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2023/5/20 20:00

映画監督・足立紳、妻の会社に就職。しかし給料はナシ! 家族揃って新生活が始まる4月

「足立 紳 後ろ向きで進む」第37回

 

結婚21年。妻には殴られ罵られ、ふたりの子どもたちに翻弄され、他人の成功に嫉妬する日々——それでも、夫として父として男として生きていかねばならない!

 

『百円の恋』で日本アカデミー賞最優秀脚本賞、『喜劇 愛妻物語』で東京国際映画祭最優秀脚本賞を受賞。2023年のNHKの連続テレビ小説『ブギウギ』の脚本も担当。いま、監督・脚本家として大注目の足立 紳の哀しくもおかしい日常。

 

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4月1日(土)

「映画遠足」というイベントで大勢のお客さんが『雑魚どもよ、大志を抱け!』を観に来てくださった。鑑賞後、参加者と懇親会。皆さん、いろんな意見や感想をたくさん言ってくださり大いに盛り上がった。観た直後の方々とこうして直接お話できる機会はそうないので非常に楽しく時間はあっという間に過ぎてしまい、もっと交流したかったので二次会へ。終電間際まで久しぶりに飲んだ。

 

4月3日(月)

午前中、仕事。午後から息子と中野のまんだらけに行く。春休み中の娘にも声をかけるが、娘は朝からスマホで『新世紀エヴァンゲリオン』にロックオン。大ハマり。

 

ウチになぜか2巻まであった『漂流教室』の続きを息子が読みたいというので買いに行ったのだが、まんだらけに行くとついつい息子も私もハイテンションになり余計なものも買ってしまう。レクター博士のマスクとフレディの爪が欲しくてたまらなくなったが、買って帰ると妻が激怒するのは分かっているので、今回は何とか『漂流教室』の続きと『チェンソーマン』の2巻だけで耐えて、ラーメンを食って帰った。

 

夜、子どもたちの夕飯の準備をして妻と私は仕事の打ち合わせで新大久保へ。韓国料理をバクバク食いながら打ち合わせというか、まだ全くどうなるのか、海のものとも山のものともは分からない企画のうっすらとした話し合い。というか食事会。

 

新大久保まで自転車で行った。街は以前の若者でごった返していた竹下通りの様相。自転車で通行できず、引いて歩いた。まさか大久保にこれだけ若い女の子たちがたむろす日が来るとは思わなかった。そう言えば娘は韓国アイドルも韓国ドラマも見ていないが、服やメイクは韓国系を好んでいる。そして息子は、韓国ブームと関係あるのかないのか分からないが、マ・ドンソクと韓国ゾンビものが大好きだ。

 

4月4日(火)

21回目の結婚記念日。それを記念はしていないが、妻が会社を立ち上げたので私はそこの社員になった。

 

若いころ、いろんなアルバイトをした(というか8年前の42歳までアルバイトしていたから若いころでもないのだが)。そのころはとにかく正社員という言葉に憧れていた。なにかと言うと「正社員にしてあげようか?」とか「それじゃ正社員になれないよ」などと言われ続けたし、そのころはなによりも安定が欲しかったのだ(今も欲しいが)。なので、念願の正社員なのだが、給料はもらえないらしい。

 

※妻より

夫が「正社員にしてあげようか?」などと言われたことは皆無だと思います。「それじゃ正社員になれないよ」は百回くらい言われたことがあると思いますが。単なる見栄ですね。日記でさえも。毎回この日記で「いや、そーじゃねえだろ!」と突っ込みたい事は多々ありますが、下手に突っ込むと、これを読んでいる人から「愛を感じる」とか「のろけてる」などと言われることがあり(そう思われるのは大変心外)、またそれを聞いてニヤついている夫を見るとイラつきがおさまりません。だったら突っ込みなんか書かなきゃいいだろと思うのですが、突っ込まないと足立特有の解釈で有る事無い事好き勝手に書かれるのが癪で、結局突っ込んでしまいます……。

 

息子をレンタル先生宅へのお泊りに送りがてら、妻は法務局に会社設立の登記申請に行った。私はこういうことが一切できないので、全て妻に委託。なかなかに大変な作業のようで、妻は不機嫌だ。午前中で手続きが終わるとのことなので、午後は妻と娘と3人で昨日行ったばかりの大久保に娘のコスメグッズを買いに行く。

