ライフスタイル
2023/6/20 11:10

異次元の少子化対策「期待していない」6割以上 働く女性に聞いた

日本の長年の課題となっている「少子化問題」について、2023年3月に岸田首相が「異次元の少子化対策」を掲げ、注目が集まっています。これを受けて、識学は「働く女性のこどもに関する調査」を実施しました。

 

調査では、20~40代で子どもがいない女性社員に「こどもを産みたい、もしくは産む予定があるか」という問いを軸に、産みたいと思わない/産む予定がない理由や、産む場合の心配ごと、産む際に会社に望む施策などをまとめています。

 

調査概要は下記のとおりです。

■調査概要
調査機関 :株式会社識学
調査対象 :全国の従業員数10名以上の企業に勤める20歳~49歳の女性
有効回答数:300サンプル(こどもがいない方:150名/こどもがいる方:150名)
調査期間 :2023年4月26日(水)
調査方法 :インターネット調査
※本調査では、小数点第2位を四捨五入しています。そのため、数字の合計が100%とならない場合があります。

 

「こどもを産む予定がない」“働く女性”は64.0%

最初に「今後、こどもを産みたい、もしくはこどもを産む予定はありますか」のアンケートを実施。調査結果は以下のとおりです。

 

最も多かったのが「こどもを産みたいとは思わない、産む予定はない」の44.0%。「こどもを産みたいと思っているが、産む予定はない」が20.0%と続き、合計して「こどもを産む予定はない」と回答した“働く女性”は64.0%にのぼりました。

上記の質問で「こどもを産みたいとは思わない、産む予定はない方」「こどもを産みたいと思っているが、産む予定はない」と回答した方にその理由を聞くと、 “自由”や“自分の時間を大切に”など、ライフスタイルに関する回答がいくつか上位に上がりました。

 

出産・妊娠を想定すると心配なのは経済面、政府への期待度はやや低い

続いて「こどもの出産・妊娠について、心配だと思うこと」をアンケートで聞いたところ、以下の回答が並びました。

トップは「教育費等含めた経済面」が47.3%でした。「こどもを産みたいと思わない、産む予定がない理由」において、経済に関する理由は上位にのぼりませんでしたが、実際に出産や妊娠を意識すると、経済的な部分が心配になる実態が明らかになりました。

 

異次元の少子化対策に注目が集まっているものの、女性からするとどれくらいの期待があるのでしょうか。識学は「政府の少子化対策に期待しているか」もアンケートで聞いています。

こどもがいる方・いない方別でみると、こどもがいる方は「期待している」「やや期待している」が42.0%なのに対し、こどもがいない方は21.3%と顕著に差が現れました。このことから「現在こどもがいない方」への施策、啓蒙も重要だと言えるでしょう。

 

育休しやすい企業は6割以上あるが、中には不満も

続いて、国ではなく勤務先の対策についてはどうでしょうか。「こどもの出産・育児において、必要だと思う勤務先における制度・体制」について聞きました。

最も多いのが「時短勤務」。ただ、次に見ていくと「育児手当」「出産手当」と続き、多くの方が手当を求めている実態が浮き彫りになりました。”制度”や“社内の雰囲気”はもちろんのこと、多くの方が“手当”を求めていることがわかります。

 

さらに、勤めている会社では「こどもを出産しやすい・育てやすい環境が整っていると思うか」についてもアンケート。

【「勤務先が出産・子育てしやすい環境か」とその理由】

「勤務先が出産・子育てしやすい環境」だと思う理由

・時短制度や育児休業がきちんととれる。(38歳)

・時短勤務や、早めの産休取得など、福利厚生が充実している。(32歳)

 

「勤務先が出産・子育てしやすい環境」だと思わない理由

・特に何の補助や施策も取られていないから。(43歳)

・出産を経て、職場復帰した女性がいないので。(44歳)

 

こどもがいる方・いない方別でみると、こどもがいる方は「そう思う(ややそう思う含む)」が43.3%なのに対し、こどもがいない方は28.6%と大きな差がありました。実際にこどもがいない方にも目に見えてわかる“会社の子育て環境”も必要なのかもしれないと識学は分析しています。

 

「育児休業が取得しやすいか」についてもアンケートを取っています。

【「育休が取得しやすい環境か」とその理由】

「育休取得しやすい」と回答した理由

・妊娠すると自動的に育休をとる雰囲気にある。男性はないけど。(32歳)

・申請すれば通るが、正社員でないと難しい。(35歳)

・取得は可能だが、元の部署に戻れる保証は一切なし。(43歳)

・制度はあるが、育休をとった人は20年間で2人のみ。(42歳)

 

「育休取得しにくい」と回答した理由

・しっかり育休を取得できるルール?がない、知らされていない。(25歳女性)

・理解者が少ない。既婚でも既にこどもが成人済み、もしくは育児に関わってこなかった上司の圧力がある。(33歳)

 

「取得しやすい」と回答したのは63.7%でした。多いように思えますが、その理由に焦点をあてて見ると、「取得しやすい」と回答したからと言って、実際には不満の声もあるようでした。