、それぞれPython3とAnduino というプログラミング言語を使って、自動的に二酸化炭素濃度を測って記録できるようにしました。はんだごての使い方や電子回路の読み方は、前におじいちゃんから教わりました」(康平くん)

↑マイコンと二酸化炭素濃度センサーをつなぐため、プリント基板やジャンパー線をはんだ付けしているところ

 

身近な課題に気づき、適切な情報を見つけて実際に調べたり、データが取れないなら「自分で作ってみよう」という発想や行動力が素晴らしいと感じた。そして、それらを実現させる能力は並大抵ではない。

 

小1でプログラミングに出会い、小3で電子工作にはまる

康平くんとプログラミングとの出会いを聞いてみた。

 

「小学校1年生の頃です。5つ上の兄が、画面上の絵を動かして遊びながらプログラミング言語を覚えられるScratchを教えてくれました。そこで面白さを知りました」(康平くん)

 

プログラミングに触れていろいろな「物の仕組み」を知りたくなった康平くん。小学3年生の時、当時住んでいた中国で日本の秋葉原のような「中関村」という地区に連れていってもらい、お父さんと一緒にたくさんの電子部品を買い込んだ。

 

「中関村に行っていろいろなものを見て刺激を受けたことが、プログラミングや電子工作にはまる良いきっかけになったのだと思います」(お父さん)

 

そして初めて作ったのが、反射型赤外線センサを利用した「おつまみフィーダー」。お父さんの食べ過ぎを心配し、柿ピーなどのおつまみが適量ずつ出てくる装置を考えた。

↑「おつまみフィーダー」。横のレバーを押し下げると、ランプの点灯とともに警告音が鳴り、おつまみが適量だけ出てくる

 

それから徐々に電子工作にはまっていき、次に作ったのが「走る模型電車」。紙粘土で模型の電車を作り、走ったり止まったりという動きができるようにプログラミングした。こうして小学4年生の頃から本格的にプログラミングにのめり込んでいく。

↑「走る模型電車」。RaspberryPi とプログラミング言語のPythonを使い、動きをコントロール

 

自主的に勉強する理由は「〇〇だから」

↑現在中学1年生の康平くん。まだあどけない顔つきだが、その能力は大人顔負け

 

「プログラミングの勉強方法は、最初に本を見てざっと把握してから、あとはインターネット検索で調べていきます。昔はゲームのマインクラフトなどもやりました」(康平くん)

 

親が教えなくても、自分でどんどん学習していく康平くん。普段も、「勉強しなさい」などと言われなくても自主的に勉強しているそうで、理由を訊ねたら「知りたいことがいろいろあるので、それを自分で調べたいから」だそう。

 

好きな教科は数学で、応用系の分野に興味があるのだとか。一日の勉強時間は1時間ほど。特別長くはないが、自分から積極的に学んでいるので学習効果は高そうだ。

 

部活は吹奏楽部。数学も音楽も工作も得意のようだが、苦手な教科なんてあるのだろうか。すると、「社会など暗記系は苦手」という答え。少しホッとした。

 

「小さい頃、学研の図鑑を毎日開いて見ていました。今は科学雑誌の『Newton』が好きです。コロナが流行する前は、家族でよく上野の国立科学博物館に行き、元素などの科学系の展示を見るのが好きでした」(康平くん)

 

図鑑の中でもリニアモーターカーや洗濯機などの仕組みがわかるものが好きだったようで、一貫して科学好きな康平くん。

 

「興味のないものはすぐにあきらめてしまいますが、興味のあることには真剣に取り組みます」(お父さん)

 

工作の作業を始めたら没頭して、一気に完成させてしまうことも多いのだとか。好きなもの、熱中できるものを見つけて打ち込んでいる康平くんが輝いて見えた。

 

天才少年を育んだ家庭環境とは?

ご両親は、何か特別な子育てをしてきたのだろうか。

 

「変わったことはしていませんが、寝室やリビングには、子どもがすぐ手に取って読むことができるように、歴史マンガや図鑑などを数冊置いていました。

 

それから、興味の持ち始めの時期を特に大切にしてきました。電子回路に興味を持ち始めたら、関連する本を図書館でたくさん借りてきたり、そこで興味を持ったら、本人が希望する内容の本を購入したり。さらに、休みを利用して博物館へ連れて行ったり、実際に道具を一緒に揃えて作ってみたりしたこともありました。」(お父さん)

 

特に変わったことはしていないと口にするが、子どもが興味を持ったことにとことん寄り添い、必要な環境をできる限り用意しているお父さんの姿が見受けられた。

 

さらに、「健康でいてくれることを何より願っていて、それ以上のことは望んでいません。特別なことはしていないですが、1つだけやっていることがあります。毎朝、一番初めに外出する人に玄関で家族全員が握手をして『ありがとう、いってらっしゃい』と言うことです」とも。

 

普段からお互いを大切にし合い、支え合っているご家族の様子が伺える。そうした安心感が、康平くんの才能の根っこにはあるのかもしれない。

 

ただ、こんな悩みもあるそう。

 

「子どもにプログラミングをさせたいと思ったら、パソコンを自由に使わせる必要があるので、ネット検索など、なかなか安全対策が取れないことが悩みです」(お父さん)

 

そこで、独自のルールを作り安全対策に努めている。

 

≪濵田家のパソコン使用時のルール≫

・パソコンはリビングに置き、何をやっているか家族がわかるようにする

・家族アカウントで、年齢による使用制限をかける

・利用時間を決める(1日に1時間程度)

・検索キーワードや訪問履歴をあとで親が確認する

・ネットの怖さを折に触れ伝える

 

子どもが安全にプログラミングできる環境作りが喫緊の課題で、最近、同じような悩みを持つ親たちと情報交換をする場を作ったそうだ。

 

一瞬で頭の中に設計図が!!

↑kurosuke/Shutterstock.com

 

康平くんは、普段から面白そうなことがあると、「パソコンを使って何か作れないか」と考えていて、目下テーマを探しているところだそう。人と同じものは嫌なので、テーマ選びが難しいのだとか。

 

そこで、急きょ編集部から「雨が降ってきたら自動的に洗濯物を取り込める装置が欲しい」とリクエスト。すると、わずか3秒ほどで「脳内に設計図ができました!」と康平くん。驚異的なスピードだ。

 

「雨量センサーが雨を感知したら、竿を引っかけているツメが動いて、物干し竿がガタっと落ちる仕組みはどうですか?」(康平くん)

 

「それじゃ洋服がグチャグチャになるよ」と隣でお父さんが笑っていましたが、いえいえ十分です!!

 

将来の夢を聞くと、「ビル・ゲイツのような人になりたいです。WindowsやGoogle、Facebookのような大勢の人が使ったり楽しんでくれるものが好きで、そうしたプラットフォームを作りたいと思っています」とのこと。

 

自分で作りたいものを作って終わりにするのではなく、人に使ってもらうことに喜びを感じているという康平くん。いつか、康平くんの作ったまったく新しいサービスを世界中の人が使う日が来るかもしれない……。

 

(取材・文 清野 直)

 

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