 

とりあえず「松屋」に入り安定のサムギョプサルを大量に食らう。昼食後、「イケメン通り」なる通りにて、韓国コスメと韓国厚底スニーカーを購入。娘は偉くご機嫌。その後、チーズボールやら、かき氷やら(このかき氷かなり豪華でフルーツもアイスも美味しかったし、かき氷は粉雪状だった。かき氷には一家言ある私も大満足)、抹茶タピオカなどを買い食いし、15時半に娘を帰らせ、私と妻は仕事に向かった。

 

4月5日(水)

午前中仕事。午後、娘と『シン・仮面ライダー』(監督:庵野秀明)を観に行く。娘は大いに楽しんだようだ。エヴァにハマっているので、監督が同じ庵野秀明だということで、帰りに寄ったハンバーガー屋で何やら語っていたが、『エヴァ』を観ていない私にはよく分からない。だが映画自体は私も楽しかった。

 

※妻より

二人して買ったばかりのパーカーにソース肉汁を垂らして帰ってきました…。全く落ちない。

 

夕方、息子がレンタル先生宅への一泊二日のお泊りから帰宅。勉強は疲れたようだが、妙に達成感を感じている様子。脳調がよい。明日から始まる新学期への不安感への吐露もいつもより少ない。

 

夜、家族4人で大富豪をやる。息子がトランプの輪に入れたこと、新しいゲームのルールを覚えようとしたことに感激。大富豪で泣きそうになってしまった。

 

4月6日(木)

始業式。息子はわずかな行き渋りを見せたがまあまあ順調に学校へ行った。昨晩の大富豪効果かもしれぬ。そういえば、いっときは朝に錦鯉やジャルジャルの漫才を見ると行けるときもあった。その時々で、背中を押してくれるものは違うが、やはり「笑」の力は強いように感じる。

 

4月7日(金)

娘の高校の入学式に妻と行った。1年8組の娘が入場してくるまでにはけっこうな時間を要した。

 

面白かったのは、各クラスによってマスク率が違うところだ。全員マスクのクラスもあれば、ほとんど全員マスクをしていないクラスもあった。

 

娘のクラスは全員マスクだった。娘はマスクをしていると何だか不機嫌そうな表情に見えてしまうので、新しい友達がすぐにできるか親としてはそんな小さなことでも不安になる。とにかく楽しい高校生活を送れるようにと願う。

 

4月8日(土)

朝からいつもの喫茶店で仕事。昼過ぎに家に戻ると朝一緒に出た息子がもう帰っていた。息子は友達と遊ぶと出て行ったのだが、会ってすぐに野球のルールのことでケンカになり、相容れずそのまま帰宅したらしい……。

 

4月9日(日)

朗読劇『したいとか、したくないとかの話じゃない』の記者会見に向かうため10時に家を出る。

 

出演者の方々と私も一緒に記者会見というものに出た。こういうものに出るのは初めてだったのでとても緊張してうまく話せなかった。まあこういうときでなくてもうまく話せないのだが。

 

その後、新宿武蔵野館で『雑魚どもよ、大志を抱け!』の主題歌を作って歌ってくださったインナージャーニーのカモシタサラさんと一緒に、主には主題歌についての取材を受けた。カモシタさんはまだ20代前半の女性で、私の娘でもおかしくない年だ。決して子ども扱いするわけではないが、「ほんとにめちゃくちゃいい子!」と言いたくなる人で、娘の姉にいてくれたらなんて思ってしまうのだが、これは気色の悪い発言なのだろうか? もうそんなことも分からない私にものを作る資格はあるのだろうか? まあそれはいいとして(良くない! と怒られそうだが)、カモシタさんと私が気に入った歌詞の部分が同じなのが嬉しかった。

 

「君の痛みは君だけのもの、美しい鱗になる」という箇所だ。

 

近ごろの世の中はとかく傷つかないように、傷つけないようにということでことが運んでいるように感じる。自分の子どもにしても、とにかく手厚い支援やサポートを受けさせたいと思ってしまうし、人間は人それぞれなのだから、そのそれぞれに合ったやり方、接し方をしようとかなりの理想論を私自身ができもしていないのに言うこともある。が、そう言いながら、心のどこかに「もう少し雑でもいいのでは?」という思いもなくはない。その「雑さ」でこれまでに傷ついてきた人がいて、当然変わるべきところは変わっていかねばならないと思いながらも、生きることはどうしたって傷つくこととイコールだとも思う。そうならない世の中は素晴らしいと思うが。

