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2023/6/20 10:30

タワマンの“夢”をリアルに映し出す。HARUMI FLAGで使われるVR「ミエルバ2」とは?

2021年に開催された東京オリンピック。晴海に設けられた五輪選手村の跡地では、新たな街・HARUMI FLAGの建設が進んでいる。その中核となるのが2棟のタワーマンションだ。臨海エリアを一望できることを最大のウリにしているこの物件だが、当然ながら、その眺望を体感できるのは建設が完了したあとになる。つまり建設中の現時点では、眺望を体験しながら購入検討することはできないのだ。

 

そんな問題を解決するために開発されたのが、VRシステム・ミエルバ2。前バージョンとなるミエルバは2019年に登場していたが、それが2023年に入ってからパワーアップしたのが現在のミエルバ2だ。この記事では、そのシステムの凄みをお伝えする。

↑選手村跡地に建設されている街・HARUMI FLAGの模型。その中央には2棟のタワーマンションがそびえ立つ

 

家族で眺望を共有しながら部屋を選べる

ミエルバ2には2つのタイプがある。共有スペースなどのマンション内の風景を体感できるドームタイプと、モデルルームの窓に設置したスクリーンにリアルな風景を映し出す眺望体感タイプだ。

↑眺望体感タイプが導入されたモデルルームのダイニング。窓の奥に広がる景色は、写真ではVRに見えないほどリアルだ

 

2つのタイプの役割は違うが、共通している特徴がある。複数人が同時に体験できることと、1/1スケールであることだ。実はミエルバが登場する前からも、建設中のマンションからの眺望を体感できるシステムは存在していた。

 

だがそれはVRゴーグルを用いるシステムであったため、家族が複数人で同じ視界を共有しながら購入検討を行うことは不可能だった。視界の共有が可能になったうえ、1/1スケールでリアルな映像を映し出せるミエルバは、従来の課題を克服したシステムといえる。

 

視界すべてをVR映像が覆うドームタイプ

ドームタイプでは、半円柱型のドームスクリーンに、上下左右最大180度の広視野角でVR映像を投影する。この視野角は人間の目のそれとほぼ同等であるため、スクリーン前の中央に立つと、視界のすべてがVR映像で覆われる。

↑スクリーン前、中央に立つと目の前のすべてが映像に覆われる。写真は共有部の様子

 

↑スクリーンの映像補正の様子。半円柱型になっていることがわかる

 

以前のミエルバでは、左右の壁に設置した2台のプロジェクターによってこの映像体験を実現していたが、ミエルバ2では天井の1台のみになっている。おかげでドームの間口を狭めることができ、設置性が向上した。ミエルバ2の開発を行うパナソニックの担当者によれば、プロジェクター用の超広角レンズが登場したことで、この進化が可能になったという。

↑超広角レンズを備えたプロジェクター。そのレンズは非常に大きい

 

水面や船の動きまで! 部屋からの眺めをリアルに再現

眺望体感タイプでは、モデルルームの窓の奥にスクリーンを並べている。多数のプロジェクターの映像を繋ぎ合わせることで、部屋からの眺望を丸ごと再現している。その映像は写真を元に組み上げたといい、水面の揺れやその上を走る船の動きなどが再現されている点もリアルだ。

↑モデルルームでは、46階からの眺望が再現されている

 

↑ガラス窓奥の空間の天井には、プロジェクターが並べて設置されている

 

↑バルコニーに出ることも可能

 

なお、眺望体感タイプで映し出せる映像のバリエーションは限られているため、個々の部屋からの眺めをPCの画面上で体験できるシステムも設けられている。こちらのシステムは、全階層・23方向の眺めに対応している。

↑共有ラウンジからの眺め。全階層、全方向の画像が網羅されているので、すべての部屋からの眺望を確認できる

 

ミエルバは、マンション購入を検討する人のための、実用的なシステムだ。しかし、モデルルームの窓の外に大きく広がる景色を楽しめるという体験には、アトラクション感すらあった。タワーマンションの購入は一種の“夢”だが、ミエルバはその現実性をリアルに見せてくれる装置といえよう。