 

本日は映画の上映後にカモシタさんが弾き語りで主題歌を歌ってくださった。ジーンとした。

 

4月14(金)

今日から2泊3日で別府ブルーバード劇場に『雑魚どもよ、大志を抱け!』の舞台挨拶にいくために、早朝から仕事。15時過ぎの飛行機で羽田から大分空港に向かう。

 

大分空港では3年振りにお会いする映画ライターの森田真帆さんと、パートナーの田尻大樹君がお迎えに来てくれた。お二人ともブルーバード劇場に深く関わっていらっしゃる。1時間もかからず、別府ブルーバード劇場へ。92歳の支配人岡村照さんも、娘の実紀さんも相変お元気だ。

別府ブルーバード劇場の照さん(右から2人目)と実紀さん(いちばん左)

 

みなさんと近所のお店で一杯飲んで(照さん、生ビールは飲むし、ご飯もモリモリ食べるし、本当にお元気!)、上映後の劇場へ挨拶に行く。映画学校の同期で、『雑魚どもよ~』の制作部の太田さん(福岡在住)も観に来ていた。別府ブルーバード劇場のお客様は大変反応が良くて嬉しくなる。

 

その後、またお店に戻り、食事続行。23時ごろ、真帆さん、大樹君、太田さん、妻とホテルに行き、みなさんとお風呂からあがっても色々な話が止まらない。途中アメリカ人だかイギリス人だかのおじさんも入ってきた。午前4時前、体力の限界で倒れるように眠る。(真帆さんは朝一で沖縄映画祭に向かうとの事で、5時の電車で福岡に出発しました。タフ過ぎる)

 

4月15日(土)

寝たのは4時過ぎだが、8時には起きて、太田さん、妻、私の3人で鉄輪温泉の「蒸湯」に入る。野草の上に寝そべって10分蒸されるのだが、滝のように汗と毒素が排出され、野草のお陰で体中から良い匂いもする。週に三日は入りたい。

 

その後、GWに『雑魚どもよ~』を上映していただける日田リベルテ劇場に挨拶に。途中、『進撃の巨人』の壁のモデルになった大山ダムへ向かう。娘と息子は大の進撃ファンなので、写真を送ってやる。というか娘と息子を連れてこない我々はいかがなものかともちょっと思う。

 

大山ダムにて

 

その後、日田リベルテの原支配人にご挨拶し(映画館がカフェのようで、ミュージアムのようで、とても居心地がよかった)、映画館ブレンドのコーヒーをいただきながらいろんなお話を聞かせていただいた。地方でこういう劇場(というか空間)をやっているからこそ、むしろ目は世界に向いているという姿がとても印象的だった。家族と自分にTシャツとアロマを購入。

 

原支配人と

 

日田リベルテの館内

 

夕方、別府に戻り、ホテルのお湯につかってから60分のマッサージを受ける。妻は風呂の後、宿のマンガ(大量!)を読み漁っている。

 

20時ごろ、劇場に向かい、舞台挨拶。また後半30分ほどを、客席の一番後ろで見ていたのだが、ズビズビ鼻をすする音や、笑い声がしてとてもうれしかった。上映後に大樹君の司会で妻と私とで話したのだが、『喜劇 愛妻物語』で来たときもそう感じたが、この劇場のお客様は本当に反応が良くてうれしい。

 

別府ブルーバード劇場。ブルバのお客様は本当に温かくて、フレンドリーで、大変うれしく思います(by妻)

 

別府生まれの俳優、岩永丞威君(いちばん左)は、足立が脚本を書いた『デメキン』に出演してくれました。ちょうど別府にいらっしゃったとのことで、照さんが呼んでくれました。感謝です(by妻)

 

そのまま近所のお店で、大勢のお客様方と交流会。皆さまにご感想を一言ずついただいたり、他の映画の話もしたりして大変楽しい時間だった。そして、刺身、地鶏から、ピザまで何もかも美味しかった。ダイエットが完全に決壊した。

 

23時、ホテルに戻り、また大樹君と太田さんと風呂に入り、上がった後、妻も来て3時過ぎまでくっちゃべっていた。二日連続でこの時間まで起きていたのなんて何年ぶりだろう。とにかく楽しい二日間だった。

 

4月16日(日)

6時半にホテルのロビーで太田さんと待ち合わせして、空港まで送ってもらう。空港で地元の卵かけごはん定食を頂き(美味しかった)、太田さんと別れて8時半の飛行機に乗って帰京。

 

昼過ぎ、家に着くと、友達の家に泊まっていた息子が「喧嘩した」ということで家でテレビに没頭している。娘もスマホでアニメを見ている。これは家に居ても良くない時間が流れると直感が働く。

 

妻と私はそのまま家を出て、日曜はいつもの喫茶店が混んでいるので、かつてよく仕事場にしていた近所の高級マンションのロビーというのか、広い共有スペースで黙々と仕事をした。

 

4月17日(月)

今日は長野県の上田映劇の「うえだ子どもシネマクラブ」で『雑魚どもよ~』を上映していただくので私も少し話に行く。なので早朝から仕事をし、午後13時過ぎ大宮発の新幹線で長野県上田市へ。

 

高校生以下500円、声をだして笑っても泣いてもOK。学校に行けない子も映画を観に来ると出席扱いになるという素晴らしい試み。PG12が付いたこの作品をよく選んでいただけたとうれしくなる。息子も連れて来たかった。

 

4月18日(火)

息子の新しい担任の先生と面談して息子の特性を伝える。4年生のときの担任の先生からも引継ぎがなされていて、スムーズに話が進んで良かった。しかも今回の先生は、2年生のときに息子がほとんど行き渋りもなく学校に行っていたときと同様に優しい女性の先生だ。とにかく息子は男性の大声が苦手なのだ。それは家庭でもそうで、私が怒り狂った時は当然のこと、特に怒っているわけではなく、例えば「おーい、そのマンガ片付けろ」と少しの命令形になっただけで、メンタルを崩すこともある。最初は「なぜに!?」と私もイライラしていたが、今はようやくトリセツが少しずつ分かってきた。親でもそうなのだから、それを周囲に求めるのはなかなかなハードルだが、でも、言っておかないとならない……。

 

4月19日(水)

夜、武蔵野館で永瀬正敏さんとのトークイベント。

 

どうしてもこの役は永瀬さんに演じていただきたかっただけに、引き受けていただいたときはうれしかった。出番はさほど多くないが、自分の幼少期の記憶の中にいる人物を、とても魅力的に演じてくださった。池川君と永瀬さんが釣りをしながら話すシーンはこの映画の中でも大好きな場面の一つとなった。

 

トークイベントは非常に緊張したが、永瀬さんがボソボソとした物言いの中に時折りギャグをぶっこんでくださって客席から笑いもおこる非常にあたたかいイベントになった気がする。

 

そしてこの日は1年前に、『雑魚どもよ、大志を抱け!』がクランクアップした日でもあり、佐藤現プロデューサーの誕生日でもあったり、小学生のときの同級生が観に来てくれたりと(実に38年ぶりの再会!)いろいろと感慨深い日となった。

 

4月20日(木)

本日から朗読劇『したいとか、したくないとかの話じゃない』の公演が始まった。本日は篠原涼子さんと荒木宏文さんのコンビ。私は仕事で行けなかったが、盛況だったらしい。

 

4月22日(土)

佐藤仁美さんと山崎樹範さんのコンビの朗読劇を拝見。山崎さんのマザコンぶりに笑い、佐藤さんのラスト近くの夫へ向けた励ましの言葉のところで、自分で原作を書いておきながら、思わず胸にせまってしまった。

 

4月23日(日)

篠原涼子さんと山崎樹範さんのコンビの朗読劇を拝見。篠原さんの、何が飛び出してくるのか予想できない妻にハラハラしながら大笑いした。終了後、出演者の方と演出の新井友香さんらと軽く打ち上げ。篠原さんが、「こういう女性を演じてみたかった」というようなことをおっしゃってくれて(良いふうに解釈しすぎかもしれないが)、とてもうれしかった。

 

4月27日(木)

朝から夕方までひたすら執筆。

 

夜、キネマ旬報のKさんと飲む。わざわざ私の地元まで来ていただき、愚痴やら何やらいろいろと聞いていただく。Kさんにはこれまでたくさん応援していただいたのに、あまり期待に応えられていない自信がすごくある。いつかなにか恩返しできれば……と思うがその自信があまりないのが申し訳ない……。

 

4月28日(金)

朝から仕事。昼、気分転換に映画。『聖地には蜘蛛が巣をはる』(監督:アリ・アッバシ)。胸糞悪くも素晴らしく面白い映画だった。夜、息子がハマっているドラマ『ルーキーズ』を横からチラチラと観る。

 

4月29日(土)

本日、横浜ジャック&ベティにて『雑魚どもよ、大志を抱け!』の共同脚本の松本稔さんと舞台挨拶。観にてくれていた正太郎役の松藤史恩君も、無茶ぶりにも関わらず急遽登壇してくれて盛り上げてくれた。ありがとう!

 

昨日は初めて音声ガイド付きで観て、その後に視覚障害のあるお客様たちとも映画談義をさせていただきました! 臼田あさ美さんの演じるお母さんがとにかく好評で嬉しかった。

 

共同脚本の松本稔さんもおっしゃっていたが、音声ガイドというのは作品の一部なのだと今さらながらに改めて認識。ト書きよりも、ついつい文学的な(文学のことなど知りもしないのに)表現を私は求めてしまいがちだが、それは想像力を働かせるには邪魔なものなのかもしれない。これは、普段のシナリオ作りでもよく行われる議論だ。ガイドを作られている方も、映像系の大学や専門学校で一日だけでもいいから特別授業みたいなことはできないだろうかとおっしゃっていたが、それがないというのがもはやおかしいのではないかと感じた。

 

4月30日(日)

妻が逗子映画祭に明日まで行っていて留守にしているので、今日は娘と息子を連れて近所の回転ずしに行き、妻がいては食えないものを散々食って、その後に古着屋に寄って、娘と息子に服を買って帰宅。3人で楽しく過ごしたが、きっと妻はこう言うに違いない。

「お前は金と物でしか子どもの心をつかめない。それ、全くつかめてねえからな」

だが、私には私のやり方がある。

 

※妻より

「ハレ」状態でしか子どもの相手をできないのは、もったいないなと思います。ほぼ95%の「ケ」の日常を子どもと共に過ごしているからこそ、外食や服や漫画など、その場の欲だけで子どもを釣ることは意図的に止めています。もちろん私も子どもと外食も買い物も行きますよ。ただ、これは頻度の問題だけではない気もします……。

 

 

夜、録画していたEテレの西村賢太追悼番組『魂を継ぐもの〜破滅の無頼派・西村賢太〜』を観た。正直あまり面白くなかった。理由としては、なんだか余裕を感じるあのナレーションの文言と演出だ。「やれやれですね」と言った他人事というのか、ともすると上から目線のようにも感じたからだ。あの番組に出演されていた何人かの西村賢太に救われた方の目線で作ってほしかったなと思った。

 

中学生のときのクラス写真は良かった。不機嫌極まりない表情のようにも、どこか後ろめたいような表情にも見える俯いたままの中学2年生西村賢太に、カメラマンは声をかけなかったのか、あるいは何かかけたがあのままだったのか。ものすごいインパクトのある集合写真だなと思った。

 

【妻の1枚】

 

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【プロフィール】

足立 紳(あだち・しん)

1972年鳥取県生まれ。日本映画学校卒業後、相米慎二監督に師事。助監督、演劇活動を経てシナリオを書き始め、第1回「松田優作賞」受賞作「百円の恋」が2014年映画化される。同作にて、第17回シナリオ作家協会「菊島隆三賞」、第39回日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞。ほか脚本担当作品として第38回創作テレビドラマ大賞受賞作品「佐知とマユ」(第4回「市川森一脚本賞」受賞)「嘘八百」「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」「こどもしょくどう」など多数。『14の夜』で映画監督デビューも果たす。監督、原作、脚本を手がける『喜劇 愛妻物語』が東京国際映画祭最優秀脚本賞。現在、最新作『雑魚どもよ、大志を抱け!』は2023年3月24日に公開。著書に『喜劇 愛妻物語』『14の夜』『弱虫日記』などがある。最新刊は『したいとか、したくないとかの話じゃない』(双葉社・刊)。